精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:361

寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか

 てんかんは慢性的な神経障害であり、全世界に数百万の患者が存在する。主な治療法は抗てんかん薬(AED)であり、これにより発作を抑制し、てんかんをコントロールする。AEDは大半の症例で有効であるが、認知機能や行動の変化といった長期有害事象との関連が指摘されている。そのため、寛解を認めたらAEDを中止することが患者にとって最善だと考えられるが、その最適な中止時期については明らかとなっていなかった。英国・リバプール大学のIsabella Strozzi氏らは、AEDの最適な中止時期を明らかにするため、以前に行ったコクランレビュー(2001年第3号に発表)のアップデートを行った。その結果、小児てんかん患者において、発作寛解期間が2年未満の早期にAEDを中止した場合は再発率が高いことを報告し、抗てんかん薬は、最低2年の寛解期間を経た後に中止すべきことを示唆した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年2月11日号の掲載報告。

薬物過剰摂取のリスクを高める薬物は

 米国・テキサス大学健康科学センター・サンアントニオ校のBarbara J. Turner氏らは、非がん性疼痛に対してオピオイド等を投与された患者を対象に後ろ向きコホート研究を行った。結果、オピオイドならびにベンゾジアゼピン系薬の長期投与は薬物過剰摂取と関連しており、オピオイドのリスクはうつ病患者で最も高いこと、うつ病患者では抗うつ薬の長期使用が過剰摂取のリスクを低下させるが、非うつ病患者ではすべての抗うつ薬使用が過剰摂取のリスクを高めることを報告した。Journal of general internal medicine誌オンライン版2015年2月4日号の掲載報告。

フルフェナジンデポをいま一度レビューする

 英国・Enhance Reviews社のNicola Maayan氏らは、統合失調症患者に対するフルフェナジンデカン酸およびエナント酸と、経口抗精神病薬およびその他の神経遮断薬のデポ製剤を比較し、臨床的有効性、社会経済的アウトカムを評価するレビューを行った。その結果、フルフェナジンについてエナント酸よりもデカン酸に関するデータのほうが多く存在すること、いずれも有用な抗精神病製剤であること、データの質は低く有害事象データは曖昧だったがフルフェナジンデカン酸は他の経口抗精神病薬よりも運動障害の発生が少なかったことなどを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「本検討では、アドヒアランスの面でデポ薬に経口薬を上回る有益性は認められなかったが、このことを単純に日常診療には適用できないと思われる」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年2月5日号の掲載報告。

ヨガの呼吸法や瞑想、産前うつ軽減によい

 産前うつは、母体と胎児のどちらに対しても身体的、精神的な悪影響を及ぼす可能性がある。産前うつに対するヨガの有効性を明らかにするため、中国・第二軍医大学のHong Gong氏らは、6件の無作為化対照試験(RCT)の妊婦375例を対象に、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、呼吸法や瞑想を通して深いリラックスを促すタイプのヨガにより、うつが軽減されることを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2015年2月5日号の掲載報告。

統合失調症患者のQTc延長、アジア人では低い

 これまで、アジア人統合失調症患者におけるQT間隔(QTc)延長のパターンについては、ほとんど知られていなかった。中国・マカオ大学のYu-Tao Xiang氏らは、統合失調症のアジア人患者におけるQTc延長の発生状況と患者背景との関連について検討した。その結果、アジアではQTc延長の発生頻度は低く2.4%であったこと、また2004年と2008/2009年を比べると減少が認められ、なかでも中国と香港で顕著な減少がみられたことを明らかにした。さらに、原因薬剤の中でもチオリダジンが最も高頻度にQTc延長を引き起こしていたことなども報告した。Human Psychopharmacology誌オンライン版2015年1月22日号の掲載報告。

統合失調症患者は血栓症リスク大

 オーストラリア・シドニー大学のVincent Chow氏らによる検討の結果、統合失調症患者について、静脈血栓塞栓症のリスク増大に寄与する可能性がある、複数要因から成る凝固亢進状態および線溶低下状態を有するとのエビデンスが示された。これまで、同患者では静脈血栓塞栓症のリスク増大がみられていたが、その機序についてはほとんどわかっていなかった。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年1月26日号の掲載報告。

うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない

 抗うつ薬治療による急性期からのアウトカムを評価した結果、薬物間で差はみられなかったことが明らかにされた。米国・オハイオ州立大学医学部のRadu Saveanu氏らによる、最適なうつ病治療予測のための国際研究(International Study to Predict Optimized Treatment in Depression:iSPOT-D)からの報告で、今回の結果について著者は、「治療アウトカムの神経生物学的および遺伝子的な予測因子を明らかにする根拠となり得るものだ」と述べている。Journal of Psychiatric Research誌2015年2月号の掲載報告。

長期抗コリン薬使用、認知症リスク増加が明らかに

 抗コリン作用を有する薬剤の累積使用量が多いほど、認知症およびアルツハイマー病の発症リスクが高まることが、米国・ワシントン大学のShelly L Gray氏らが行った前向き住民ベースコホート試験の結果、明らかにされた。抗コリン作用を有している薬剤は多い。これまでの検討で、抗コリン作用誘発性の認知障害は、抗コリン薬の中止により回復すると考えられている。一方で、抗コリン作用を有する薬剤が、認知症リスク増加と関連する可能性については、少数の検討しか行われていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「抗コリン薬の長期使用を最小限に抑えるため、薬剤に関連するリスクの可能性について医療関係者および高齢者の認識を高める努力が重要である」と指摘している。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2015年1月26日号の掲載報告。