外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

働き方改革で研修医のバーンアウトは減ったのか~2万5千人を調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時、世界中で医師、とくに臨床研修医においてバーンアウトが大幅に増加した。一方、わが国では、医師の過重労働を減らし健康状態を改善するため、2023年に医師の働き方改革の準備を開始し、2024年4月に施行した。今回、千葉大学/英国・グラスゴー大学の小野 亮平氏らは、COVID-19流行時および国の働き方改革の準備期・施行期における、研修医のバーンアウトと労働環境の経時的変化について、多施設共同反復横断研究で調査した。その結果、臨床研修医のバーンアウトは2020年度に最も高く、その後、仕事への満足度、勤務時間、診療負担の改善に伴い減少したことが示された。BMJ Open誌2026年7月21日号に掲載。

乳がんのsBRCA変異とgBRCA変異、生物学的特徴と治療反応が異なる/ESMO Open

 BRCA変異のうち、生殖細胞系列(g)BRCA変異は生物学的および臨床的な重要性が十分に確立されているが、体細胞(s)BRCA変異の意義については不明な点が多い。今回、横浜市立大学の押 正徳氏らが、日本全国のがんゲノム医療データベース(C-CAT)を用いて大規模な乳がんゲノム解析を実施した結果、sBRCAのみ変異ありは、gBRCAとsBRCAの両方変異ありより多くみられ、sBRCA変異はgBRCA変異の有無によって明確なゲノムパターンが示された。また、gBRCAのみ、変異ありがCDK4/6阻害薬の治療継続期間の短縮と関連していた。ESMO Open誌2026年7月23日号に掲載。

HER2+局所進行/転移乳がんへの二重HER2阻害療法と併用の1次化学療法、エリブリンvs.タキサンの最終OS解析(JBCRG-M06/EMERALD)/ESMO Open

 HER2陽性(HER2+)局所進行/転移乳がんに対して、二重HER2阻害療法(トラスツズマブ+ペルツズマブ)と併用する1次化学療法として、エリブリンと医師選択のタキサンを比較した第III相JBCRG-M06/EMERALD試験の最終解析の結果、全生存期間(OS)中央値が6年を超え、2群間に有意差は認められなかったことが示された。福島県立医科大学の佐治 重衡氏らがESMO Open誌8月号に報告した。本試験ではすでに、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)においてエリブリンがタキサンに非劣性を示したことが報告されている。

高齢の転移TN乳がん患者におけるSGの有用性~国際共同リアルワールド研究

 転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の高齢患者に対するサシツズマブ ゴビテカン(SG)の臨床成績を評価した国際共同リアルワールド研究の結果を、ポーランド・Maria Sklodowska-Curie National Research Institute of OncologyのAleksandra Konieczna氏らが報告した。このリアルワールド集団において、SGを投与された65歳以上の患者のアウトカムは若年患者と同等以上であり、重篤な有害事象の明らかな増加は認められなかった。Oncologist誌オンライン版2026年7月20日号に掲載。

抗TROP-2 ADCはTROP-2発現レベルで効果が変わるか

 抗TROP-2抗体薬物複合体(ADC)は、転移乳がんの治療薬として有効性を示しているが、患者のTROP-2の発現レベルによって効果がどの程度異なるかは明らかではなかった。今回、イタリア・Istituto Nazionale Tumori, IRCCS Fondazione G. PascaleのRoberto Buonaiuto氏らのシステマティックレビューおよびメタ解析により、抗TROP-2 ADCは転移乳がんの無増悪生存期間(PFS)を有意に改善するが、その治療効果はTROP-2発現レベルが高い患者でより顕著であることが示された。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2026年7月10日号掲載の報告。

プレハビリテーションが高齢患者の脊椎固定術後の合併症を抑制

 プレハビリテーションは、術後の回復を促進する目的で術前に体力や健康状態を向上させる介入で、近年、外科医を中心とする医師の注目を集めている。こうした中、新たな研究で、脊椎固定術の前に4週間のプレハビリテーションプログラムを受けた75歳以上の患者では、術後90日以内の合併症リスクが18%低かったことが示された。首都医科大学(中国)附属宣武医院整形外科部長のShibao Lu氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に6月16日掲載された。Lu氏は、「本研究は、構造化された多面的プレハビリテーションが、高齢者における脊椎固定術後の合併症を減少させる上で有効な方法となり得ることを示した」と述べている。

患者説明に使う資料や情報源は?~がん専門医500人に聞く

 情報過多の現代、医療情報も多種多様なレベルのものが世の中にあふれている。数十年前と比べ医師と患者の立場がフラットになりつつある昨今、患者自身の学習意欲もあいまって、診療時間中のコミュニケーションに費やす時間は増加傾向にある。診療の効率化が求められる中でも、医師にとっては患者に対し、患者自身の疾患に関する正しい知識を端的に提供したいというニーズは根強いのではないだろうか。  患者の視点に立った情報発信については、若尾 文彦氏(国立がん研究センター がん対策情報センター副センター長)率いる研究班や「がん情報の均てん化を目指す会」をはじめとする多くの団体が検証を重ねている。

高齢患者の術後せん妄スクリーニング、病院間で実施率に大きな差

 高齢患者では、手術後に混乱や見当識障害などを特徴とするせん妄が生じることが少なくないが、術後せん妄のスクリーニング実施率には病院ごとに差があることが、新たな研究で明らかにされた。米国外科学会(ACS)が開発したGeriatric Surgery Verification(GSV)プログラムの認証を取得した病院(GSV認証病院)では、ほぼ全ての術後患者にせん妄スクリーニングが実施されていたのに対し、非認証病院での実施率は50%程度にとどまったという。GSVプログラムは、せん妄、転倒、肺炎などの一般的な術後合併症の予防に重点を置いた医療品質向上プログラムである。

「がんサバイバーの心臓をまもる」市民公開講座を開催/日本腫瘍循環器学会【ご案内】

 日本腫瘍循環器学会は、同学術集会(JOCS2026)開催期間中の2026年9月6日(日)、市民公開講座「がんサバイバーの心臓をまもる―がん罹患後の循環器疾患に対応するプライマリケア医を探せ―」を開催する。  近年、がん治療の進歩により多くのがんサバイバーの長期生存が可能になった一方で、治療後には心不全、不整脈、高血圧、血栓症といった循環器疾患に直面するケースも少なくない。本講座では、乳がんや血液がんなどの小児・AYA世代のがん経験者やその家族にとって関心の高いテーマである、「がん治療後に起こりうる心臓・血管の問題」「体調変化を感じたときの相談先」「かかりつけ医や地域医療との連携」などについて、医師、薬剤師、患者アドボケイトが共に考える内容となっている。

便秘や下痢は大腸がんの危険因子なのか

 大腸がんの危険因子として慢性便秘や下痢などの排便習慣の異常が提唱されているが、大規模な前向き研究やメタアナリシスでは便秘・下痢と大腸がんの明確な因果関係は確認されていない。今回、ドイツ・University Hospital of the Ruhr University BochumのErnst W. Kolbe氏らがリアルワールドのプライマリケアデータを用いた大規模傾向スコアマッチング症例対照研究を実施した結果、大腸がんの診断直前の数ヵ月間においてのみ、便秘と下痢がその後の大腸がん診断と関連しており、因果関係というより逆因果関係が示唆された。BMJ Open Gastroenterology誌2026年7月6日号に掲載。