ドイツ版ベックうつ病調査票、実地臨床で活用可能か

提供元:ケアネット

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公開日:2015/09/02

 

 臨床の場において、抑うつ症状の評価手段としてベックうつ病調査票(BDI)が確立されているが、ドイツにおいて疫学調査用にapplied version(BDI-V)が開発されている。ドイツ・Federal Institute of Occupational Safety and Health(FIOSH)のUwe Rose氏らは、BDI-Vとさまざまな機能評価尺度との関連を分析し、BDI-Vのカットオフ値について検討した。検討の結果、性別によりカットオフ値に差がみられ、女性で高い傾向にあることが明らかになったという。Journal of Occupational Medicine and Toxicology誌オンライン版2015年7月19日号の掲載報告。

 研究グループは、BDI-Vとさまざまな機能評価尺度との関連を分析し、労働者におけるBDI-Vのカットオフ値を決定することを目的とした。仕事、年齢、健康、就労に関するドイツの第1回コホートスタディより6,339人の就労者を研究対象とした。抑うつ症状についてBDI-Vにより評価し、機能に関するデータは個人インタビューにより取得した。カットオフ値はミニマックスの分類原理を適用したROC曲線により判断した。

 主な結果は以下のとおり。

・ミニマックス原理によりBDI-Vカットオフ値は、男性回答者で20~24、女性回答者では23~28であった。
・これに対応する感度は男性で0.64~0.75、女性で0.59~0.74であった。
・特異度は男性で0.64~0.75、女性で0.60~0.74であった。
・すべての項目において、女性回答者で高いBDI-Vカットオフ値が示された。
・数値幅は前回の研究における推奨値より低く、数値の性別による差異が示された。

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(ケアネット)