循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:336

〔CLEAR! ジャーナル四天王(8)〕 結果は正しいが・・・

 無作為化試験のメタ解析で得られたエビデンスのレベルは最も高いとされるが、どの試験を解析対象とするかといった点に解析者の作為が入る余地があることからより注意深い批判的吟味(Critical Appraisal)が必要である。しかしCTT Collaborationは公平、中立な解析を行うグループであり、その点では安心してよい(高血圧領域ではBPLTTCが有名)。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(7)〕 はたして運動療法は慢性心不全患者に潜む「うつ症状」を改善しえるのか?

 慢性心不全はその病態が重症になれば心拍出量の低下から「労作時の息切れ」や「全身倦怠感」など、うつ病とよく似た症状が出現する。また慢性心不全の治療は根治することがなく長期にわたり、患者は塩分コントロールによる食事制限や飲水量制限が厳しく科せられることが多く、抑うつ状態となる場合も少なくない。実際、慢性心不全患者の20~40%にうつ病が合併するという報告がなされている。

血漿HDL-C高値、心筋梗塞のリスクを低下させない可能性が

 血漿HDLコレステロール(HDL-C)値の上昇が、必ずしも心筋梗塞のリスクを低減しない可能性があることが、米国・ペンシルバニア大学のBenjamin F Voight氏らの検討で明らかとなった。血漿HDL-C高値は心筋梗塞のリスク低減と関連するとされるが、その因果関係は不明である。遺伝子型は、減数分裂時にランダムに決定され、非遺伝子的な交絡因子の影響を受けず、疾患過程の修飾も受けないことから、バイオマーカーと疾患の因果関係の検証にはメンデル無作為化(mendelian randomization)解析が有用だという。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版5月17日号)掲載の報告。

スタチンによるLDL-C低下療法、低リスク集団でも血管イベントを低減

 スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、血管イベントの低リスク集団においても主要血管イベント(MVE)の抑制効果を発揮することが、Cholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaboratorsによる検討で示された。スタチンはLDL-Cを低下させることで血管イベントを予防するが、血管イベントのリスクが低い集団における効果は、これまで明らかにされていなかった。血管疾患の既往歴のない集団は血管イベントの絶対リスクが低いものの、血管イベントの半数以上はこの集団で発生しているため、とくにスタチン治療の1次予防効果は解明すべき重要な課題とされる。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版2012年5月17日号)掲載の報告。

高血圧患者さんの食塩摂取量への意識を高めるiPhone アプリ

 食塩の過剰摂取が血圧上昇と関連していることは古くから知られており、減塩による降圧効果も証明されている。メタアナリシスの結果によると、1gの減塩によって収縮期血圧1mmHgの降圧が期待できる。しかし、6g/日前半まで食塩摂取量を落とさなければ有意な降圧は達成できていない。このことを根拠にわが国では高血圧患者の減塩目標として6g/日未満を推奨している。

心臓移植待ち小児の生存率、新たな補助人工心臓で有意に上昇

 心臓移植待機リスト上位に位置する重度心不全の小児に対し、新たに開発設計された体外式補助人工心臓装置は、これまでの体外式心肺補助(ECMO)と比べて有意に高い生存率を示したことが、米国・テキサス小児病院のCharles D. Fraser, Jr.氏らによる前向き試験の結果、報告された。移植までのブリッジ使用可能な機械的循環補助オプションは小児では限られており、唯一の頼みの綱とされていたのがECMOだった。しかし、その使用は重大合併症が起きるまでの10~20日間に限られ、移植までに結びつくのは40~60%という。NEJM誌2012年8月9日号掲載の報告。

治療抵抗性高血圧の血圧コントロールのために有用なのは、アドヒアランスの改善か、薬物治療の強化か?

 治療抵抗性高血圧の要因には、血圧測定上の問題、白衣現象、アドヒアランス不良のような偽治療抵抗性、生活習慣の問題、薬物治療の問題、二次性高血圧があるが、これらの要因の解消が血圧コントロールにつながるかは明らかにされていなかった。Daugherty氏らは治療抵抗性高血圧患者のデータをレトロスペクティブに解析した結果、血圧コントロールの改善と薬物治療の強化は有意な相関を示したが、血圧コントロールの改善とアドヒアランスの改善とは有意な相関を認めなかったことをHypertension誌に発表した。Daugherty氏らは、なぜ血圧コントロール不良例が薬物治療の強化を受け入れないのかを調査する必要性があることを強調している。