精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:226

認知症症状がある元NFL選手、脳内タウ増加が判明/NEJM

 認知症・精神神経症の症状が認められる元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手について、脳内のタウなどを可視化するPET検査を行ったところ、症状のない男性コントロール群と比較して、慢性外傷性脳症(CTE)部位のタウ蓄積量はより多く、アミロイドβ蓄積量は同程度であることが示されたという。米国・ボストン大学のRobert A. Stern氏らによる検討結果で、NEJM誌2019年4月10日号で発表された。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、CTE部位のタウ蓄積量上昇が、個々の患者で、検出に役立つかどうかを調べる必要がある」と述べている。

若年性認知症の生存率に関するコホート研究

 若年性認知症患者の生存期間や平均余命、また年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係について、オランダ・Centre for Elderly CareのAdrie A. J. Gerritsen氏らが、調査を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月27日号の報告。  対象は、アルツハイマー型認知症(AD)、脳血管性認知症(VaD)、前頭側頭型認知症(FTD)患者を含む、若年性認知症のニーズ調査に参加した198例。主要アウトカムは、症状発現後および診断後の生存期間とした。生存率と年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係を調査するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。また、平均余命への影響も調査した。

双極性障害治療に対する新薬候補

 ドラッグ・リポジショニングは、多くの医療分野において有望なアイデアである。躁病および双極性障害の発症率低下に対するアスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、低用量アスピリン、高用量アスピリン、スタチン、アロプリノール、アンジオテンシン系薬の継続使用の影響を調査するため、デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Vedel Kessing氏らは、デンマークの全国人口ベースレジストリをシステマティックに使用し、検討を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2019年3月14日号の報告。

統合失調症に対する抗炎症薬補助療法~メタ解析

 統合失調症に対する抗炎症薬補助療法が、症状改善に寄与することが最近のエビデンスで示唆されている。しかし、認知機能、全般的機能、副作用に対する抗炎症薬補助療法の効果については、システマティックに研究されていない。韓国・カトリック大学のMyeongju Cho氏らは、統合失調症に対する抗炎症薬補助の効果を包括的に調査するため、メタ解析を実施した。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年3月13日号の報告。

認知症患者へのアミロイドPETが患者管理に影響/JAMA

 病因が不確定な軽度認知障害(MCI)および認知症の患者に対し、アミロイドPETを行ったところ、約6割の患者で施行前とは異なる患者管理に変更されたとの研究結果が、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のGil D. Rabinovici氏らが実施したIDEAS試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年4月2日号に掲載された。アミロイドPETは、アルツハイマー病の主要な神経病理学的特徴である脳アミロイド斑を検出する。アミロイドPETを臨床評価に追加すると、診断精度が向上するとされるが、アミロイドβの蓄積は他の神経変性疾患や認知機能が正常な高齢者にもみられるという。

アミロイドが見えるとどうなる?(解説:岡村毅氏)-1024

かつてはアルツハイマー型認知症は死後にしか正確に診断できないとされてきた。しかしアミロイドペットの臨床応用とともに、変わりつつあるようだ。本研究は巨大で、1万6,008名の患者さん、全米595施設から946名の専門医師が参加したものであり、人々(患者さんや医師)の動きを鳥の目で見ることができる点で興味深い。少し詳しく説明しよう。脳はバイオプシーができないので、脳内にアミロイドがたまる病気であるアルツハイマー型認知症は、基本的には外から患者さんをみることでしか検査ができなかった。

高校進学時のうつ病に対する予防プログラム

 中学校から高校へ進学する青少年におけるうつ病および不安症状に対する学校ベースの適応予防プログラムの効果について、米国・ワシントン大学のHeather Makover氏らが、検討を行った。Prevention Science誌オンライン版2019年3月9日号の報告。  高校進学プログラムは、青少年にとってとくに脆弱な時期における社会的および学術的な問題解決のスキルとエンゲージメントを構築するために設計されたプログラムである。太平洋沿岸北西部の6校の中学校の生徒2,664人を対象に、8年生の後半に普遍的な感情健康診断を実施し、うつ病スコアが高く、行動障害問題スコアの低かった生徒に対し研究参加を依頼した。

統合失調症の陰性症状に対する運動療法の効果~メタ解析

 統合失調症患者の陰性症状に対するさまざまな運動療法(PE)の効果を評価するため、オランダ・フローニンゲン大学のJelle Sjoerd Vogel氏らは、メタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2019年3月14日号の報告。  本研究では、心身運動(mind-body exercise:MBE)、有酸素運動(aerobic exercise:AE)、レジスタンストレーニング(resistance training:RT)について検討を行った。2018年4月26日までの研究をCochrane Library、Medline、Embase、PsycINFOより検索を行った。

セリンクロの登場がアルコール依存症治療を継続させるきっかけに

 2019年3月28日、大塚製薬株式会社は、同社の製造販売する飲酒量低減薬ナルメフェン(商品名:セリンクロ)が発売されたことを機し、都内でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、アルコール依存症の現状と治療の最新情報が解説された。  セミナーでは、「アルコール依存症をとりまく現状と治療 新しい診断治療ガイドラインを踏まえて」をテーマに、樋口 進氏(久里浜医療センター 院長)が講師としてレクチャーを行った。  わが国の飲酒実態とアルコール依存症治療のギャップに触れ、飲酒量全体は横ばいまたは微減となっている中で、アルコール依存症患者は約107万人と推定されているが、実際に治療を受けている患者は、約5万人とかなりの未診療患者がいると指摘した。この治療ギャップを埋めるためにも「医療連携の促進・地域の取り組み・軽症例のプライマリケアでの受診・診療ガイドラインの作成」などの取り組みが必要と同氏は提起する。

災害関連不眠症の長期経過~福島原発所員のフォローアップ調査

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故の災害関連体験と原子力発電所員の不眠症との関連、および各不眠症状への長期的な影響について、順天堂大学の野田(池田) 愛氏らが調査を行った。Sleep誌オンライン版2019年3月11日号の報告。  対象は、2011~14年までの3年間にアテネ不眠尺度を用いたアンケートおよび2011年の災害関連体験に関するアンケート調査に回答した発電所員1,403例。災害関連体験と不眠症との縦断的な関連を調査するため、混合効果ロジスティック回帰モデルを用いた。