泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

デュルバルマブの非小細胞肺がんおよび膀胱がん周術期療法、国内承認/AZ

 アストラゼネカは、2025年9月19日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について、「非小細胞肺癌における術前・術後補助療法」および「膀胱癌における術前・術後補助療法」を効能又は効果として厚生労働省より承認を取得したと発表。  非小細胞肺がん(NSCLC)の承認は第III相AEGEAN試験の結果に基づくもの。AEGEAN試験は、切除可能なStage IIAからIIIB(AJCC第8版)NSCLCに対する(AJCC第8版)非小細胞肺がん(NSCLC)に対する周術期治療としてのデュルバルマブをPD-L1発現の有無を問わずに評価する第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験。

患者報告アウトカムはがん患者の独立した予後予測因子~メタ解析

 がん患者4万4,030例を対象とした69件のランダム化比較試験を統合したシステマティックレビューとメタ解析により、ベースライン時の全般的健康状態・QOLスコア、身体機能、役割機能(role functioning)が良好な患者ほど予後が良好であった一方、悪心・嘔吐、疼痛、疲労などの症状が強い患者ほど予後が不良であったことが、カナダ・トロント大学のRyan S. Huang氏らによって明らかになった。JAMA Oncology誌オンライン版2025年9月11日号掲載の報告。  これまで、症状や生活の質などの患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome:PRO)と全生存(OS)との関連は報告されているが、特定のPROドメインが予後予測因子となり得るかどうかは不明であった。そこで研究グループは、がん患者におけるベースライン時のPROとOSとの関連性を評価し、さまざまなPROドメインの予後予測的意義を定量化するために、システマティックレビューとメタ解析を実施した。

前立腺がん診断、bpMRIは標準検査になりうる/JAMA

 前立腺がんが疑われる男性において、短縮化されたバイパラメトリックMRI(bpMRI)検査は、提供された画像の質が十分であれば標的生検の有無にかかわらず、前立腺がん診断の新たな標準検査となりうることを、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlexander B.C.D. Ng氏らPRIME Study Group Collaboratorsが示した。生検の有無を問わない臨床的に重要な前立腺がんの診断では、マルチパラメトリックMRI(mpMRI)が検査の標準となっているが、リソースのキャパシティが広範な導入を妨げている。ガドリニウム造影剤を使用しないbpMRIは、より短時間かつ安価な代替法で、世界中の医療システムにとって時間短縮によりキャパシティが改善される。著者は、「世界では年間400万件の前立腺MRI検査が行われていることから、bpMRIは、世界中の検査処理能力を大幅に増強しかつコスト削減を可能とするだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年9月10日号掲載の報告。

新インプラントデバイスがBCG不応性膀胱がんに有効

 TAR-200と呼ばれる、薬剤を封入した小さなプレッツェル型のインプラントデバイスにより、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)治療に反応しない高リスク膀胱がん患者の5人中4人でがんが消失したとする第2相臨床試験の結果が報告された。米南カリフォルニア大学ケック医学校泌尿器腫瘍科長のSiamak Daneshmand氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Clinical Oncology」に7月30日掲載された。  Daneshmand氏は、「これまで、治療抵抗性を示す膀胱がんに対する治療選択肢は非常に限られていた。この新しい治療法は、一般的な膀胱がんに対する治療法としてこれまでに報告されたものの中では最も効果が高い」と述べている。

低グレード前立腺がん、想定よりリスクが高い場合も

 生検でグレードグループ1(GG1)に分類された前立腺がん患者は、転移リスクが低いため、治療はせずに経過観察のみでよいとされることが多い。しかし新たな研究で、GG1前立腺がん患者のおよそ6人に1人は中〜高リスクのがんであることが示された。米ワイル・コーネル・メディスン泌尿器科・人口健康科学科のBashir Al Hussein氏らによるこの研究結果は、「JAMA Oncology」に7月31日掲載された。  前立腺生検の結果は、非がん性から高リスクで治療が必要ながんまでさまざまである。現在、生検でGG1と判定された場合、治療は行わずに定期的に腫瘍の評価を行って進行の兆候がないか確認する「積極的監視」の方法が取られることが多い。Al Hussein氏らによると、積極的な監視では、前立腺で生成されるがん関連タンパク質である前立腺特異抗原(PSA)値をモニターするための血液検査、生検、MRI検査などが行われる可能性があるという。しかし同氏らは、前立腺生検は前立腺全体の組織を採取するわけではないため、1回の生検では悪性のがん細胞を見逃す可能性もあると強調する。

「高齢者の安全な薬物療法GL」が10年ぶり改訂、実臨床でどう生かす?

 高齢者の薬物療法に関するエビデンスは乏しく、薬物動態と薬力学の加齢変化のため標準的な治療法が最適ではないこともある。こうした背景を踏まえ、高齢者の薬物療法の安全性を高めることを目的に作成された『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』が2025年7月に10年ぶりに改訂された。今回、ガイドライン作成委員会のメンバーである小島 太郎氏(国際医療福祉大学医学部 老年病学)に、改訂のポイントや実臨床での活用法について話を聞いた。  前版である2015年版では、高齢者の処方適正化を目的に「特に慎重な投与を要する薬物」「開始を考慮するべき薬物」のリストが掲載され、大きな反響を呼んだ。2025年版では対象領域を、1.精神疾患(BPSD、不眠、うつ)、2.神経疾患(認知症、パーキンソン病)、3.呼吸器疾患(肺炎、COPD)、4.循環器疾患(冠動脈疾患、不整脈、心不全)、5.高血圧、6.腎疾患、7.消化器疾患(GERD、便秘)、8.糖尿病、9.泌尿器疾患(前立腺肥大症、過活動膀胱)、10.骨粗鬆症、11.薬剤師の役割 に絞った。評価は2014~23年発表の論文のレビューに基づくが、最新のエビデンスやガイドラインの内容も反映している。新薬の発売が少なかった関節リウマチと漢方薬、研究数が少なかった在宅医療と介護施設の医療は削除となった。

輸液選択、乳酸リンゲル液vs.生理食塩水/NEJM

 日常的に行われている静脈内輸液投与に関して、乳酸リンゲル液のほうが生理食塩水よりも臨床的に優れているかは不明である。カナダ・オタワ大学のLauralyn McIntyre氏らCanadian Critical Care Trials Groupは、病院単位で期間を区切って両者を比較した検討において、乳酸リンゲル液を使用した場合に、初回入院後90日以内の死亡または再入院の発生率は有意に低下しなかったことを示した。NEJM誌オンライン版2025年6月12日号掲載の報告。  研究グループは、カナダのオンタリオ州にある7つの大学および地域病院で、非盲検、2期間、2シークエンス、クラスター無作為化クロスオーバー試験を実施した。静脈内輸液を病院全体で12週間ずつ乳酸リンゲル液または生理食塩水に割り付け、アウトカムを比較した。乳酸リンゲル液または生理食塩水使用への切り替えは、ウォッシュアウト後に行った。

幹細胞移植で移植患者の免疫抑制薬が不要に?

 米ミネソタ州出身のMark Welterさんは腎臓移植を必要としていたが、移植後は死ぬまで免疫抑制薬を服用し続けなければならないことに納得していなかった。免疫抑制薬は移植された臓器の拒絶反応を防ぐために不可欠ではあるものの、頭痛や振戦などの重篤な副作用や、感染症、がんリスクの増加など多くの欠点を伴うからだ。しかし、米メイヨー・クリニックのMark Stegall氏らが実施した第3相臨床試験において、免疫寛容を誘導するために、臓器移植に加えて幹細胞移植を用いる方法により、免疫抑制薬を生涯にわたって使用する必要がなくなる可能性のあることが示された。この試験の詳細は、「American Journal of Transplantation」7月号に掲載された。

血糖値のわずかな上昇が男性の精力に影響

 血糖値のわずかな上昇が、男性の精力に悪影響を与える可能性があるようだ。たとえ糖尿病の基準値を下回る値であっても、血糖値のわずかな上昇は精子の運動能力や勃起機能の低下と関連することが、新たな研究で明らかにされた。ミュンスター大学病院(ドイツ)のMichael Zitzmann氏らによるこの研究結果は、米国内分泌学会議(ENDO 2025、7月12〜14日、米サンフランシスコ)で発表された。Zitzmann氏らは、「この研究結果は、加齢に伴うホルモンレベルの低下よりも、男性の健康状態の小さな変化の方が、男性の生殖能力に影響を及ぼす可能性があることを示している」と話している。

混合性尿失禁、ボツリヌス療法vs.スリング術/JAMA

 中等度~重度の混合性尿失禁を有し、保存的治療が奏効しなかった女性患者において、onabotulinumtoxin Aと中部尿道スリング手術は、6ヵ月時のUrogenital Distress Inventory(UDI)総スコアの改善に差はなかったことを、米国・ペンシルベニア大学のHeidi S. Harvie氏らが米国の7施設で実施した無作為化優越性試験「MUSA試験」の結果で報告した。腹圧性尿失禁(SUI)と切迫性尿失禁(UUI)が併存している混合性尿失禁は、生活の質を低下させ、管理が困難な場合が少なくない。これまで手技的治療の比較研究は不足していた。著者は、「今回の結果は、患者の好みと臨床医の推奨に基づく治療決定に役立つだろう」とまとめている。JAMA誌2025年5月5日号掲載の報告。