精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:365

難治性うつ病発症に肥満が関連か

 肥満と大うつ病性障害(MDD)は公衆衛生上の大きな問題である。MDDは不均一な疾患であり、反復性MDD(MDD-R)と単一エピソードのMDD(MDD-S)とでは病因や予後が異なることが知られているが、肥満との関連性についてのエビデンスは不十分である。オランダ・フローニンゲン大学のYeshambel T Nigatu氏らは、一般住民を対象とした大規模観察研究において、肥満がとくにMDD-Rの発症と関連している可能性があることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「この問題を十分に評価するためにはさらなる大規模研究が必要であり、MDDに対する肥満の影響を調べる場合はMDDの不均一性を考慮すべきである」とまとめた。BMC Public Health誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。

アルツハイマーへのリバスチグミン、その有用性は

 英国・オックスフォード大学のJacqueline S Birks氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)に対するコリンエステラーゼ阻害薬リバスチグミンの臨床での有効性と安全性を確認するレビューを行った。13試験を包含した解析の結果、同薬は軽症~中等度ADに有益と思われること、プラセボとの比較で認知機能やADLの低下に対して効果があることが観察されたが、その程度はわずかで臨床的意義については不確かであることなどを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月10日号の掲載報告。

うつ再発にマインドフルネス認知療法が有望/Lancet

 うつの再発・再燃の予防療法として、マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy:MBCT)と抗うつ薬維持療法を比較検討する無作為化試験PREVENTが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken氏らにより行われた。有効性および費用対効果の観点で行われた評価の結果、MBCTが抗うつ薬維持療法より優れるというエビデンスは示されなかったが、両療法とも、再発・再燃、残存性のうつ症状およびQOLなどで良好なアウトカムを保つことが認められたという。Lancet誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。

日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か

 静岡てんかん・神経医療センターの井上 有史氏らは、日本人の成人難治性部分てんかん発作患者を対象に二重盲検プラセボ対照検証的試験を行い、レベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討した。その結果、主要有効性解析においてレベチラセタム群とプラセボ群の間で有効性に有意差は認められなかったが、探索的解析においてレベチラセタム3,000mg群はプラセボ群に比べ有意な発作減少が確認されたことを報告した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2015年4月8日号の掲載報告。

うつ病と抗うつ薬治療は乳がんリスクに影響しているのか

 うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説があるが、これらに同時に曝露した場合を考慮した先行研究はなく、うつ病によるリスク上昇が抗うつ薬使用に起因したものか、あるいはそうでないのかは未解決であった。米国マサチューセッツ大学アマースト校のKW Reeves氏らは、うつ病と抗うつ薬の使用を同時に考慮したモデルを用いて、乳がんリスクに及ぼす影響を検討した。その結果、うつ病は乳がんリスクと関連しなかったこと、抗うつ薬がわずかであるが乳がんのリスクを増加させ、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によるリスク上昇が確認されたことを報告した。Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention誌2015年4月号の掲載報告。

双極性障害、平均余命に大きく影響

 双極性障害患者は、平均余命が11~20年短縮することが報告されている。この計算は、個人の15歳時データに基づいており、それ以降に双極性障害を発症した多くの患者の誤解を招く可能性がある。デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Vedel Kessing氏らは、異なる年齢の双極性障害患者における平均余命の計算を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2015年4月4日号の報告。

統合失調症、維持期では用量調節すべきか:慶應義塾大

 抗精神病薬による65%以上のドパミンD 2受容体遮断は、統合失調症患者にとって最適な臨床効果と関連付けられている。しかし最近のデータでは、統合失調症の維持療法において、閾値はより低いことが示唆されている。慶應義塾大学の坪井 貴嗣氏らは、ドパミンD2受容体の持続的な高遮断が、統合失調症の維持治療において必要かどうかを検討した。Schizophrenia research誌2015年5月号の報告。

グルタミン酸受容体阻害薬、気分障害での可能性は

 新規の選択的な代謝性グルタミン酸5(mGlu5)受容体ネガティブアロステリックモジュレータであるDSR-98776について、齧歯目モデル試験の結果、有効な経口抗うつ薬および抗躁薬として作用することが示され、躁うつ病態を呈する幅広い気分障害の治療オプションと成りうることが示された。大日本住友製薬のTaro Kato氏らが報告した。European Journal of Pharmacology誌オンライン版2015年3月28日号の掲載報告。

妊娠糖尿病は子供の自閉スペクトラム症のリスク/JAMA

 妊娠26週までに妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親から出生した子供は、母親が糖尿病でない場合に比べ自閉スペクトラム症(ASD)を発症するリスクが高いことが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のAnny H Xiang氏らの検討で示された。胎児における母親の高血糖への曝露は、臓器の発達や機能に長期に影響を及ぼす可能性が示唆され、妊娠前の糖尿病だけでなく妊娠期間中の高血糖(=GDM)と、子供の肥満や代謝異常の長期的リスクとの関連が確認されている。一方、母親の糖尿病と子供のASDとの関連を検討した研究は少なく、GDMの発症時期を重視した報告はこれまでなかったという。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。

片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない

 2005年に発表した、片頭痛および緊張型頭痛の予防のためのSSRIに関するコクランレビューを、イタリア・Laboratory of Regulatory PoliciesのRita Banzi氏らはアップデートした。今回のレビューでは、SSRIやセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるベンラファキシン(国内未承認)を片頭痛の予防として用いることを支持するエビデンスは得られなかった。また、2~3ヵ月超の治療でSSRIやベンラファキシンがプラセボやアミトリプチリンより片頭痛の頻度、重症度および持続期間を減少させるというエビデンスも示されなかった。これらの結果を踏まえて著者は、「片頭痛の予防にSSRIやSNRIの使用は支持されない」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月1日号の掲載報告。