鼻茸を伴う難治性慢性副鼻腔炎、テゼペルマブ追加が有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/03/17

 

 鼻茸を伴う重症の難治性慢性副鼻腔炎の成人患者において、ヒト抗TSLPモノクローナル抗体テゼペルマブ(本邦適応は気管支喘息のみ)による治療はプラセボと比較して、鼻茸サイズ、鼻閉および副鼻腔症状の重症度、鼻茸切除および全身性グルココルチコイド治療を有意に減少したことが示された。英国・ダンディー大学のBrian J. Lipworth氏らWAYPOINT Study Investigatorsらが第III相の「WAYPOINT試験」の結果を報告した。テゼペルマブ治療は、重症の難治性気管支喘息で鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎既往の患者の副鼻腔症状に対する有効性は示されていたが、鼻茸を伴う重症の難治性慢性副鼻腔炎の成人患者に対する有効性および安全性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年3月1日号掲載の報告。

日本を含む10ヵ国112施設で、成人患者を対象に第III相試験を実施

 第III相WAYPOINT試験は、多施設共同並行群間二重盲検無作為化比較試験で、2021年4月22日~2023年8月23日に日本を含む10ヵ国112施設で行われた。

 研究グループは、医師の診断を受けた症候性の鼻茸を伴う重症の慢性副鼻腔炎の成人(18歳以上)患者を、標準治療(鼻腔内グルココルチコイド療法)に加えてテゼペルマブ(用量210mg)またはプラセボを受ける群に無作為に割り付け、4週ごと52週間にわたり皮下投与した。

 主要エンドポイントは2つで、52週時点の総鼻茸スコア(範囲:0~4[各鼻孔について]、高スコアほど重症度が高いことを示す)と平均鼻閉スコア(範囲:0~3、高スコアほど重症度が高いことを示す)のベースラインからの変化とした。

 全集団で評価した重要な副次エンドポイントは、嗅覚喪失スコア、Sinonasal Outcome Testの総スコア(SNOT-22、範囲:0~110、高スコアほど重症度が高いことを示す)、Lund-Mackayスコア(範囲:0~24、高スコアほど重症度が高いことを示す)、総症状スコア(範囲:0~24、高スコアほど重症度が高いことを示す)、および鼻茸切除または全身性グルココルチコイド治療(あるいはその複合治療)の最初の決定(time-to-event解析で個別的および複合的に評価)であった。

テゼペルマブ治療の有効性、安全性を確認

 410例が無作為化を受け、408例(テゼペルマブ群203例、プラセボ群205例)が有効性および安全性のエンドポイント解析に包含された。両群の試験薬中止の理由で最も多かったのは鼻茸切除であった。被験者の人口統計学的およびベースラインの臨床的特徴は両群間でおおむねバランスが取れており、408例の平均年齢は49.7±13.6歳、男性が65.2%、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と診断されてからの期間は12.75±10.37年などであった。

 52週時点で、テゼペルマブ群は総鼻茸スコア(対プラセボとの平均群間差:-2.07、95%信頼区間[CI]:-2.39~-1.74)、平均鼻閉スコア(-1.03、-1.20~-0.86)が有意に改善した(両スコアp<0.001)。

 また、テゼペルマブ群は、嗅覚喪失スコア(対プラセボとの平均群間差:-1.00、95%CI:-1.18~-0.83)、SNOT-22総スコア(-27.26、-32.32~-22.21)、Lund-Mackayスコア(-5.72、-6.39~-5.06)、総症状スコア(-6.89、-8.02~-5.76)も有意に改善した(全スコアp<0.001)。

 鼻茸切除が適応された患者は、テゼペルマブ群(0.5%)がプラセボ群(22.1%)と比べて有意に少なかった(ハザード比:0.02、95%CI:0.00~0.09)。全身性グルココルチコイド治療もテゼペルマブ群(5.2%)がプラセボ群(18.3%)と比べて有意に少なかった(0.12、0.04~0.27)(両方のtime-to-event解析p<0.001)。

(ケアネット)

原著論文はこちら

Lipworth BJ, et al. N Engl J Med. 2025 Mar 1. [Epub ahead of print]