働き方改革スタートから1年、「変化を感じる」は35%/ウォルターズ・クルワー調査

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/09

 

 医師の働き方改革がスタートして1年。医療業界向けの情報サービス事業のウォルターズ・クルワー・ヘルスは医師を対象に「『医師の働き方改革』に関する調査」と題したアンケートを行い、その結果を発表した。

1)働き方改革は進むも「自身の変化」の実感は乏しい

「自身の勤務先の働き方改革の取り組み」を聞いた設問には、「取り組んでいる」との回答が83%だったが、その中で自身の働き方にも「変化を感じる」と答えた人は35%に留まった。

2)「賃金・報酬制度の見直し」は35%が望むも、実施は5.8%

「実際に行われている取り組み(複数回答)」を聞いた設問では、「業務の効率化」(23%)、「ミーティング・カンファレンス時間の短縮」(20%)、「ワークライフバランスの向上」(17%)が多かった。一方、医師が「取り組みが必要だと考えること」と「実際の取り組み」の間にはギャップが見られ、「業務の効率化」「ワークライフバランスの向上」は15ポイント以上の差が見られた。この差はとくに「賃金・報酬制度の見直し」の項目で大きく、約30ポイントの差があった。

3)過半数が「特に成果はない」

「医師の働き方改革における効果と課題」を聞いた設問では、「労働時間が短くなった」が15%、「業務が効率化された」が12%と上位に挙がったものの、「特に成果はない」が56%と過半数を占めた。

4)診療・研究時間が「減った」のは2割

「実際に、診療や研究にかける時間の変化」を聞いた設問では「治療方針決定にかける時間」「研究にかける時間」が「減少した」と答えたのは2割未満。7割以上が「変わらない」としており、質を維持しながら改革を進める難しさが伺える結果となった。「1日3件以上の臨床疑問がある」と答えた医師は約35%超で、うち9割以上が「すべては解決できていない」と回答した。

5)過半数はDX導入に期待

「勤務先のDX化(デジタル技術の導入や活用の推進)の取り組み」を聞いた設問では、45%が「勤務先はDX化に取り組んでいる」と回答したが、「自身の働き方にも変化がある」としたのはうち16%だった。「DXの導入によって働き方が改善されると思う」との回答は56%だった。「必要な取り組み・ツール」(複数回答)としては「手続きや書類管理の自動化ツール(29%)、「業務を分担するためのタスクシフト導入」(27%)、「柔軟な勤務時間制度」(25%)などが多かった。

【アンケートに寄せられた声(一部抜粋)】

「人材不足のままでは働き方改革の限界。離職者も増えている。行政による介入が必要」(小児科・勤続20年以上)
「他社製品と比べて20年遅れた電子カルテが原因で業務に時間がかかる」(内分泌内科・10〜20年)
「研修医や若手医師だけが時間短縮され、中堅医師にしわ寄せが来ている」(内科・10〜20年)
「時間外労働の短縮が給与減につながるため、改革に抵抗がある」(その他診療科・10〜20年)
「小手先の医療者側の改革は意味がない。患者側(国民側)の改革も必要」(麻酔科・5年未満)

アンケートの概要

・調査期間:2024年11月29日~12月2日
・対象:全国の200床以上の医療機関の勤務医、24~69歳、206名
・手法:インターネット

(ケアネット 杉崎 真名)