膠原病・リウマチ科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

COVID-19罹患で自己免疫・炎症性疾患の長期リスクが上昇

 COVID-19罹患は、さまざまな自己免疫疾患および自己炎症性疾患の長期リスクの上昇と関連していることが、韓国・延世大学校のYeon-Woo Heo氏らによる同国住民を対象とした後ろ向き研究において示された。これまでCOVID-19罹患と自己免疫疾患および自己炎症性疾患との関連を調べた研究はわずかで、これらのほとんどは観察期間が短いものであった。著者は「COVID-19罹患後のリスクを軽減するために、人口統計学的特性、重症度、ワクチン接種状況を考慮しながら、長期的なモニタリングと管理が重要であることが示された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年11月6日号掲載の報告。

早発卵巣不全は自己免疫疾患と関連

 早発卵巣不全(POI)と診断された女性で、重度の自己免疫疾患の有病率が上昇するという研究結果が、「Human Reproduction」に9月25日掲載された。  オウル大学病院(フィンランド)のSusanna M. Savukoski氏らは、1988~2017年に自然発症のPOIと診断された女性3,972人と一般女性対照群1万5,708人を対象として、集団ベースの登録研究を行い、POI診断前後の重症自己免疫疾患との関連を検討した。  解析の結果、POIの女性における1つ以上の重度の自己免疫疾患の有病率は5.6%であった。POI女性は対照群と比較して、基準日以前に、多腺性自己免疫症候群、アジソン病、血管炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、サルコイドーシス、炎症性腸疾患(IBD)、甲状腺機能亢進症を含む、複数の特異的な自己免疫疾患の有病率が高かった。1型糖尿病または強直性脊椎炎の有病率に、差は見られなかった。POI診断後の最初の3年間に重度の自己免疫疾患と初めて診断される標準化罹患比は2.8であったが、12年後には1.3に減少した。

変形性関節症/関節リウマチ患者の約4割が抑うつ、不安、線維筋痛症のいずれかを合併

 変形性関節症(OA)、関節リウマチ(RA)の患者はいずれも約10人に4人が不安、抑うつ、線維筋痛症のうち少なくとも1つを合併しているとする研究結果が「ACR Open Rheumatology」に7月16日掲載された。これらの併存疾患は自記式の多次元健康評価質問票(MDHAQ)で適切にスクリーニングできる可能性があることも示された。  OA患者とRA患者の合併症は類似しており、いずれも抑うつ、不安や線維筋痛症の合併率が高いことが知られている。しかし、実臨床ではこれらの併存疾患のスクリーニングは十分に行われていない。米ラッシュ大学医療センターのJuan Schmukler氏らは、2011年から2022年にかけて同センターを受診したOA患者361人(平均年齢66.6歳、女性80%)およびRA患者488人(同56.9歳、86%)を対象に、MDHAQの回答から不安、抑うつ、線維筋痛症の有病率などを検討するため、後ろ向きの横断研究を実施した。

関節リウマチは気管支拡張症リスクを高めるが、その逆は認められない

 遺伝的に予測された関節リウマチ(RA)と気管支拡張症リスクとの間には因果関係があるというメンデルランダム化(MR)研究の結果が「Frontiers in Medicine」に6月20日掲載された。RAは気管支拡張症リスクを高めるが、その逆の関係は認められなかったという。  RAと気管支拡張症の関連を示唆する報告はいくつかなされているが、因果関係は明らかになっていない。武漢第四病院(中国)のYuanyuan Li氏らは、FinnGenコンソーシアムからRAのゲノムワイド関連研究(GWAS)データを、IEU Open GWASプロジェクトから気管支拡張症のGWASデータをそれぞれ収集し、RAと気管支拡張症の関連を検討した。単変量メンデルランダム化(UVMR)解析には、主に逆分散加重(IVW)推定を用いた。加えて、双方向MR解析、再現MR解析、多変量MR(MVMR)解析、媒介分析、感度分析も行った。

ステロイド薬の使用で糖尿病のリスクが2倍以上に

 ステロイド薬の全身投与により糖尿病の発症リスクが2倍以上高くなることを示唆するデータが報告された。英オックスフォード大学のRajna Golubic氏らが、欧州糖尿病学会(EASD 2024、9月9~13日、スペイン・マドリード)で発表した。  ステロイド薬は強力な抗炎症作用があり、喘息や関節リウマチなどの多くの疾患の治療で用いられていて、特に自己免疫性疾患の治療では欠かせないことが少なくない。ステロイド薬にはさまざまな副作用があり、そのうちの一つとして、血糖値の上昇、糖尿病リスクの増大が挙げられる。副作用リスクを下げるために、症状が現れる部位が呼吸器や皮膚などに限られている場合には、吸入や外用による局所投与が優先的に行われるが、局所投与では疾患コントロールが十分できない場合や全身性疾患の治療では、内服や注射などによる全身投与が必要となる。

hs-cTnTは関節リウマチ患者のMACEと死亡に関連

 関節リウマチ(RA)患者において、検出可能なレベルの高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)は、主要心血管イベント(MACE)および全死亡のリスク上昇と関連するとするリサーチレターが、「The Journal of Rheumatology」に6月15日掲載された。  米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のBrittany N. Weber氏らは、RA患者331人を対象に、検出可能なhs-cTnTの臨床的に確立された閾値と、MACE(急性冠症候群、脳卒中、心血管死)および全死亡との長期的関連を検討した。

シェーグレン症候群、抗CD40抗体iscalimabが有望/Lancet

 シェーグレン症候群の治療において、プラセボと比較して抗CD40モノクローナル抗体iscalimabは、疾患活動性に関して有意な用量反応関係を示し、忍容性も良好であることが、英国・University Hospitals Birmingham NHS Foundation TrustのBenjamin A. Fisher氏らが実施した「TWINSS試験」で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月31日号で報告された。  TWINSS試験は、23ヵ国71施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2019年10月~2022年2月に参加者のスクリーニングを行った(Novartis Pharmaの助成を受けた)。

NSAIDの“有害な処方”、とくに注意すべき患者群とは/BMJ

 イングランドでは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の処方は5つの高リスク集団において、回避可能な害(avoidable harm)と医療費増加の継続的な原因であり、とくに慢性疾患を有する集団や経口抗凝固薬を使用している集団において急性イベント誘発の原因となっていることが、英国・マンチェスター大学のElizabeth M. Camacho氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2024年7月24日号で報告された。  研究グループは、イングランドの高リスク集団における問題のある経口NSAID処方に関して、発生率、有害性、英国国民保健サービス(NHS)の費用の定量化を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]の助成を受けた)。

腎機能低下RAへの生物学的製剤、安全性・有効性が明らかに

 血液透析(HD)患者を含む慢性腎臓病(CKD)を併存する関節リウマチ(RA)患者の治療薬についてのエビデンスは限られている。今回、虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科の吉村 祐輔氏らはCKD患者における生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)の有効性・安全性を明らかにした。腎機能低下群においてもbDMARDの継続率は概ね保持され、とくに、インターロイキン-6(IL-6)阻害薬は、推定糸球体濾過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満の患者で薬剤継続率が有意に高く、無効による中止が少なかったことから、IL-6阻害薬はほかの bDMARDと比較し、単剤での治療がより有効であることを示唆した。Annals of the Rheumatic Diseases誌2024年7月4日号オンライン版掲載の報告。

線維筋痛症、治療用スマホアプリで症状改善/Lancet

 線維筋痛症の成人患者の管理において、スマートフォンアプリを用いて毎日の症状を追跡するアクティブコントロール群と比較して、アプリを用いたアクセプタンス・コミットメント療法(ACT)によるセルフガイド型のデジタル行動療法は、患者評価による症状の改善度が優れ、デバイス関連の安全性に関するイベントは発生しないことが、米国・Gendreau ConsultingのR. Michael Gendreau氏らが実施した「PROSPER-FM試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。