腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:302

分子標的治療薬の新たな薬剤耐性メカニズム発見/LC-SCRUM-Japan

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)の研究所(所長: 間野博行)ゲノム生物学研究分野、中奥敬史研究員、河野隆志分野長、東病院(院長:大津 敦)呼吸器内科、後藤功一科長らは2018年2月14日、京都大学、東京大学、理化学研究所、英国クリック研究所と共同で、分子標的治療薬バンデタニブによって治療されたRET融合遺伝子陽性の肺がん患者のがん試料の機能ゲノム解析を行い、新しい薬剤耐性メカニズムを発見したと発表。研究結果は米国学術雑誌Nature Communicationsに2月12日付けで発表された。

新規分子標的薬ラロトレクチニブ、TRK融合遺伝子陽性がんに奏効/NEJM

 高選択性トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬larotrectinibによる「年齢・腫瘍非依存的治療(“age- and tumor-agnostic”therapy)」は、TRK融合遺伝子陽性がん患者において、年齢や腫瘍の種類にかかわらず著明かつ持続的な抗腫瘍活性を示すことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのAlexander Drilon氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2018年2月22日号に掲載された。3種類のTRK(TRKA、TRKB、TRKC)の1つを含む融合遺伝子が、小児と成人の多様ながんで同定されている。これらの融合遺伝子は、原発組織にかかわらず、がん遺伝子中毒(oncogene addiction)を引き起こし、全固形がんの最大1%への関与の可能性が示唆されている。

日本の乳がん長期生存率の改善度~年齢・病期別

 近年、乳がんの5年生存率は日本および他の国々で改善しているが、10年生存率の改善や年齢・病期別の改善度は不明である。今回、愛知県がんセンター中央病院の吉村 章代氏らが地域がん登録データを用いて検討し、10年相対生存率が1993~2006年で2.4%改善したことを報告した。また、年齢・病期別の分析では、15~34歳および遠隔転移での改善度が非常に小さく、これらの患者における新しい治療戦略の必要性が示唆された。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年2月24日号に掲載。

超加工食品の摂取量、全がんリスク上昇と関連/BMJ

 食事における超加工食品(ultra-processed food)の割合が10%上昇すると、全がんリスクおよび乳がんリスクが10%以上有意に上昇することを、フランス・パリ第13大学のThibault Fiolet氏らが、前向き大規模コホート研究の結果で報告した。超加工食品は、低栄養価、添加物、食品と接触するパッケージの材質、製造・加工・貯蔵で生成される化合物によって特徴付けられる。がんリスクとの関連についての疫学データは不足しているが、これまでの研究では、一般に超加工食品と認識される特徴要素の中に発がん作用がある可能性が示唆されていた。BMJ誌2018年2月14日号掲載の報告。

オシメルチニブ耐性後のMET増幅、NSCLCの予後を悪化?/Lung Cancer

 MET増幅はEGFR C797Sと並び、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの代表的な体制機構である。過去の研究では、オシメルチニブ耐性の30%前後にMET増幅がみられるとの報告もある。しかし、オシメルチニブ耐性後のMET増幅に関するコホート研究はほとんど行われていない。本研究では、進行肺腺がん患者におけるオシメルチニブ耐性後のMET増幅の獲得について、またMET増幅と臨床予後との関係について調査した。

非転移性去勢抵抗性前立腺がん、アパルタミドがMFS延長/NEJM

 アンドロゲン受容体の競合的阻害薬apalutamideは、高リスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の転移および死亡のリスクを改善し、無転移生存期間(MFS)を延長することが、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのMatthew R. Smith氏らが行ったSPARTAN試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年2月8日号に掲載された。apalutamideは、開発中の非ステロイド性抗アンドロゲン薬で、病勢進行リスクの高い非転移性去勢抵抗性前立腺がんの第II相試験において、良好な前立腺特異抗原(PSA)奏効期間が報告されている。

レンバチニブ vs.ソラフェニブ、切除不能肝細胞がん初回治療/Lancet

   切除不能肝細胞がんの初回治療において、レンバチニブはソラフェニブに対し全生存期間(OS)の非劣性が認められた。また、レンバチニブの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの研究と一致していた。近畿大学の工藤 正俊氏らが、国際多施設共同無作為化非盲検第III相非劣性試験(REFLECT試験)の結果を報告した。切除不能肝細胞がん患者の初回全身療法として承認されているのはソラフェニブのみであり、新しい治療薬の開発が望まれていた。レンバチニブは、VEGF受容体(VEGFR)であるVEGFR1~3、FGF受容体(FGFR)であるFGFR1~4、PDGF受容体α、RET、KITを標的とするキナーゼ阻害薬で、第II相試験において肝細胞がんに対する有効性が示唆されていた。Lancetオンライン版2018年2月9日号掲載の報告。