泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

中国で豚由来腎臓移植が成功、生存中の患者としては3人目

 遺伝子編集された豚の腎臓を移植された中国人女性が、順調に回復していることが報告された。現在、世界で豚由来腎臓移植を受けて生存しているのは、この女性が3人目となる。研究者らは、将来的には豚の肝臓が人への移植の選択肢となる可能性にも言及している。  NBCニュースなどの報道によると、この女性は69歳で、豚由来腎臓を移植される以前、8年にわたり腎不全状態にあった。手術は第四軍医大学西京病院(中国)で行われ、移植チームの一員であるLin Wang氏によると、術後の患者は現在、病院で経過観察中であり腎機能は良好で容態も良いという。

米国がん協会のガイドライン遵守はがんサバイバーの寿命を延ばす

 喫煙習慣のない肥満関連のがんサバイバーは、米国がん協会(ACS)が推奨する食事と身体活動に関するガイドラインを遵守することで死亡リスクが低下する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。ACS疫学研究の主任科学者であるYing Wang氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Cancer Institute」に4月3日掲載された。  Wang氏は、「がんの診断がきっかけで、どうすれば生活習慣をより健康的にできるかを考える人は多い。多くのがんサバイバーは、長生きする可能性を高めるためにできる生活習慣の是正について知りたがっている」とACSのニュースリリースで述べている。

新型コロナ後遺症としての勃起不全が調査で明らかに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した患者では、回復後も長期にわたりその後遺症に悩まされるケースがある。その後遺症の中には男性における勃起不全(ED)も含まれるが、後遺症としてのEDの有病率とそれに関連する根本的要因が示唆されたという。横浜市立大学附属病院感染制御部の加藤英明氏らが行った研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月21日掲載された。  COVID-19感染後のEDは、急性期における炎症性サイトカインや低酸素症による血管内皮障害が原因で進行する。また、身体的・精神的なストレスもEDに影響する。ワクチン接種や早期治療は、この感染症の後遺症の発症率を低下させる可能性はあるが、EDの発症を防ぐための予防策については不明である。加藤氏らは、COVID-19感染後のEDの有病率とその根本的な要因を明らかにするために感染患者を対象とした症例対照研究を実施した。

NeuroSAFEを用いた前立腺がん手術が勃起機能温存に有効か

 画期的な技術の導入により、前立腺がんの外科的手術後に勃起機能を温存できる男性の数が2倍近く増える可能性のあることが明らかになった。ロボット支援根治的前立腺全摘除術(RARP)にNeuroSAFEと呼ばれる術中診断技術を導入することで、勃起をコントロールすると考えられている前立腺の外層を通る神経を温存させることができるという。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)病院の泌尿器科顧問であるGreg Shaw氏らによるこの研究結果は、欧州泌尿器科学会年次総会(EAU25、3月21〜24日、スペイン・マドリード)で発表されるとともに、「The Lancet Oncology」4月号に掲載された。

ハイテクTシャツで術後患者のバイタルサインをモニタリング/欧州泌尿器科学会

 センサーを搭載したハイテクTシャツが、退院後の患者のバイタルサインを追跡するのに役立つ可能性があるようだ。がんで泌尿器の外科手術を受けて退院した70人の患者を対象にした小規模研究で、退院後にこのTシャツを着用して血圧や心拍数、体温などのバイタルサインのモニタリングを受けた患者は、対照群よりも安全で安心できると感じていたことが示されたという。ローマ・ラ・サピエンツァ大学(イタリア)泌尿器科准教授のAntonio Pastore氏らによるこの研究結果は、欧州泌尿器科学会年次総会(EAU25、3月21〜24日、スペイン・マドリード)で発表された。

高脂血症は術後せん妄のリスク因子か~メタ解析

 術後せん妄のリスク因子としての高脂血症の潜在的役割について、中国・Zigong Fourth People's HospitalのLi-Quan Qiu氏らがメタ解析で検討した。その結果、高脂血症患者は術後せん妄リスクが有意に高く、術後せん妄患者では総コレステロール、トリグリセライド、LDLコレステロールが有意に高いことが示され、術後せん妄リスク因子としての高脂血症の潜在的役割が示唆された。Frontiers in Aging Neuroscience誌2025年3月18日号に掲載。

通院費増で遺伝子変異に関連した治験への参加率が低下、制度拡充が必要/国立がん研究センター

 がんの臨床試験(治験)では、地域の医療機関が参加条件に該当した患者を治験実施施設に紹介することが一般的だ。患者は自宅から離れた治験実施施設に通わねばならないケースも多く、時間的・経済的負担が生じる。国立がん研究センター中央病院 先端医療科の上原 悠治氏、小山 隆文氏らは、施設までの通院費と治験の参加可能性が関連するかを検討する後ろ向きコホート研究を行った。  2020~22年に、がん遺伝子パネル検査後に国立がん研究センター中央病院に治験目的で紹介された進行固形腫瘍患者1,127例を対象に、通院費と治験参加状況の関連を調査した。主要評価項目は遺伝子変異に関連した治験への参加、副次評価項目は遺伝子変異とは関連しない治験への参加だった。多変量ロジスティック回帰分析により、移動費用と治験参加率との関連を評価した。本研究の結果はESMO Real World Data and Digital Oncology誌オンライン版2025年2月25日号に掲載された。

セフトリアキソンで腎盂腎炎を伴う腸内細菌目細菌菌血症を治療できるか

 セフトリアキソン(CTRX)は尿路感染症における選択薬の1つであるが、他のβ-ラクタム系抗菌薬と比較して尿中排泄率が低いという欠点がある。わが国では2023年にセフォチアム(CTM)が不足したことから、尿路感染症に対するCTRXの需要が高まっている。今回、愛知医科大学の柴田 祐一氏らが、腎盂腎炎を伴う腸内細菌目細菌菌血症に対するCTRXと他のβ-ラクタム系抗菌薬の有効性を比較したところ、30日全死亡率は同様であった。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2025年4月9日号に掲載。

精液の質が良い人は寿命が長い?

 動いている精子の総数が多い人は、少ない人に比べて生殖能力が高いだけでなく、寿命も長い可能性のあることが、新たな研究で示唆された。50年にわたり7万8,000人以上の男性を追跡調査した結果、総運動精子数(1TMSC)が多い男性は、少ない男性に比べて3年近く長生きする可能性が示唆されたという。コペンハーゲン大学病院(リグスホスピタレット、デンマーク)のLaerke Priskorn氏らによるこの研究は、「Human Reproduction」に3月5日掲載された。  世界保健機関(WHO)の基準に基づくと、サンプル中の精子の少なくとも42%が効果的に泳ぐことができる場合、精子の運動性は正常だと判断される。研究グループは、精子濃度が1mL当たり500万個未満の場合は、男性不妊症と関連付けられていると説明している。

前立腺がんの生検、マイクロ超音波ガイド下vs.MRI/超音波融合ガイド下/JAMA

 臨床的に重要な前立腺がんの検出において、高解像度マイクロ超音波ガイド下生検はMRI/従来型超音波融合画像ガイド下生検に対し非劣性であり、画像ガイド下前立腺生検においてMRIの代替法となる可能性があることが、カナダ・アルバータ大学のAdam Kinnaird氏らOPTIMUM Investigatorsが実施した「OPTIMUM試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年3月23日号に掲載された。  OPTIMUM試験は、前立腺がんの検出におけるマイクロ超音波ガイド下生検とMRI融合画像ガイド下生検の有用性の比較を目的とする第III相非盲検無作為化非劣性試験であり、2021年12月~2024年9月に8ヵ国20施設で患者を登録した(Exact Imagingの助成を受けた)。