精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:364

統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学

 未治療の統合失調症では多くの場合、周囲の人たちは、患者の精神症状や自殺企図の可能性を認識できていない。東邦大学の山口 大樹氏らは、致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者において、主観的な経験と観察された行動との間に矛盾があるかを質的パイロット研究により調査した。Annals of general psychiatry誌オンライン版2015年4月15日号の報告。

SSRI抵抗性、脳内ヒスタミンが関与か

 治療抵抗性うつ病の背景に存在する神経生物学的変化については、不明な部分が多い。一方で選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)不応については、ヒスタミンなどのセロトニン作動性神経を活性化する神経伝達物質システムの異常に起因している可能性がある。イタリア・フィレンツェ大学のLeonardo Munari氏らは、ヒスタミン合成不能マウスモデルを用いて、抗うつ薬抵抗性のメカニズムについて検討を行った。その結果、ヒスタミン合成不能マウスにおいて、レボキセチンやイミプラミンは抗うつ効果を発揮することが示唆された一方、SSRIはセロトニン作動性神経系が機能している場合でも効果が認められなかった。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年4月21日号の掲載報告。

認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか

 認知症高齢者は、危険運転のリスク群であるが、すべての認知症タイプにおいて同様であると考えてよいのだろうか。オランダ・フローニンゲン大学のDafne Piersma氏らは、認知症の病因が異なっても運転能力に同様の影響があるのかを検討するため、文献レビューを行った。Traffic Injury Prevention誌オンライン版2015年4月15日号の掲載報告。

パートナーがうつ病だと伝染するのか

 カップル間において、一方のうつ病はもう一方の適応障害のリスク因子となることを、スイス・チューリッヒ大学のAndrea B. Horn氏らが報告した。研究グループの検討では、このことはとくに男性に当てはまったという。適応障害は、ストレスフルなことに適切に対処できないことが診断理由である傾向が高い。一方で、臨床的に問題となる不適応を招く社会的リスクについては、ほとんどわかっていないが、文献的考察で、カップル間のコミュニケーションにおけるうつ病の影響やサポート状況の変化が示唆されていた。Psychother Psychosomatik Medizinische Psychologic誌オンライン版2015年3月30日号の掲載報告。

統合失調症の社会参加に影響する症状は何か

 認知機能、陰性症状、抑うつは統合失調症における障害の潜在的な予測因子である。米国・マイアミ大学のMartin T. Strassnig氏らは、さまざまな障害とそれを決定付ける潜在的な要因を評価した4件の研究の統合解析から、認知機能に関する治療は社会的機能にあまり影響しないことを示した。このことは、統合失調症における認知障害の治療に関する先行研究と一致するもので、著者は、「統合失調症の特徴は認知障害ではなく、陰性症状が社会的予後と関連していることであり、この特徴に応じて治療に取り組まなくてはならない」との見解を示した。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。

若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか

 日本では、とくに若者の間で「新型うつ病」や「ひきこもり(6ヵ月以上持続している重度の社会的なひきこもり)」と表現される新たな精神医学的事象が報告されてきている。信頼ゲームと呼ばれる経済ゲームが現実社会における対人関係の評価に利用できることから、早稲田大学高等研究所の渡部 幹氏らは、大学生を対象に予備的研究を行った。その結果、信頼行動が精神医学的評価スケールと関連していることを報告した。著者は、「新型うつ病やひきこもり等の人々における経済ゲームの妥当性が研究されるべきである」とまとめている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。

統合失調症への支持療法と標準的ケア、その差は

 英国・チェリイ・ノウル病院のLucy A Buckley氏らは、統合失調症に対する支持療法の有効性を、その他の治療法と比較するレビューのアップデートを行った。24件の無作為化試験(RCT)を組み込み評価した結果、標準的ケアとの比較では再発、入院、全般的機能に有意差は認められず、また心理的あるいは心理社会的療法のほうが入院、精神状態の改善、患者の治療満足度において有意に良好であったという。ただし、いずれの試験もエビデンスの質がきわめて低いものであったため、支持療法とその他の治療法との差異を明確化するには至らなかったと述べている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月14日号の掲載報告。

アリピプラゾール、脳卒中後の抑うつに対するメカニズム

 虚血性脳卒中後、うつ病を発症することは少なくない。虚血性脳卒中の発作後、慢性弱ストレス(chronic mild stress:CMS)が加わることにより抑うつに進展するか否かに関し、韓国・釜山大学校のYu Ri Kim氏らは、マウスを用いて検討を行った。その結果、発作後のCMSにより生じるドパミン作動性ニューロン損傷や海馬におけるニューロン新生低下をアリピプラゾールが回復させ、抗うつ作用を発揮する可能性を示唆した。Behavioural Brain Research誌2015年7月号の掲載報告。