イベルメクチン、メトホルミン、フルボキサミンはコロナ重症化を予防せず/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/25

 

 メトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミンはいずれも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連した低酸素血症や救急外来受診、入院または死亡の発生に対する予防効果はないことが、米国・ミネソタ大学のCarolyn T. Bramante氏らが行った第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。3剤は、SARS-CoV-2感染早期の外来患者への投与でCOVID-19重症化を予防できるのではと期待されていた。NEJM誌2022年8月18日号掲載の報告。

SARS-CoV-2感染3日以内、発症7日以内の過体重/肥満の外来成人患者に投与

 研究グループは2×3要因デザイン法を用いて、SARS-CoV-2感染確認から3日以内、発症から7日以内の外来成人患者に対し、メトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミン3種の薬剤のドラッグ・リパーパシングとして、COVID-19の重症化予防効果を検証した。被験者は30~85歳で、過体重または肥満だった。

 主要エンドポイントは、低酸素血症(自宅測定での酸素飽和度≦93%)、救急外来受診、入院、死亡の複合とした。

 全解析は、同時に無作為化した対照群を用い、SARS-CoV-2ワクチン接種状況や、他の試験薬の使用で補正を行った。

主要複合イベント補正後オッズ比、0.84~1.05でいずれも有意差なし

 合計1,431例が無作為化を受け、主要解析は1,323例を対象に行われた。被験者は年齢中央値46歳、56%が女性(うち6%が妊婦)で、52%がワクチン接種歴ありだった。

 主要複合イベント発生に関する補正後オッズ比は、メトホルミン群0.84(95%信頼区間[CI]:0.66~1.09、p=0.19)、イベルメクチン群1.05(0.76~1.45、p=0.78)、フルボキサミン群0.94(0.66~1.36、p=0.75)だった。

 事前に規定した副次解析において、救急外来受診、入院、死亡に関する補正後オッズ比は、メトホルミン群0.58(95%CI:0.35~0.94)、イベルメクチン群1.39(0.72~2.69)、フルボキサミン群1.17(0.57~2.40)だった。また、入院または死亡に関するオッズ比は、それぞれ0.47(0.20~1.11)、0.73(0.19~2.77)、1.11(0.33~3.76)だった。

 結果を踏まえて著者は、「過体重/肥満の成人患者を対象に行った今回の無作為化試験では、検討した3剤は、主要複合イベントをいずれも予防できなかった。事前規定の副次解析において、メトホルミンは救急外来受診、入院、死亡を減らす可能性があることが示唆されたが、3剤ともそれぞれマッチさせたプラセボ投与よりも、重症度が低かった薬剤はなかった」とまとめている。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

原著論文はこちら

Bramante CT, et al. N Engl J Med. 2022;387:599-610.