精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:189

アルツハイマー病やMCIでみられる味覚障害の調査

 アルツハイマー病(AD)患者では、味覚障害が認められることがあるが、このことについてはあまり研究されていない。鳥取大学の河月 稔氏らは、ADもしくは軽度認知障害(MCI)を有する患者と認知症でない対照(NDC)群における味覚機能や味覚に影響を及ぼす要因を調査し、認知機能障害と味覚機能との関連を評価した。BMC Neurology誌2020年3月26日号の報告。  対象は、AD群29例、MCI群43例、NDC群14例。病歴および薬歴を収集し、唾液分泌量測定、認知機能検査、血液検査、全口腔法味覚検査、食事および味覚に関するアンケートを実施した。

うつ病の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 実臨床におけるうつ病治療は、常に従来のガイドラインに沿っているわけではない。慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、精神科専門医を対象に、うつ病の治療オプションに関する調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年4月1日号の報告。  日本臨床精神神経薬理学会の認定精神科医を対象に、うつ病治療における23の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。114件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。

統合失調症、 D2受容体への非結合薬剤は有効か?/NEJM

 急性増悪期統合失調症患者において、D2受容体に結合しない抗精神病薬SEP-363856はプラセボと比較し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアのベースラインからの変化量を有意に改善させることが、東欧および米国の5ヵ国計34施設で実施された4週間の第II相無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果、明らかとなった。米国・Sunovion PharmaceuticalsのKenneth S. Koblan氏らが報告した。SEP-363856は、ドパミンD2受容体に結合せず、微量アミン関連受容体1(TAAR1)とセロトニン5-HT1A受容体に対するアゴニスト活性を有する経口化合物で、統合失調症の精神病状態を治療する新しいクラスの向精神薬となる可能性があるという。NEJM誌2020年4月16日号掲載の報告。

急性期統合失調症に対する認知リハビリテーションの可能性

 多くの研究において、統合失調症患者に対する認知リハビリテーションが有用なアウトカムを示しているが、日常的および社会的機能に対する認知リハビリテーションの有効性は、よくわかっていない。また、認知リハビリテーションの内容や方法に関する検討は不可欠ではあるが、実施するタイミングも重要であると考えられる。東邦大学の根本 隆洋氏らは、急性期統合失調症患者に対する認知リハビリテーションの実現可能性および受容性について調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2020年3月26日号の報告。  入院病棟へ急性期入院した患者を15ヵ月間連続でエントリーし、入院後14日以内に8週間の認知リハビリテーションプログラムに参加できるかどうかを評価した。

血圧変動と認知症リスク~コホート研究

 血圧の来院時変動と一般集団における認知症発症率および認知症サブタイプとの関連を調査するため、韓国・Seoul National University HospitalのJung Eun Yoo氏らは、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。Hypertension誌2020年4月号の報告。  韓国国民健康保険データベースを用いて、2005~12年に3回以上の健康診断を受けた認知症既往歴のない784万4,814例を対象とした。血圧変動性(BPV)は、平均、変動係数、SDとは独立した変動性を用いて測定した。

うつ病や双極性障害における嗅覚記憶の比較

 嗅覚認識記憶の変化は、うつ病の感覚マーカーである可能性がある。そして、単極性うつ病と双極性うつ病で有意な差が存在する可能性もある。フランス・トゥール大学のFrancois Kazour氏らは、単極性および双極性うつ病の潜在的なマーカーを特定するため、検討を行った。Brain Sciences誌2020年3月24日号の報告。  双極性うつ病(DB)群、双極性寛解(EB)群、単極性うつ病(DU)群、単極性寛解(EU)群、正常対照(HC)群を募集した(176例)。対象者には、標準化された臨床評価および嗅覚評価を行った。

慢性期統合失調症外来患者の維持治療におけるLAIと経口剤の比較

 台湾・マッカイ医科大学のSu-Chen Fang氏らは、慢性期統合失調症患者の維持療法において、抗精神病薬治療を長時間作用型注射剤(LAI)のみで行った患者と経口薬(PO)のみで行った患者における精神科サービスの利用率の比較を行った。Human Psychopharmacology誌オンライン版2020年3月17日号の報告。  2011年の台湾全民健康保険研究データベースより、維持療法を受けた慢性期統合失調症患者のコホートを作成し、12ヵ月間のフォローアップを行った。対象患者は、統合失調症と診断されて3年以上、2011年の入院歴がない、維持療法を1年以上受けていた患者とした。精神科サービスの利用を推定するために、inverse probability of treatment weighting (IPTW法)、ロジスティック回帰モデル、線形回帰モデル、負の二項回帰モデルを使用し、LAI群とPO群の共変量の不均衡を調整した。

アルツハイマー病とレビー小体型認知症の入院リスク

 認知症患者の入院リスクは高いことが知られているが、このことに認知症の種類による違いがあるのかは、あまりわかっていない。ノルウェー・スタヴァンゲル大学病院のRagnhild Oesterhus氏らは、アルツハイマー病(AD)患者とレビー小体型認知症(LBD)患者で入院に違いがあるのかを調査し、その入院率について年齢をマッチさせた一般集団との比較を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年3月5日号の報告。  対象は、軽度のAD(110例)またはLBD(91例)と最近診断された外来診療所受診患者(年齢:75.7±7.4歳)。対象患者には、診断後5年間または死亡までフォローアップが行われた。

統合失調症や双極性障害患者における寛解後の睡眠と概日リズム障害~メタ解析

 統合失調症では、睡眠障害や概日リズム障害が一般的に認められるが、その特徴はよくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのNicholas Meyer氏らは、寛解期統合失調症患者における睡眠概日変化の重症度や不均一性について比較検討を行った。また、これらのエピソードについて双極性障害患者との比較を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年3月10日号の報告。  統合失調症または双極性障害患者を対象としてアクチグラフィーパラメータを調査したケースコントロール研究をEMBASE、Medline、PsycINFOより検索した。

うつ病の原因リスク遺伝子

 うつ病に関連するいくつかの遺伝的変異は、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により特定されている。しかし、リスク遺伝子座において関連シグナルの要因となる原因変異を特定することは、依然として大きな課題となっている。中国・Jining Medical UniversityのXin Wang氏らは、うつ病との因果関連が認められる遺伝子の特定を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年3月15日号の報告。  Summary data-based Mendelian Randomization(SMR)とPsychiatric Genomics Consortium(PGC)のGWASサマリーおよび脳の発現定量的形質遺伝子座データを用いて、その発現レベルとうつ病との因果関連が認められる遺伝子の特定を行った。