外傷性脳損傷の再生医療、目の前に…細胞薬SB623有意差示す

サンバイオ株式会社は、平成30年11月1日、再生細胞薬SB623の外傷性脳損傷を対象にした日米グローバル第II相STEMTRA試験において、主要評価項目を達成したと発表。
STEMTRA試験の主要評価項目である脳卒中後感覚運動機能回復度評価尺度のFugl-Meyer Motor Scaleにおいて、SB623投与群は、コントロール(プラセボ)群と比較して、運動障害を伴う慢性期外傷性脳損傷(TBI)患者の運動機能を、統計学的に有意に改善し、主要評価項目を達成した。24週時点のFugl-Meyer Motor Scaleのベースラインからの改善量は、SB623投与群の8.7点に対し、コントロール群では2.4点であった。
SB623の治験で運動機能の有意な改善が認められた
また、安全性についても、SB623のこれまでの試験の安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性の懸念は認められなかった。サンバイオ株式会社のメディカルディレクター兼開発部長である金子健彦氏は、本誌のインタビューで、SB623の治験によって「コントロール群で見られるように本来は筋力の改善が起こりにくい慢性期の頭部外傷の患者に、統計学的に明らかな改善が認められたことは頭部外傷の患者さんに大きな福音となると考えております。これまで治療の選択肢が限られた頭部外傷の患者さんに、新しい治療の選択肢が提供できることを、心よりうれしく存じます。治験にご協力いただいた患者さんやご家族、先生方や病院スタッフの皆さまに心よりお礼申し上げます」と述べた。また、サンバイオグループのチーフメディカルオフィサーで研究責任者であるDamien Bates氏は同社のニュースリリースの中で、「このグローバルな臨床試験は、TBIに対するこれまでで最大の幹細胞の試験であり、この厳密な無作為化二重盲検試験で、多くの患者さんがSB623の治療によって運動機能の有意な改善が認められたことは非常に刺激的です。これは再生医学にとって、そして、TBIによる持続的な後遺症に苦しむ多くの患者さんにとって、重要なマイルストーンとなりました」と述べている。
(ケアネット 細田 雅之)
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