循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:220

心房細動患者のCCrとイベントの関連、日本の実臨床では?

 心房細動(AF)患者における非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の投与量調節と禁忌患者の除外のために、クレアチニンクリアランス(CCr)が広く使用されているが、AF患者のCCrと有害な臨床転帰との関連をみたリアルワールドデータはほとんどない。今回、国立病院機構京都医療センターの阿部 充氏らは、日本のAF患者の大規模前向きコホートである「伏見心房細動患者登録研究」で、CCr 30mL/分未満の患者が脳卒中/全身塞栓症および大出血などのイベントと密接に関連していたことを報告した。The American Journal of Cardiology誌オンライン版2017年1月25日号に掲載。

座高は循環器・呼吸器疾患の死亡率と逆相関

 成人の身長および座高は、遺伝的・環境的要因を反映しうる。以前の研究で、身長とがんや循環器疾患の死亡率との関連は報告されているが、座高と死亡率との関連の報告は少ない。今回、欧州における40万人以上の大規模コホート研究で、身長はがん死亡率と正相関する一方、循環器疾患死亡率とは逆相関を示し、また座高は循環器疾患死亡率および呼吸器疾患死亡率と逆相関を示した。PLOS ONE誌2017年3月3日号に掲載。

CKD患者に対するトルバプタン、反応予測因子は:横浜市大センター病院

 バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンは、心不全患者の利尿作用を有する。しかし、慢性腎臓病(CKD)患者におけるトルバプタンの効果に関するデータは少ない。横浜市立大学附属市民総合医療センターの勝又 真理氏らは、慢性心不全およびCKD患者に対するトルバプタンの効果をレトロスペクティブに解析した。Clinical and experimental nephrology誌オンライン版2017年2月11日号の報告。

多枝病変STEMIには完全血行再建か、責任病変のみか

 近年のランダム化研究では、プライマリPCIでの完全血行再建が多枝病変の予後の改善につながることが示唆されている。しかしながら、非責任病変に対するPCIのタイミングについてははっきりとした答えが出ていない。そこで、米国のElgendy氏およびMahmoud氏らが、多枝病変を伴うST上昇心筋梗塞に対するPCIにおいて、どのような戦略が有効かを検証するメタアナリシスを行った。Journal of the American College of Cardiology誌2017年2月号に掲載。

認知症リスクへの糖尿病・高血圧・脂質異常症の影響

 インスリン抵抗性に起因する高血圧症や脂質異常症の患者と、糖尿病ではない高血圧症や脂質異常症の患者では、認知症リスクが異なる可能性がある。今回、台北医学大学のYen-Chun Fan氏らによる全国的な集団コホート研究から、糖尿病の有無により高血圧症や脂質異常症による認知症リスクの増加に差があることがわかった。著者らは、「糖尿病発症に続く高血圧症や脂質異常症の発症は糖尿病発症の2次的なものでインスリン抵抗性を介在する可能性があり、認知症リスクをさらに高めることはない」と考察し、「糖尿病自体(高血糖の全身的な影響)が認知症リスク増加の主な原因かもしれない」としている。Alzheimer's research & therapy誌2017年2月6日号に掲載。

2型糖尿病、併存疾患ごとの超過死亡リスク

 2型糖尿病の患者は、大血管疾患・慢性腎臓病・慢性呼吸器疾患・がん・喫煙習慣を伴うことが多い。山梨大学の横道 洋司氏らは、これらを伴う2型糖尿病患者の超過死亡リスクについて、バイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータを用いて定量化した。その結果、慢性腎臓病・大血管疾患・慢性呼吸器疾患の既往、もしくは現在喫煙している糖尿病患者において高い死亡リスクが示された。著者らは、糖尿病の予後改善のために併存疾患の改善および禁煙の必要性を提言している。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年2月10日号に掲載。

テロメアが長いとリスクが高い疾患は?

 テロメアの長さと、がんや非腫瘍性疾患の発症率の関連について、その因果関係と強さは不明である。今回、Telomeres Mendelian Randomization Collaborationによるメンデル無作為化研究から、テロメアが長いと数種のがんリスクを上げる一方で、心血管疾患など、いくつかの非腫瘍性疾患のリスクを下げる可能性があることがわかった。JAMA oncology誌オンライン版2017年2月23日号に掲載。

フィブリノゲン濃縮製剤、ハイリスク心臓手術中の出血を減少させず/JAMA

 ハイリスク心臓手術において、術中出血に対しフィブリノゲン濃縮製剤を投与しても、術中出血量は減少しなかった。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのSuleyman Bilecen氏らが、術中出血に対するフィブリノゲン濃縮製剤の効果を検証した無作為化臨床試験の結果を報告した。フィブリノゲン濃縮製剤は、凝固障害を回復させ術中出血を減らす可能性があり、心臓手術中の出血管理に使用されている。しかし、これまで行われた心臓外科における無作為化臨床試験は2件のみで、フィブリノゲン濃縮製剤の有効性に関するエビデンスは確立されていなかった。JAMA誌2017年2月21日号掲載の報告。

ペースメーカー・ICD装着患者も安全にMRI検査が可能/NEJM

 ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)を装着した患者へのMRI検査の実施は、長らく禁忌とされてきたが、検査前後の動作確認と、検査前の適切な再プログラミングを行うことで、磁場強度1.5テスラのMRIは安全に実施可能なことが判明した。MRI検査中の死亡や心室性不整脈や装着機器の故障は、いずれも認められなかった。米国・スクリプス研究所のRobert J Russo氏らが、ペースメーカーやICDを装着する1,500例を対象に行った前向き試験で明らかにしたもので、NEJM誌2017年2月23日号で発表した。