循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:222

カナグリフロジン、心不全入院を低下も心血管系入院は同等/BMJ

 2型糖尿病の治療において、SGLT2阻害薬カナグリフロジンは、クラスが異なる他の3つの経口薬(DPP-4阻害薬[DPP-4i]、GLP-1受容体作動薬[GLP-1RA]、スルホニル尿素[SU]薬)と比べて、心不全による入院リスクは30~49%低いことが、また急性心筋梗塞/脳卒中による入院リスクは同程度であることが示された。米国・ハーバード大学医学大学院のElisabetta Patorno氏らが、大規模な住民ベースの後ろ向きコホート試験を行い明らかにしたもので、BMJ誌2018年2月6日号で発表した。これまで、カナグリフロジンの心血管安全性を評価した「CANVAS試験」などの結果において、同薬は心不全による入院リスクの低減効果を示しており、今回3種の糖尿病治療薬と直接比較を行うことで、その効果が確認された。

卵円孔開存の存在で周術期の脳梗塞リスク上昇/JAMA

 非心臓手術を受ける成人患者において、術前に卵円孔開存(PFO)の診断を受けた患者は受けなかった患者と比べて、術後30日間の周術期虚血性脳卒中リスクが有意に高いことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院(MGH)のPauline Y.Ng氏らが、18万例超を対象に行った後ろ向きコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年2月6日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「今回の所見について、さらなる確証試験を行うとともに、PFOへの介入によって術後脳卒中のリスクが低減するのかどうかを確認する必要がある」とまとめている。

敗血症性ショックに対するグルココルチコイドの投与:長い議論の転機となるか(解説:吉田 敦 氏)-813

敗血症性ショックにおいてグルココルチコイドの投与が有効であるかについては、長い間議論が続いてきた。グルココルチコイドの種類・量・投与法のみならず、何をもって有効とするかなど、介入と評価法についてもばらつきがあり、一方でこのような重症病態での副腎機能の評価について限界があったことも根底にある。今回大規模なランダム化比較試験が行われ、その結果が報告された。

チョコレートは心血管リスクを減らすか~メタ分析

 イタリア・ペルージャ大学のVincenza Gianfredi氏らが、一般集団でのチョコレート摂取と心血管リスクの関連について、系統的レビューおよびメタ分析で評価。その結果、とくに女性における心血管リスクや、男女における急性心筋梗塞に対して、チョコレートの適度な摂取による潜在的な保護効果が示された。Nutrition誌2018年2月号に掲載。

NOACで頭蓋内出血は少なくなる?(解説:後藤信哉氏)-810

各種NOACの第III相ランダム化比較試験にて、INR 2-3を標的としたワルファリン群に比較してNOAC群にて頭蓋内出血が少ないとされても、筆者の心には響かなかった。INR 1.9であればワルファリンを増量し、INR 2.9であってもワルファリンを減量しないような治療は、自らの日常診療と大きく乖離していたためである。また、NOAC登場前の観察研究にて、日本も世界もワルファリン使用時の頭蓋内出血発現率は0.2%程度とされていたので、その3倍も頭蓋内出血が起こることを示した第III相試験のメッセージは「INR 2-3を標的としたワルファリン治療は頭蓋内出血を増やす」のみであった。

左脚ブロックを伴う心筋症患者は左室機能が回復しにくい

 左脚ブロックの患者は、心臓再同期療法(CRT)によって左室駆出率(LVEF)が改善することがある。ところが、左脚ブロックを伴うLVEF低下患者に対し最初に行われる治療は、ガイドラインに準じた薬物療法であり、CRTではない。一方で、LVEFの低下および左脚ブロックが、ガイドラインに準じた薬物療法にどの程度影響するかについてのデータは少ない。現在、CRT植込みの前に、少なくとも3ヵ月のガイドラインに準じた薬物療法が勧められており、これは薬物療法のみでもLVEF改善が期待されているからと考えられる。米国・Duke大学のEdward Sze氏らのグループによる本研究は、心筋症患者について、左脚ブロックの患者とその他のQRS波形を呈する患者におけるLVEFの改善率を評価した。Journal of American College of Cardiology誌2018年1月号に掲載。

脳内出血後の院内死亡、ワルファリンvs. NOAC/JAMA

 脳内出血(ICH)患者の院内死亡リスクを、発症前の経口抗凝固薬(OAC)で比較したところ、OAC未使用群に比べ非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)あるいはワルファリンの使用群で高く、また、NOAC使用群はワルファリン使用群に比べ低いことが示された。米国・デューク大学メディカルセンターの猪原拓氏らが、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)による登録研究Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-Stroke)のデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにした。NOACは血栓塞栓症予防としての使用が増加しているが、NOAC関連のICHに関するデータは限られていた。JAMA誌オンライン版2018年1月25日号掲載の報告。

心房細動合併心不全の予後、アブレーションで大幅改善/NEJM

 心房細動を合併した心不全患者で、種々の理由で抗不整脈薬治療を受けられない場合においても、心房細動に対するカテーテルアブレーションを行うことで、薬物治療のみでのレートコントロールやリズムコントロールに比べ、全死因死亡および心不全悪化による入院の複合リスクは、約4割減少することが示された。米国・ユタ大学のNassir F.Marrouche氏らが、患者363例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにし、NEJM誌2018年2月1日号で発表した。心房細動を合併した心不全患者は、心不全単独患者よりも脳卒中や心不全悪化による入院、死亡のリスクが高い。心房細動に対するカテーテルアブレーションは、そのほかの心機能は正常で薬物療法が無効の症候性心房細動に推奨されており、これまでの試験で、心房細動合併の心不全患者においてアウトカムを改善することが示唆されていた。

男性のAGA、高血圧と有意に関連

 男性型脱毛症(AGA)については、これまでの研究で、メタボリック症候群に関連するさまざまな因子との関係が示されているが、一貫した結果は得られていない。韓国・延世大学校原州医科大学のBo-Kyung Kim氏らが、韓国の地域住民を対象とした断面調査を行った結果、AGAに関連のある因子には性差があり、男性では高血圧とAGAとの有意な関係が認められたことを報告した。著者は、「AGA発症のメカニズムに性差がある可能性があり、AGAの男性患者では血圧を評価し、高血圧の場合は介入したほうがよい」とまとめている。International Journal of Dermatology誌2018年2月号掲載の報告。