精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:190

治療抵抗性統合失調症に対するルラシドンの精神病理および認知機能への効果

 クロザピンに加え、薬理学的にクロザピンに類似した他の非定型抗精神病薬(たとえばオランザピン、リスペリドン、melperone)も、治療抵抗性統合失調症(TRS)に対する有効率は40%未満である。米国・ノースウェスタン大学のHerbert Y. Meltzer氏らは、TRS患者に対する非定型抗精神病薬ルラシドンの精神病理および認知機能への有用性を検討するため、6ヵ月間の試験期間中に2つの用量での比較を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2020年5/6月号の報告。  ルラシドン80mg/日による6週間のオープン試験(第I相試験)期間中に精神病理学的な改善が認められなかった患者をTRSと定義した。その後、TRS患者をルラシドン80mg/日または240mg/日に割り付け、24週間のランダム化二重盲検試験(第II相試験)を実施した。

COVID-19、回復期におけるうつ病と免疫反応に相関性

 これまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染して重度の急性呼吸器症候群となった患者のうち、退院後に自己申告のうつ病とされた患者は観察されていたが、回復期からこの自己申告のうつ病が発症しているのかは不明だった。中国・深センSamii医療センター(SSMC)のBo Yuan氏らは、オンラインアンケートを利用して回復期のCOVID-19患者のメンタルヘルス状態を調べたうえで、定期的な血液および生化学データを含む患者の臨床的特徴を遡及的に分析し、うつ病と免疫反応との相関性を見た。Brain, Behavior, and Immunity誌オンライン版5月25日号掲載の報告。

認知症患者におけるCOVID-19の影響

 認知症患者において、COVID-19による死亡リスクへの影響は不明である。イタリア・Istituto Clinico S.Anna HospitalのAngelo Bianchetti氏らは、COVID-19で入院した患者における認知症の有病率、臨床症状、その後のアウトカムについて評価を行った。The Journal of Nutrition, Health & Aging誌オンライン版2020年5月15日号の報告。  北イタリア・ブレシア県にある急性期病院のCOVID-19病棟にCOVID-19肺炎で入院した627例を対象に、認知症の診断、COVID-19の発症様式、病院での症状やアウトカムなどの診療記録をレトロスペクティブに分析した。

急性期統合失調症に対するアリピプラゾールとブレクスピプラゾールの比較~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、急性期統合失調症に対するアリピプラゾールとブレクスピプラゾールの有効性および安全性、忍容性を評価するため、ランダム化試験のシステマティックレビュー、ネットワークメタ解析を実施した。Psychopharmacology誌2020年5月号の報告。  2019年5月22日までの研究を、Scopus、MEDLINE、Cochrane Libraryより検索した。主要アウトカムは治療反応率とし、副次的アウトカムは中止率、有害事象発生率とした。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。  主な結果は以下のとおり。

うつ病の発症、HHV-6が持つ遺伝子SITH-1が関与か:慈恵医大

 これまで、ヒト遺伝子の中にうつ病の原因となる有効な遺伝子は発見されていなかった。今回、東京慈恵会医科大学の近藤 一博氏らは、ヒトに寄生する微生物を含む遺伝子群(メタゲノム)に着目、ヒトに潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス6B(HHV-6B)が持つ、うつ病の原因となる遺伝子SITH-1を発見したことを発表した。SITH-1は脳のストレスを亢進させることでうつ病を発症させる作用があり、うつ病と診断されない程度の軽いうつ症状にも影響していたという。iScience誌オンライン版2020年5月21日号掲載の報告。  HHV-6Bは小児期に突発性発疹として感染し、ほぼ100%のヒトが潜伏感染している。HHV-6Bは脳神経に親和性の高いウイルスで、さまざまな脳神経疾患や精神疾患との関係が予想されている。研究チームはHHV-6Bが嗅球で潜伏感染する際に発現するSITH-1遺伝子を発見、疾患との関係を調べた。

うつ病から双極性障害や統合失調症への移行~15年間のプロスペクティブ研究

 うつ病から双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害への移行について、その時間的パターンと予測因子を調査するため、フィンランド・ヘルシンキ大学のIlya Baryshnikov氏らは、レジスターベースのコホート研究を実施した。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年5月8日号の報告。  1996~2011年に精神科病棟へ初回入院したすべてのうつ病患者4万3,495例を15年間フォローアップした。診断転換の累積発生率および部分分布ハザード比(SHR)は、累積発生関数およびFine-Gray部分分布モデルを用いて定義した。

高齢者の血清尿酸値とうつ病との関係

 可溶性尿酸塩は、とくに中枢神経系における抗酸化作用として機能することが示唆されている。血清尿酸値が低いと神経変性疾患のアウトカム不良につながることを示唆するデータも存在するが、メンタルヘルスに対する影響は十分に評価されていない。韓国・中央大学校のWoo-Joong Kim氏らは、大規模サンプルを用いて、血清尿酸値とうつ病との関連について調査を行った。Arthritis Research & Therapy誌2020年5月6日号の報告。  対象者の社会人口統計学的特性、身体的および精神的健康状態に関する情報は、2016年の韓国国民健康栄養調査(KNHANES)のデータを用いた。うつ症状の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。年齢により、若年成人(19~39歳)、中年成人(40~59歳)、高齢者(60歳以上)に層別化し、分析を行った。

電子タバコ/vaping製品の安全性が担保されていないこと/急増する電子タバコ関連肺損傷を周知し、安易に手を出すことを慎もう!(解説:島田俊夫氏)-1240

紙巻きタバコが有害なことはこれまでの多くの研究から生活習慣病の悪習の一因として周知されており、紙巻きタバコはあらゆるがんの発生や動脈硬化の促進に関与していることは周知の事実である。さらに、心血管障害の大きなリスク因子としてのみならず、感染症に対して免疫力の低下をもたらすこともわかってきており、生活習慣病の大きな病因と見なされるようになっている。喫煙者が禁煙したいと思う気持ちをもてあそび、禁煙のために紙巻きタバコ代替品に安易に飛び付くように仕向けられた誇大広告により電子タバコ/vaping製品を使用する禁煙志願者が増加している。

不眠症とQOL~EPISONO研究

 睡眠は健康やウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)にとって不可欠であり、睡眠不足は深刻な生理学的問題を引き起こす可能性がある。ブラジル・サンパウロ連邦大学のLeandro Lucena氏らは、睡眠パターンを評価し、QOLに対する不眠症の影響について調査を行った。Sleep Health誌オンライン版2020年4月22日号の報告。  EPISONO研究(Sao Paulo epidemiologic sleep study)は、睡眠と睡眠障害のリスク因子に関する人口ベースの疫学調査として実施された。性別、年齢、社会経済的地位に応じたサンパウロの人口を代表する18歳以上の男性574例、女性468例を対象とし、横断的研究を行った。客観的な睡眠の評価に睡眠ポリグラフのデータを用い、QOLを評価するためにアンケートを実施した。DSM-IVに基づき検証したアンケートを用いて自覚された不眠症を評価し、対象者を「不眠症状なし」「不眠症状あり」「不眠症候群」に分類した。身体測定データ、客観的な睡眠パラメータ、QOLを評価し、対象者を性別ごとに年齢に応じて分類した。

双極性障害患者の精神疾患合併症の調査

 双極性障害(BD)患者では、ほかの精神疾患を合併することが少なくない。いくつかの研究では、BD発症前後でみられる精神疾患の発症について、システマティックに調査が行われている。モナコ・Hospital Princesse GraceのJ. Loftus氏らは、成人BD患者における精神疾患の合併率と発症年齢について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年4月15日号の報告。  寛解期のフランス人BD患者739例を対象に、アルコールや大麻乱用、自殺企図、不安症、摂食障害の既往例および発症年齢について、構造化された臨床面接により収集した。性別またはサブタイプ別に層別化されたBD群における精神疾患の合併率と発症年齢の統計学的に有意な関連は、回帰分析を用いて評価した。