呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:24

コロナとインフル、臨床的特徴の違い~100論文のメタ解析

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とインフルエンザの鑑別診断の指針とすべく、中国・China-Japan Union Hospital of Jilin UniversityのYingying Han氏らがそれぞれの臨床的特徴をメタ解析で検討した。その結果、患者背景、症状、検査所見、併存疾患にいくつかの相違がみられた。さらにCOVID-19患者ではより多くの医療資源を必要とし、臨床転帰も悪い患者が多いことが示された。NPJ Primary Care Respiratory Medicine誌2025年1月28日号に掲載。  著者らは、PubMed、Embase、Web of Scienceで論文検索し、Stata 14.0でランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った。COVID-19患者22万6,913例とインフルエンザ患者20万1,617例を含む100の論文が対象となった。

医師介入が死亡率に影響?がん患者診療のための栄養治療ガイドライン発刊

 日本人がん患者の栄養管理は、2022年より周術期栄養管理加算や外来栄養食事指導料が算定できるようになったことで、その管理体制は改善傾向にある。しかし、栄養治療が必要な患者に十分届いているとは言い難く、適切な栄養管理によってより良い予後をもたらすことが日本栄養治療学会(JSPEN)としての喫緊の課題になっている。そんな最中、2024年10月に『がん患者診療のための栄養治療ガイドライン 2024年版 総論編』が発刊されたため、作成ワーキンググループのガイドライン委員会前委員長である小谷 穣治氏(神戸大学大学院医学研究科外科系講座 災害・救急医学分野 教授)にがん患者の栄養管理の実際やガイドラインで押さえておくべき内容について話を聞いた。

プレシジョン・オンコロジーの恩恵は平等か

 1998年以来、米食品医薬品局(FDA)により承認されたがん治療薬の43%は、がん細胞のゲノムバイオマーカーのプロファイリングを用いて患者を選択する、精密医療(プレシジョン・メディシン)に基づく治療法である。しかし、米国の民族的および人種的マイノリティーに属する人は、このようながん領域の精密医療(プレシジョン・オンコロジー)の恩恵を十分に受けておらず、がん治療へのアクセスにおける格差が依然として存在していることが、新たな研究により明らかになった。米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSK)のKanika Arora氏らによるこの研究結果は、「JAMA Oncology」に1月9日掲載された。

治療転帰、男女医師で有意差~35研究のメタ解析

 これまでに、女性医師が治療した患者は男性医師が治療した患者よりも転帰が良く、医療費も低くなる可能性が報告されている。医師と患者の性別の一致も転帰に影響する可能性があるが、これまでの研究では有意差は確認されておらず、統合解析によるエビデンスはほとんどない。今回、米国・メイヨークリニックのKiyan Heybati氏らがランダム効果メタ解析を実施した結果、女性医師の治療を受けた患者は、男性医師の治療を受けた患者に比べ死亡率が有意に低く、再入院も少なかったことがわかった。BMC Health Services Research誌2025年1月17日号に掲載。

COVID-19パンデミック前後で医療の利用状況が大きく変化

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック前後で、国内医療機関の利用状況が大きく変わったことが明らかになった。全国的に入院患者の減少傾向が続いているという。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートの野村周平氏、東京海洋大学の田上悠太氏、東京大学のカオ・アルトン・クアン氏らの研究の結果であり、詳細は「Healthcare」に11月19日掲載された。著者らは、「入院患者数の減少は通常の状況下では医療システムの効率化の観点からポジティブに捉えられる可能性がある一方で、パンデミック期間中には超過死亡も観測されていることから、入院患者数の減少による国民の健康への潜在的な影響も排除できない」としている。

COPD、多遺伝子リスクスコア併用で診断能改善/JAMA

 医師による慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断を受けたことがない成人において、従来の修正肺機能質問票(mLFQ)スコアにCOPD多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score:PRS)を併用すると、mLFQのみによるアプローチと比較して、中等症~重症のCOPDの診断能が改善することが米国・Boston University Chobanian & Avedisian School of MedicineのJingzhou Zhang氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年1月22日号で報告された。  研究グループは、COPDが未診断の集団において、従来のリスク因子や呼吸器症状に関する質問票にCOPD PRSを加えると、COPDの同定が改善されるかを検証する目的で横断的なコホート研究を行った。

重大な副作用にアナフィラキシー追加、アルギニン含有製剤など/厚労省

 2025年1月29日、厚生労働省はアルギニン含有注射剤などに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用としてアナフィラキシーの追記がなされる。  対象医薬品は以下のとおり。 ◯プラスアミノ輸液(混合アミノ酸・ブドウ糖製剤) ◯ツインパル輸液(混合アミノ酸・ブドウ糖・無機塩類製剤) ◯ビーフリード輸液(その他の配合剤) ◯アルギU点滴静注(一般名:L-アルギニン塩酸塩) ◯アルギニン点滴静注(同)

血液検査でワクチン効果の持続期間が予測できる?

 幼少期に受けた予防接種が、麻疹(はしか)や流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)から、われわれの身を守り続けている一方、インフルエンザワクチンは、毎年接種する必要がある。このように、あるワクチンが数十年にわたり抗体を産生するように免疫機能を誘導する一方で、他のワクチンは数カ月しか効果が持続しない理由については、免疫学の大きな謎とされてきた。米スタンフォード大学医学部の微生物学・免疫学教授で主任研究員のBali Pulendran氏らの最新の研究により、その理由の一端が解明され、ワクチン効果の持続期間を予測できる血液検査の可能性が示唆された。

鳥インフルエンザによる死亡例、米国で初めて確認

 2024年12月、鳥インフルエンザにより入院していた米ルイジアナ州の住民が死亡した。米国初の鳥インフルエンザによる死亡例である。死亡した患者について同州の保健当局は、「65歳以上で基礎疾患があったと報告されている」と発表した。患者は、A型鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)に感染した野鳥や個人の庭で飼育されていた家禽との接触により感染したという。なお、同州で他にヒトへの感染例は確認されていない。  米疾病対策センター(CDC)は1月6日付の声明で、「ルイジアナ州での死亡者について入手可能な情報を慎重に精査したが、一般市民に対するリスクは依然として低いとの評価に変わりはない。最も重要なのは、ヒトからヒトへの感染は確認されていないということだ」と強調している。

抗インフル薬、非重症者で症状改善が早いのは?~メタ解析

 重症ではないインフルエンザ患者に対する抗ウイルス薬の効果を調査した結果、バロキサビルは高リスク患者の入院リスクを低減し、症状改善までの時間を短縮する可能性があったものの、その他の抗ウイルス薬は患者のアウトカムにほとんどまたはまったく影響を与えないか不確実な影響であったことを、中国・山東大学のYa Gao氏らが明らかにした。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年1月13日号掲載の報告。  インフルエンザは重大な転機に至ることがあり、高リスク者ではとくに抗ウイルス薬が処方されることが多い。しかし、重症でないインフルエンザの治療に最適な抗ウイルス薬は依然として不明である。そこで研究グループは、重症ではないインフルエンザ患者の治療における抗ウイルス薬の有用性を評価するため、系統的レビューとネットワークメタ解析を行った。