精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:365

FINGER試験:もしあなたが、本当に認知症を予防したいなら・・・(解説:岡村 毅 氏)-321

 認知症リスクを持つ1,260人の高齢者を、食事療法・運動療法・認知トレーニング・血管リスクのモニタリングという、多領域にわたる介入群と対照群に無作為に振り分けたところ、介入群では認知機能低下を予防したというフィンランドからの報告である。実に当たり前の結果であるが、一流の論文とは当たり前のことをきちんと示すものだと認識しているので、まさに一流の論文だと思う。

自殺リスク評価の無作為化試験は実施可能なのか

 自殺は公衆衛生上の大きな問題であるが、自殺のリスクを有する患者について、自殺念虜の減少を目的として実施された無作為臨床試験はほとんどない。そうした中で現在行われている「Reducing Suicidal Ideation Through Insomnia Treatment:REST-IT」試験について、米国ジョージア・リージェンツ大学のWilliam Vaughn McCall氏らは2年目の状況をまとめ報告した。その結果を受けて著者は、「選択基準および除外基準、ならびに他の安全策を慎重に考えることによって自殺のリスクを有する成人患者を対象とした無作為化試験を安全に行うことができる」との見解を示している。Clinical Trials誌オンライン版2015年3月1日号の掲載報告。

統合失調症の治療成績にD2/3結合能は影響するか

 これまでの統合失調症研究で確認された最も優れた知見の1つが、陽性症状におけるドパミンD2受容体遮断と抗精神病薬効果の関連性である。デンマーク・コペンハーゲン大学のSanne Wulff氏らは、統合失調症初回エピソード未治療患者における線条体D2/3結合能(BPp)と治療アウトカムの相関性について調べた。結果、両者間の相関性を確認し、低BPp患者は高BPp患者と比べて治療反応が良好であること、またドパミン受容体遮断が高レベル時に機能が低下する可能性がある示唆が得られたことを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年2月18日号の掲載報告。

SSRI中止は離脱症状に注意を

 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は臨床現場で広く用いられている。SSRIは幅広い症状と関連しており、その臨床的意義は十分に理解されているわけではない。イタリア・ボローニャ大学のGiovanni A Fava氏らは、SSRI中止による影響について検討するシステマティックレビューを行った。Psychotherapy and psychosomatics誌オンライン版2015年2月21日号の報告。

高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は

 ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学病院のKonrad J. Werhahn氏らは、高齢者の焦点性てんかんに対するカルバマゼピン徐放製剤(CR-CBZ)の有効性を、レベチラセタム(LEV)およびラモトリギン(LTG)と比較検討する無作為化二重盲検並行群間試験を実施した。その結果、CR-CBZに比べLEVのほうが高い治療継続率を示したことを報告し、LEVの良好な忍容性がこの結果の背景にあることを示唆した。Epilepsia誌オンライン版2015年2月12日号の掲載報告。

精神疾患患者の安楽死、どう考える

 精神疾患や認知症の患者、また重篤な疾患はないが人生が嫌になっている患者における安楽死や医師による自殺幇助(EAS)は、非常に大きな論点となっている。このような場合、オランダの安楽死法の管轄に入るが、オランダ人医師はEASに消極的であるように見える。オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのEva Elizabeth Bolt氏らは、オランダ人医師がEASの可能性を拒否しているか否かを調査した。Journal of medical ethics誌オンライン版2015年2月18日号の報告。

EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

 米国・オークランド小児病院のRhonda P. Patrick氏らは、注意欠如・多動症、双極性障害、統合失調症などセロトニンが関与している脳機能障害患者では、ビタミンDおよび海洋性ω-3脂肪酸すなわちエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)のレベルがいずれも不十分であり、これらを適切に摂取することが脳機能障害の悪化を抑制・調節する可能性を報告した。FASEB Journal誌オンライン版2015年2月24日号の掲載報告。

降圧薬に認知症予防効果は期待できるのか

 慢性高血圧、とくに中年期の高血圧は、認知機能低下や認知症のリスク増加と関連することが知られている。しかし、降圧薬の予防効果についてはあまり解明されていなかった。フランス・INSERMのLaure Rouch氏らは、システマティックレビューを行い、カルシウム(Ca)拮抗薬やレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は認知機能低下および認知症の予防に有効である可能性を示した。ただし、「今回の知見を確認するためには、認知症を主要評価項目としたより長期の無作為化試験が必要」とまとめている。CNS Drugs誌2015年2月号の掲載報告。