膠原病・リウマチ科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ

 韓国の大規模な2型糖尿病成人コホートにおいて、SGLT2阻害薬はスルホニル尿素(SU)薬と比較し自己免疫性リウマチ性疾患のリスクを11%低下させることが、韓国・成均館大学校のBin Hong氏らによる後ろ向きコホート研究の結果で示された。SGLT2阻害薬は、その潜在的な免疫調節能により自己免疫疾患への転用候補の1つと考えられているが、自己免疫病態に関与する発症経路における重要な細胞や分子に対する阻害作用が臨床的に意味を有するかどうかは依然として不明であった。著者は、「今回の結果は、SGLT2阻害薬が自己免疫疾患のリスク低減に寄与する可能性を示唆しているが、潜在的な有益性は、既知の有害事象や忍容性に関する懸念と慎重に比較検討する必要があり、他の集団や状況における再現性の検証、ならびに自己免疫性リウマチ性疾患患者を対象とした研究が求められる」と述べている。BMJ誌2025年10月15日号掲載の報告。

IPFに対するnerandomilast、第III相試験のアップデート解析(FIBRONEER-IPF)/ERS2025

 ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬nerandomilastは、特発性肺線維症(IPF)患者を対象とした国際共同第III相試験「FIBRONEER-IPF試験」、進行性肺線維症(PPF)患者を対象とした「FIBRONEER-ILD試験」において、主要評価項目の努力肺活量(FVC)の低下を有意に抑制したことが報告されている。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、FIBRONEER-IPF試験のデータ最終固定時の解析結果をJustin M. Oldham氏(米国・ミシガン大学)が報告した。本解析において、FVCの低下抑制効果は76週時まで維持された。また、主要な副次評価項目に有意差はみられなかったものの、nerandomilast高用量群では死亡リスクの数値的な低下がみられた。

関節リウマチの一因は免疫の早期老化?

 関節リウマチ(RA)は、免疫システムの早期老化が一因で生じる可能性のあることが、新たな研究で示された。この研究では、関節痛や関節炎を有する人において、免疫の老化が進んでいる兆候が認められたという。英バーミンガム大学免疫老化分野のNiharika Duggal氏らによるこの研究の詳細は、「eBioMedicine」に9月3日掲載された。  Duggal氏らは、「これは、免疫の老化がRAの発症に直接的な役割を果たしている可能性があることを示唆している」と述べている。RAは、免疫系が自身の関節を攻撃することで発症する自己免疫疾患の一種である。

医療費適正効果額は1千億円以上、あらためて確認したいバイオシミラーの有効性・安全性

 日本国内で承認されているバイオシミラーは19成分となり、医療費適正化の観点から活用が期待されるが、患者調査における認知度は依然として低く、医療者においても品質に対する理解が十分に定着していない。2025年8月29日、日本バイオシミラー協議会主催のメディアセミナーが開催され、原 文堅氏(愛知県がんセンター乳腺科部)、桜井 なおみ氏(一般社団法人CSRプロジェクト)が、専門医・患者それぞれの立場からみたバイオシミラーの役割について講演した。  化学合成医薬品の後発品であるジェネリック医薬品で有効成分の「同一性」の証明が求められるのに対し、分子構造が複雑なバイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーでは同一性を示すことが困難なために、「同等性/同質性」を示すことが求められる。

免疫介在性炎症性疾患患者のCVDによる死亡率は、男性よりも女性の方が高い

 免疫介在性炎症性疾患(IMID)患者の心血管疾患(CVD)による死亡率は1999年から2020年にかけて低下したが、死亡率の男女差が依然として認められることを示したリサーチレターが、「Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes」に5月5日掲載された。  米クリーブランド・クリニックのIssam Motairek氏らは、米疾病対策センター(CDC)が提供している1999~2020年の複合死因(Multiple Cause of Death)データを用い、基礎疾患としてIMIDを有する患者のCVD関連死を特定し、死亡率の男女差を検討した。IMID関連死28万1,355件から、CVD関連死12万7,149件を抽出して分析した。

クローン病へのグセルクマブの静脈内導入療法と皮下維持療法の有効性と安全性:2つの第III相試験(GALAXI-2および3)の48週時点の結果(解説:上村 直実 氏)

指定難病であるクローン病(CD)の患者数は日本でも次第に増加して、近々5万例に達する見込みであるが、潰瘍性大腸炎と違って軽症例は少なく中等症から重症例が多く、内科的治療により寛解不能で外科的手術が必要な患者も多いのが現状である。完全治癒が見込めないCDに対する治療の基本は、病気の活動性のコントロールにより寛解状態を維持し、さらに日常生活に影響する狭窄や瘻孔形成などの合併症を予防することにあるが、最近は内視鏡的な粘膜治癒を目的とした治療方針が必須となっている。

中等症~重症の活動性クローン病、グセルクマブ導入・維持療法が有効/Lancet

 中等症~重症の活動期クローン病患者において、プラセボおよびウステキヌマブと比較して、グセルクマブ(ヒト型抗ヒトIL-23 p19モノクローナル抗体)の静脈内投与による導入療法後、同薬の皮下投与による維持療法を行うアプローチは、有効性の複合エンドポイントが有意に優れ、忍容性も良好で安全性プロファイルは潰瘍性大腸などでの承認時のデータと一致することが、カナダ・カルガリー大学のRemo PanaccioneらGALAXI 2 & 3 Study Groupが実施した「GALAXI-2およびGALAXI-3試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2025年7月17日号に掲載された。

自己免疫疾患は気分障害リスクを高める

 関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬などの自己免疫疾患の罹患者は、一般集団に比べてうつ病、不安症(不安障害)、双極症(双極性障害)などの気分(感情)障害の発症リスクが約2倍高いことが、新たな研究で明らかになった。このようなリスク上昇は、男性よりも女性で顕著であることも示されたという。英エディンバラ大学臨床脳科学センターのArish Mudra Rakshasa-Loots氏らによるこの研究結果は、「BMJ Mental Health」に6月10日掲載された。  Rakshasa-Loots氏らはこの研究で、慢性炎症は抑うつ障害や不安症などの精神疾患の発症と関連していることを踏まえ、慢性炎症状態に置かれている自己免疫疾患患者では、精神的な健康問題を抱える割合が高いのではないかと考えた。この仮説を検証するために同氏らは、英国で新たに実施された大規模な健康調査(Our Future Health)に参加した18歳以上の成人156万3,155人のデータを解析した。この研究への参加にあたり、参加者は自身の身体的および精神的健康の履歴を報告していた。自己免疫疾患として、関節リウマチ、バセドウ病、IBD、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬の6つを対象としたところ、該当者は3万7,808人であった。

乾癬性関節炎では関節リウマチよりも診断が遅れる

 乾癬性関節炎(PsA)患者は関節リウマチ(RA)患者と比較して診断が遅れるという研究結果が、「Annals of the Rheumatic Diseases」に3月29日掲載された。  英バース大学のRachel A. Charlton氏らは、PsA患者とRA患者の診断に至るまでの期間を比較した。解析対象となったのは、PsA患者2,120人と、年齢と性別でマッチさせたRA患者2,120人であった。  解析の結果、症状が発現してから専門医に紹介されるまでの期間は、PsA患者の方がRA患者よりも長かった。PsA患者の方が、かかりつけ医を受診してから診断を受けるまでの期間が長く(平均112日対89日、ハザード比〔HR〕0.87)、二次医療機関に紹介された後の診断の遅れも認められた(HR 0.86)。多発性関節炎を有する患者において、ベースライン時における疾患修飾性抗リウマチ薬の処方率は、PsA患者の方がRA患者よりも低かった(それぞれ54.0%、69.0%)。28関節を対象とする疾患活動性スコアは、ベースライン時ではRA患者の方が高かったが、3カ月後にはPsA患者の平均スコアの方が高くなった。

治療法が大きく変化、アミロイドーシス診療ガイドライン8年ぶりに改訂

 『アミロイドーシス診療ガイドライン2025』が2024年12月に発刊された。2017年版から8年ぶりの改訂となるが、この間にアミロイドーシスの各病型の病態解明が進み、診断基準をはじめ、トランスサイレチン型(ATTR)アミロイドーシスに対する核酸医薬、ALアミロイドーシスに対する抗CD38抗体薬、アルツハイマー病(AD)による軽度認知障害および軽度の認知症に対する抗アミロイドβ抗体薬の発売など、治療法も大きな変化を遂げている。そこで今回、本ガイドライン作成委員長であり、アミロイドーシスに関する調査研究班を率いる関島 良樹氏(信州大学医学部 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授)にアミロイドーシスの現状や診断方法、本書の改訂点などについて話を聞いた。