ヒトと共存する微生物の集団全体を表す「マイクロバイオーム」という言葉は、皮膚や腸との関連で耳にすることが多い。しかし近年、マイクロバイオームは男性の精液にも存在することが示され、それと不妊との関連を探る研究も進められている。こうした中、新たな研究で、精液中のマイクロバイオームが精液の質のパラメーターに悪影響を及ぼし、不妊に関与している可能性のあることが示唆された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)泌尿器学分野のVadim Osadchiy氏らによる研究で、「Scientific Reports」に1月11日掲載された。
Osadchiy氏らは18歳以上の男性73人を今回の試験に登録し、精液中のマイクロバイオームと精液の質のパラメーターの変化との関連を検討した。精液の解析により、精液量、pH、精子濃度、精子運動率、および精子正常形態率の評価を行い、総精子濃度、総精子運動率、および精子量を掛け合わせて総運動精子数を計算した。また、精液サンプルからDNAを抽出して次世代シーケンシングを実施し、精液中に存在する微生物の同定と種ごとの存在量を比較した。