脳卒中発症AF患者の8割強、適切な抗凝固療法を受けず/JAMA 抗血栓療法は心房細動患者の脳卒中を予防するが、地域診療では十分に活用されていないことも多いという。米国・デューク大学医療センターのYing Xian氏らPROSPER試験の研究グループは、急性虚血性脳卒中を発症した心房細動患者約9万5,000例を調査し、脳卒中発症前に適切な経口抗凝固療法を受けていたのは16%に過ぎず、30%は抗血栓療法をまったく受けていない実態を明らかにした。JAMA誌2017年3月14日号掲載の報告。
日本人の心房細動患者に適した脳梗塞リスク評価~日本循環器学会 日本人の非弁膜症性心房細動(AF)患者の心原性脳塞栓症リスク評価において、脳卒中の既往、高齢、高血圧、持続性心房細動、低BMIの5つの因子による層別化が、従来のCHADS2スコアやCHA2DS2-VAScスコアによる層別化よりリスク予測能が高いことが報告された。本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援による、層別化指標の確立を目的とした共同研究であり、第81回日本循環器学会学術集会(3月17~19日、金沢市)のLate Breaking Cohort Studiesセッションで弘前大学の奥村 謙氏が発表した。
PCI後のDAPT期間決定に有用な新規出血リスクスコア/Lancet スイス・ベルン大学のFrancesco Costa氏らは、簡易な5項目(年齢、クレアチニンクリアランス、ヘモグロビン、白血球数、特発性出血の既往)を用いる新しい出血リスクスコア「PRECISE-DAPTスコア」を開発し、検証の結果、このスコアが抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)中の院外での出血を予測する標準化ツールとなりうることを報告した。著者は、「包括的に臨床評価を行う状況において、このツールはDAPT期間を臨床的に決める支援をすることができるだろう」とまとめている。アスピリン+P2Y12阻害薬によるDAPTは、PCI後の虚血イベントを予防する一方で、出血リスクを高める。ガイドラインでは、治療期間を選択する前に出血リスクの高さを評価することを推奨しているが、そのための標準化ツールはこれまでなかった。Lancet誌2017年3月11日号掲載の報告。
心房細動検出機能を搭載したシングルチャンバ植込みICDを販売開始:メドトロニック 日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区、 代表取締役社長:島田隆)は、 2017年3月1日、 心房細動(AF)検出の診断機能を搭載したシングルチャンバの植込み型除細動器(以下ICD)「Visia AF MRI ICDシリーズ(ヴィジア エーエフ エムアールアイ アイシーディーシリーズ)」(以下「Visia AF」)の販売を開始した。
Core Valve、日本人重度ASにおける中間成績~日本循環器学会 大阪大学の鳥飼慶氏らは、2017年3月17~19日に行われた第81回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Clinical Trialセッションにおいて、高リスクの重度大動脈弁狭窄症(AS)における自己拡張型大動脈置換弁Core Valveの前向き多施設研究CoreValve Japan試験の中間成績を報告した。この結果は、Circulation Journal誌に同時掲載された。
RAS阻害薬によるクレアチニン値増加、30%未満でもリスク/BMJ RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)服用開始後のクレアチニン値の上昇は、ガイドラインで閾値とされる増大幅が30%未満であっても、末期腎不全や心筋梗塞などの心・腎臓有害イベントや死亡リスクが漸増する関連があることが明らかにされた。クレアチニン値10%未満との比較で、10~19%の増加で死亡リスクは約1.2倍に、20~29%の増加で約1.4倍に増大することが示されたという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学校のMorten Schmidt氏らが、RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)の服用を開始した12万例超について行ったコホート試験の結果、明らかにした。BMJ誌2017年3月9日号掲載の報告。
日本における急性心筋梗塞のDoor to Balloon Time、90分を切るためには ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の管理において、90分以内のDoor to Balloon Time(DTBT)は重要な指標となるが、とくに米国や欧州以外の国では、多くの患者がこの目標を達成していない。慶應義塾大学の池村 修寛氏らは、国内の現状とDTBT遅延の予測因子について分析を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月23日号の報告。
エボロクマブFOURIER試験、心血管アウトカム2年で有意に改善 エボロクマブ(商品名:レパーサ)の心血管イベントの大規模研究であるFOURIER試験の結果が、米国心臓病学会(ACC.17)のLate Breaking Clinical Trialセッションで発表された。PCSK9阻害薬の追加による、主要心血管有害事象(MACE)の抑制を初めて示したこの結果は、同時にNew England Journal of Medicineにも掲載された。
FXa阻害剤の抗炎症作用:日本のNVAF患者 非弁膜症性心房細動(NVAF)例に対する第Xa因子(FXa)阻害剤の投与は、血液凝固マーカーだけでなく、血管炎症マーカーであるペントラキシン3(PTX3)も改善させることが、横浜栄共済病院の加藤 大雅氏らによる研究で明らかになった。これらのマーカーの変化が将来の心血管イベントリスクの低下と関連するかどうかを評価するためには、さらに大規模な前向き研究が必要である。Heart and vessels誌オンライン版2017年3月10日号の報告。
凝固因子の補充は止血効果がないのか?(解説:今中 和人氏)-653 かねてより、出血多量例ではFFPによる凝固因子を含む血清タンパクのまんべんない補充ではなく、特定の凝固因子の補充によって止血を図るべきだ、との考えが提唱され、凝固カスケードの最終ステップに位置するフィブリノゲン濃縮製剤が、とくに期待されてきた。