救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:37

広範囲梗塞の患者にも経皮的脳血栓回収術の有効性が示された(解説:高梨成彦氏)

ASPECTS 5点以下の大きな虚血コアを有する症例に対する、経皮的脳血栓回収術の有効性を示唆する後方視的研究はこれまでいくつか報告されている。本研究はランダム化比較試験で、主要評価項目である90日後のmRSが0~3であった患者の割合は内科治療群が13%であったのに対して、血管内治療群が31%と有意な予後改善効果が示された。虚血コアが大きいことで再開通後の出血が危惧されるところであるが、すべての頭蓋内出血こそ血管内治療群で58%と多かったものの症候性出血は内科治療群が5%で血管内治療群が9%と有意差はなかった。

オミクロン株BA.2、コロナ治療薬の有効性は?/NEJM

 現在、オミクロン株亜種BA.2は、デンマーク、インド、フィリピンなどの地域において、オミクロン株BA.1系統から置き換わり、主流になっている。近いうちに日本国内でもBA.1からBA.2に置き換わることが予想されている。国立感染症研究所の高下 恵美氏らの研究グループは、オミクロン株BA.2に対し、7種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬について、in vitroでの有効性を検証した。本研究の結果は、NEJM誌オンライン版2022年3月9日号のCORRESPONDENCEに掲載。  研究対象となった薬剤は、FDA(米国食品医薬品局)で承認済み、日本で承認済みのものが含まれる。日本で承認済みの抗体薬は、イムデビマブとカシリビマブの併用(商品名:ロナプリーブ)、ソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)、抗ウイルス薬は、レムデシビル(商品名:ベクルリー)、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、ニルマトレルビル(商品名:パキロビッドパック[リトナビルと併用])となる。

ワクチン導入前のコロナ感染者致死率、医療レベル以外の要因が存在?/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン導入および変異株流行前の感染者致死率(IFR)は、190の国・地域によって30倍以上のばらつきがあることが、COVID-19 Forecasting TeamのReed J. D. Sorensen氏らが実施したCOVID-19総死亡と血清有病率調査の系統的解析の結果、示された。とくに医療システムが良好な国で年齢標準化IFRが高かったことは、医療能力以外の要因が重要であり、その要因として介護施設におけるアウトブレイクやCOVID-19を重症化させる併存疾患などが考えられた。また、ワクチン導入前にIFR推定値の中央値が8ヵ月間で33%減少しており、COVID-19に対する治療が時間の経過とともに改善されていることを示唆するものである。著者は、「ワクチン導入前のIFRを推定することは、COVID-19による死亡パターンの進行を説明する重要な基礎を提供するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2022年2月24日号掲載の報告。

低リスク者を48時間以内に同定、新型コロナ予後予測モデル/BMJ

 単一施設のデータに基づいて構築された予測モデルを用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者のうち低リスク例を48時間以内に同定して早期退院を促すことで、データの共有なしに他施設でも良好な病床日数の削減効果が得られる可能性があることが、米国・ミシガン大学のFahad Kamran氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年2月17日号で報告された。  研究グループは、電子健康記録データを用いて、医療施設間で共有できるCOVID-19患者の臨床的な悪化を正確に予測する簡便で移転可能な機械学習モデルを開発し、その妥当性を検証する目的で後ろ向きコホート研究を実施した(米国国立科学財団[NSF]などの助成を受けた)。

難治性院外心停止、体外心肺蘇生法vs.標準的蘇生法/JAMA

 難治性院外心停止(OHCA)患者において、心停止状態での早期搬送/体外循環式心肺蘇生法(ECPR)/侵襲的診断と治療から成るケアバンドルは、標準的な蘇生法と比較して、180日後の神経学的アウトカム良好での生存率を改善しないことが、チェコ・カレル大学のJan Belohlavek氏らが実施した単施設無作為化臨床試験「Prague OHCA試験」の結果、示された。OHCAはアウトカムが不良であり、心停止状態での搬送/ECPR/即時侵襲的戦略の有益性については不明であった。JAMA誌2022年2月22日号掲載の報告。

NAFLDを併存する糖尿病患者の重症低血糖リスクは?

 2型糖尿病と併存する肝硬変では低血糖が起こりやすいことが知られているが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)ではどうなのだろうか。今回、韓国・延世大学校医療院のJi-Yeon Lee氏らの研究によって、2型糖尿病患者におけるNAFLDと重症低血糖との関連が調査された。その結果、2型糖尿病を有するNAFLD患者は、肥満かどうかにかかわらず、救急搬送または入院を必要とする重症低血糖のリスクが26%増加することが報告された。2月23日、JAMA Network Openに掲載。

心停止後昏睡、抗けいれん治療併用で転帰改善は?/NEJM

 心停止後昏睡患者において、律動的および周期的な脳波活動を48時間以上抑制する抗けいれん治療を標準治療に併用しても、標準治療のみと比較して3ヵ月後の神経学的アウトカム不良の割合に有意差は認められないことが、オランダ・トゥウェンテ大学のBarry J. Ruijter氏らが実施した医師主導型無作為化非盲検(評価者盲検)臨床試験「TELSTAR試験」の結果、示された。心停止後昏睡患者において、律動的および周期性の脳波パターンを治療することにより転帰が改善するかどうかは明らかになっていなかった。NEJM誌2022年2月24日号掲載の報告。

オミクロン株臨床像の更新ほか、診療の手引き7.0版/厚労省

 2月28日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第7.0版」を公開し、全国の自治体に通知を行った。  今版の主な改訂点は以下の通り。 ■診療の手引き7.0版の主な改訂点 【1 病原体・疫学】 ・変異株について更新 ・国内と海外の発生状況を更新 【2 臨床像】 ・(特にオミクロン株の知見に関して)臨床像を更新 ・重症化リスク因子を更新 ・ワクチンによる重症化予防効果を追加 ・国内小児例の臨床的特徴・重症度、小児における家庭内感染率を更新 ・小児多系統炎症性症候群(MISC)について更新  経過、小児重症COVID19 registryの報告を追加・更新 ・妊婦例の特徴について更新  日本産婦人科学会の調査を更新、新たな知見およびCOVIREGI JPの結果を追加

コロナ重症化リスクを低減、パキロビッドパック第II/III相試験結果/NEJM

 重症化リスクがあるワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者に対し、ニルマトレルビル+リトナビル(商品名:パキロビッドパック)はプラセボと比較し、入院または死亡のリスクを約89%低下させ、安全性に明らかな懸念は認められなかった。米国・ファイザー社のJennifer Hammond氏らが、国際共同第II/III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験「EPIC-HR試験」の結果を報告した。ニルマトレルビルは、経口投与可能なSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(Mpro)阻害剤で、in vitroにおいて幅広い種類のコロナウイルスに対し強力なMpro阻害活性およびウイルス複製阻害作用を示し、マウスモデルにおいて経口投与により肺のSARS-CoV-2力価がプラセボに比べ有意に低下することが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。

COVID-19入院患者へのロナプリーブ、血清抗体の有無で有効性に差/Lancet

 COVID-19入院患者において、カシリビマブ・イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法は、血清陰性患者(液性免疫反応が起きていなかった患者)の28日死亡率を低下させたが、血清陽性患者の28日死亡率は低下しなかった。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果を、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。カシリビマブ・イムデビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上にあるそれぞれ異なる部位に非結合的に結合することにより、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害するモノクローナル抗体で、COVID-19外来患者における有効性が報告されていた。Lancet誌2022年2月12日号掲載の報告。