精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:228

高齢者のてんかん治療とADLとの関連

 高齢者におけるてんかん発作の抑制は、比較的容易であると広く考えられている。これは、高齢者の生活様式がてんかんの治療結果に影響を及ぼしている可能性があるとも考えられる。聖隷浜松病院てんかんセンターの藤本 礼尚氏らは、高齢てんかん患者のADLを調査し、てんかんの治療結果との比較を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年5月6日号の報告。  てんかんセンターに紹介された65歳以上の患者177例中、84例がてんかんと診断された。その後ADLレベルに応じて3群(ADL 1群:ADLに支障なし、ADL 2群:一部の手段的日常生活動作のみ支障あり、ADL 3群:一部の基本的なADLに支障あり)に分類し、ADLと治療アウトカムについて検討を行った。てんかん症候群および抗てんかん薬の使用も評価した。

抗てんかん薬、皮膚がんリスクと関連?

 抗てんかん薬と皮膚がんリスクとの関連を検討した、デンマーク・南デンマーク大学のKasper Bruun Kristensen氏らの報告によると、大半の抗てんかん薬では、皮膚がんとの関連は認められなかったが、カルバマゼピンとラモトリギンで有棘細胞がん(SCC)との関連が認められたという。抗てんかん薬には光感作性のものがあるが、これまで、それらが皮膚がんリスクを増大するかは不明であった。なお、本検討では皮膚がんの重要なリスク因子に関するデータ(日光曝露など)が入手できず、結果は限定的であった。著者は、「所見が再現性のあるものか、また、さらにほかの設定で特性付けられるかを調べる必要があり、直接的な臨床的意味のあるものではない」と述べている。

うつ病に対するアリピプラゾール増強療法と血漿ホモバニリン酸レベル

 福島県立医科大学の堀越 翔氏らは、うつ病に対する低用量(LD)および高用量(HD)のアリピプラゾール増強療法の有効性を評価するため、ランダム化比較試験を行った。さらに、アリピプラゾール増強療法中の臨床反応と血漿ホモバニリン酸(pHVA)レベルの変化との関係を調査した。Human Psychopharmacology誌2019年5月号の報告。  抗うつ薬に対し治療反応不十分なうつ病患者31例を対象として、LD(3mg/日)群17例またはHD(最大12mg/日)群14例にランダムに割り付け、6週間にわたるアリピプラゾール増強療法を行った。ベースライン、2週目、試験終了時に、Montgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)による評価およびpHVAの測定を行った。

緑茶摂取と認知症リスクに関するシステマティックレビュー

 認知症への対策は、緊急を要する大きな問題となっている。いくつかの研究において、食事での要因の影響により、認知症が予防できる可能性が示唆されている。サントリーワールドリサーチセンターのSaki Kakutani氏らは、緑茶に焦点を当て、緑茶の摂取と認知症、アルツハイマー病、軽度認知障害(MCI)、認知障害との関連を調査した観察研究のシステマティックレビューを実施した。Nutrients誌2019年5月24日号の報告。  PubMedより、2018年8月23日までの研究を検索し、お茶と認知機能との関連を調査した文献のリファレンスまたはレビューを調べた。次いで、緑茶の摂取と認知症、アルツハイマー病、MCI、認知障害との関連性を評価するオリジナルデータが、抽出した文献に含まれているかを調査した。

双極性障害維持療法に対するリチウムとラモトリギンの有効性と安全性~メタ解析

 リチウムまたはラモトリギンで臨床的に安定している成人双極性障害(BD)患者に対し、これらの薬剤を投与し続けるべきかについては、十分に確立されていない。藤田医科大学の大矢 一登氏らは、臨床的に安定している成人BD患者へのリチウムおよびラモトリギン維持療法の有効性と安全性について評価するため、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月26日号の報告。  本メタ解析には、リチウムまたはラモトリギンに対し急性反応を示した患者を選択した強化デザインによる、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のみを含めた。PubMed、Cochrane Library、Embaseより、2018年11月15日までの研究を検索した。主要アウトカムは、試験終了時点での気分エピソードの再発率とした。その他のアウトカムは、試験終了時の躁病/軽躁病/混合エピソードまたはうつ病による再発率、試験中止率、死亡、自殺による死亡とした。

統合失調症における洞察力と服薬アドヒアランスとの関連~CATIEデータ分析

 統合失調症治療において、抗精神病薬の服薬アドヒアランスは重要である。疾患に対する洞察力低下は、服薬ノンアドヒアランスの主な要因の1つであり、臨床アウトカムに悪影響を及ぼす。カナダ・トロント大学のJulia Kim氏らは、CATIE研究データを用いて、統合失調症患者の洞察力低下と抗精神病薬の服薬ノンアドヒアランスの割合、および服薬ノンアドヒアランスまでの期間との関係について検討を行った。Neuropharmacology誌オンライン版2019年5月8日号の報告。

せん妄や認知症と院内死亡率との関連

 大規模多施設共同研究において、認知障害の有病率および院内死亡率に対する影響について検討されたエビデンスはほとんどない。イタリア・Fondazione Camplani HospitalのAlessandro Morandi氏らは、認知障害、認知症、せん妄の有病率および院内死亡率への影響を検討するため、高齢入院患者を対象とした大規模多施設共同試験「Italian Delirium Day:2016年」を行った。The Journals of Gerontology. Series A, Biological Sciences and Medical Sciences誌2019年5月16日号の報告。

てんかんや統合失調症患者の早期死亡率~コホート研究

 デンマーク・オーフス大学のKatrine M. Andersen氏らは、てんかんおよび統合失調症患者の死亡率を、絶対的および相対的な尺度によって決定するための検討を行った。Epilepsia誌オンライン版2019年5月11日号の報告。  本研究は、1960~87年にデンマークで生まれ、25歳の誕生日時点でデンマークに居住していた住民を対象とした集団ベース全国規模コホート研究である。25歳以前にてんかんおよび統合失調症と診断された患者を特定し、死亡または移住について2012年までフォローアップを行った。主要アウトカムは、全死亡率とした。分析には、Cox回帰を用いた。

うつ病や不安と居住地の標高との関連

 いくつかの研究で、居住地の標高が高くなるとうつ病や自殺のリスクが増加すると示唆されているが、標高の変化によるこれらのリスクの変動を評価した研究は多くない。米国・ユタ大学のBrent M. Kious氏らは、医学生を対象に、うつ病や不安と居住地の標高との関連について検討を行った。International Review of Psychiatry誌オンライン版2019年5月14日号の報告。