呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:22

誤嚥性肺炎へのスルバクタム・アンピシリンvs.第3世代セファロスポリン~日本の大規模データ

 誤嚥性肺炎に対する抗菌薬として米国胸部学会/米国感染症学会(ATS/IDSA)の市中肺炎ガイドライン2019では、セフトリアキソン(CTRX)やセフォタキシム(CTX)などの第3世代セファロスポリンを推奨しており、膿胸や肺膿瘍が疑われない限り、スルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)など嫌気性菌に有効な抗菌薬のルーチン投与は推奨されていない。今回、東京大学の谷口 順平氏らは全国DPCデータベースを用いて、誤嚥性肺炎の入院患者に対するこれらの単一抗菌薬治療の有効性を直接比較する大規模研究を実施した。その結果、SBT/ABPCが第3世代セファロスポリン(CTRXが主)より院内死亡率が低く、Clostridioides difficile(C. difficile)感染症の発生率が低いことが示された。Respiratory Medicine誌オンライン版2025年7月25日号に掲載。

肺がん個別化医療のさらなる進展を目指し、サーモフィッシャーと戦略的提携/国立がん研究センター

 国立がん研究センター東病院は、2025年7月28日、サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループと戦略的提携を締結。非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした新たなマルチ遺伝子検査システム「Oncomine Dx Express Test」の臨床導入を目指す。  このシステムはサーモフィッシャーサイエンティフィックの次世代シーケンサー(NGS)「Ion Torrent Genexusシステム」を用いており、高速自動解析により24時間以内に解析結果を提供可能である。これにより、進行肺がん患者の検体から複数の遺伝子を迅速に診断できるようになり、最適な精密医療の推進が期待される。

小細胞肺がんへのタルラタマブ、プラチナ製剤後の2次治療に有効(DeLLPhi-304)/NEJM

 白金製剤ベースの化学療法の施行中または終了後に病勢が進行した小細胞肺がん(SCLC)の2次治療において、化学療法と比較してタルラタマブ(二重特異性T細胞誘導[BiTE]分子製剤)は、全生存期間(OS)が有意に延長し、無増悪生存期間(PFS)も有意に良好で、がん関連呼吸困難や咳嗽が少ないことが、ギリシャ・Henry Dunant Hospital CenterのGiannis Mountzios氏らDeLLphi-304 Investigatorsが実施した「DeLLphi-304試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年7月24日号で報告された。  DeLLphi-304試験は、SCLCの2次治療におけるタルラタマブの有効性と安全性の評価を目的とする第III相非盲検無作為化対照比較試験であり、2023年5月~2024年7月に日本を含む30ヵ国166施設で参加者を登録した(Amgenの助成を受けた)。今回は、事前に規定された中間解析の結果が報告された(データカットオフ日:2025年1月29日)。

加熱式タバコの使用が職場における転倒発生と関連か

 運動習慣や長時間座っていること、睡眠の質などの生活習慣は、職場での転倒リスクに関係するとされているが、今回、新たに「加熱式タバコ」の使用が職場における転倒発生と関連しているとする研究結果が報告された。研究は産業医科大学高年齢労働者産業保健センターの津島沙輝氏、渡辺一彦氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に6月6日掲載された。  転倒は世界的に重大な公衆衛生上の懸念事項である。労働力の高齢化の進む日本では、高齢労働者における職場での転倒の増加が深刻な安全上の問題となっている。この喫緊の課題に対し、政府は転倒防止のための環境整備や、労働者への安全研修の実施などの対策を講じてきた。しかし、労働者一人ひとりの生活習慣の改善といった行動リスクに着目した戦略は、これまで十分に実施されてこなかった。また、運動習慣や睡眠などの生活習慣が職場での転倒リスクと関連することは、複数の報告から示されている。一方で、紙巻タバコや加熱式タバコなどの喫煙習慣と転倒リスクとの関連については、全年齢層を対象とした十分な検討がなされていないのが現状である。このような背景を踏まえ、著者らは加熱式タバコの使用と職業上の転倒との関連を明らかにすることを目的として、大規模データを用いた全国規模の横断研究を実施した。

肺がんに対する免疫療法、ステロイド薬の使用で効果減か

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対しては、がんに関連した症状の軽減目的でステロイド薬が処方されることが多い。しかし新たな研究で、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療開始時にステロイド薬を使用していると、ICIの治療効果が低下する可能性のあることが示された。米南カリフォルニア大学(USC)ケック・メディシンの腫瘍内科医であり免疫学者でもある伊藤史人氏らによるこの研究の詳細は、「Cancer Research Communications」に7月7日掲載された。伊藤氏は、「がんの病期や進行度といった複数の要因を考慮しても、ステロイド薬の使用は特定の免疫療法で効果が得られないことの最も強い予測因子であった」と話している。

REM睡眠中の無呼吸は記憶固定化と関連する脳領域に影響を及ぼす可能性

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に関連した低酸素血症は、前頭頭頂葉脳血管病変と関連し、この病変は内側側頭葉(MTL)の統合性低下や睡眠による記憶固定化の低下と関連するという研究結果が、「Neurology」6月10日号に掲載された。  米カリフォルニア大学アーバイン校のDestiny E. Berisha氏らは、認知機能に障害のない高齢者を対象に、実験室内での終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)および睡眠前後の感情記憶識別能力を実施し、それらを評価する観察研究を行った。PSGから導出したOSAの変数には、無呼吸低呼吸指数、総覚醒反応指数、最低酸素飽和度が含まれた。研究の早期時点で、MRIを用いて脳全体および脳葉の白質高信号域(WMH)の体積とMTLの構造(海馬体積、嗅内皮質〔ERC〕の厚さ)を評価した。

非HIVニューモシスチス肺炎、全身性ステロイドの有用性は?

 非HIV患者におけるニューモシスチス肺炎は、死亡率が30~50%と高く予後不良である。HIV患者のニューモシスチス肺炎では、全身性ステロイドが有効とされるが、非HIV患者における有用性は明らかになっていない。そこで、フランス・Hopital Saint-LouisのVirginie Lemiale氏らの研究グループは、非HIVニューモシスチス肺炎に対する早期の全身性ステロイド追加の有用性を検討する無作為化比較試験を実施した。その結果、主要評価項目である28日死亡率に有意な改善はみられなかったものの、90日死亡率や侵襲的機械換気の使用率が低下した。本研究結果は、Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年7月10日号に掲載された。

重症アナフィラキシー、最もリスクの高い食品は?

 食物誘発性アナフィラキシーの症例 2,600 件以上を調査した研究において、喘息の病歴がある場合やピーナッツが誘因となった場合、アナフィラキシーの重症度がより高くなると予測されることが判明したという。ルーベ病院センター(フランス)のGuillaume Pouessel氏らによる本研究結果は、Clinical and experimental allergy誌オンライン版2025年5月29日号に掲載された。  研究者らは、「フランス語圏アレルギー警戒ネットワーク(Allergy-Vigilance Network)」で2002~2021年に記録された食物アナフィラキシー症例を後ろ向きに解析し、Ring–Messmer分類による致命的な症例(Grade4)を重篤な症例(Grade3)と比較し、重症度が高いことに関連するリスク要因を特定した。

気管支拡張症に対する初めての有効な治療に注目(解説:田中希宇人氏 /山口佳寿博氏)

本研究は気管支拡張症に対する初の有効な薬物療法に関する重要な知見と考える。現在、気管支拡張症に承認された治療薬が存在せず、去痰剤や反復する感染に対する抗菌薬投与、抗炎症作用を期待したマクロライド系抗菌薬の長期少量投与などが経験的に用いられている。しかもこれらの治療法に関してはエビデンスは限定的で、耐性菌やQT延長などの副作用も懸念される。brensocatibはカテプシンC(DPP-1)を抑えることで好中球の炎症酵素活性を阻害するというまったく新しい機序によって気管支拡張症そのものの病態に直接作用し、増悪頻度を減らしうる治療薬と捉えられる。