腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:226

がん患者の脳卒中リスクに化学療法は影響するか

 化学療法はがん関連脳卒中の原因となる可能性があるが、脳卒中リスクを高めるかどうかは不明である。今回、大阪大学の北野 貴也氏らが脳卒中リスクへの化学療法の影響を調べたところ、化学療法を受けたがん患者の脳卒中リスク上昇はがんの進行が原因と考えられ、化学療法と脳卒中リスク増加は関連していないことが示唆された。Thrombosis and Haemostasis誌2020年4月号に掲載。  著者らは、2007~15年にスクリーニングされた病院ベースのがんレジストリにおける2万7,932例のうち、データが揃っている1万9,006例の診療記録を調査した。検証済みのアルゴリズムを使用し、がんの診断から2年以内の脳卒中イベントを同定した。最初の治療計画における化学療法の有無により患者を分け、カプランマイヤー法と層別Cox回帰モデルを用いて化学療法と脳卒中との関連を調べた。

NSCLC1次治療におけるデュルバルマブ+tremelimumabの成績(MYSTIC)/JAMA Oncol

 未治療の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、デュルバルマブおよびデュルバルマブ・tremelimumab併用と化学療法を比較した無作為化非盲検第III相MYSTIC 試験の結果がJAMA Oncology誌2020年4月9日オンライン版に発表された。 ・対象:未治療の転移を有するNSCLC患者(EGFR、ALK変異含まず)1,118例 ・試験群1:デュルバルマブ (20mg/kg 4週ごとPDまで) ・試験群2:デュルバルマブ (20mg/kg 4週ごとPDまで) +tremelimumab (1mg/kg 4週ごと、最大4回), ・対照群:化学療法(プラチナ・ダブレット4~6サイクル) ・評価項目: [主要評価項目]PD-L1陽性(TPS≧25%)患者の全生存期間(OS)(デュルバルマブ対化学療法、デュルバルマブ+tremelimumab対化学療法 )、同患者の無増悪生存期間(PFS) (デュルバルマブ+tremelimumab対化学療法) [探索的研究]血中腫瘍遺伝子変異量(bTMB)による評価

早期乳がん患者の認知障害、化学内分泌療法vs.内分泌療法/JCO

 がん治療に伴う認知機能障害(CRCI)は補助化学療法中によくみられ、持続する場合がある。米国・Wake Forest School of MedicineのLynne I Wagner氏らは、TAILORx試験(早期乳がん患者の補助療法として化学内分泌療法または内分泌療法単独に無作為に割り付け)において認知障害を前向きに評価したところ、3ヵ月と6ヵ月では化学内分泌療法のほうがCRCIが有意に多かったが、時間とともに差が縮小し12ヵ月以降では有意差は見られなかった。この結果から著者らは「化学内分泌療法は内分泌療法単独に比べて早期に認知障害を引き起こしたが持続的ではなく、補助化学療法によって再発リスク低減が示されている患者や医師に安心をもたらす」としている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年4月9日号に掲載。

上部尿路がんに対する術後抗がん化学療法の有効性:POUT trial第III相試験(解説:宮嶋哲氏)-1216

上部尿路がんは予後不良であるものの、術後補助化学療法の有効性は確認されていない。本研究では腎盂尿管がんで腎尿管全摘除術を施行された患者(261例)を対象に、経過観察群とシスプラチン主体の抗がん化学療法投与群(ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン)の2群にランダム化してその有効性を前向きに比較検討したものである。2012年から2017年までに登録された261症例のうち、132例が化学療法群、129例が経過観察群に割り付けられ、観察期間中央値は30.3ヵ月であった。術後化学療法はDFS(HR:0.45、p=0.0001)ならびにMFS(HR:0.48、p=0.0007)を有意に改善した。3年無事象生存率(event-free survival)は化学療法群で71%、経過観察群で46%であった。一方、Grade3以上の有害事象は、化学療法群で44%、経過観察群で4%に認めたが、治療関連死は認めなかった。

肺がん1次治療、二ボルマブ・イピリムマブ併用への化学療法の限定追加療法、米国および EU で申請/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年4月8日、米国食品医薬品局(FDA)が、ファーストライン治療薬として、化学療法のサイクルを限定して追加した二ボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表。  また、欧州医薬品庁(EMA)は、同適応に関して、化学療法を限定して追加した二ボルマブとイピリムマブの併用療法の承認申請を受理した。本申請の受理により、提出が完了し、EMAの中央審査が開始される。

高齢の早期乳がん、手術省略で生存率は?

 高齢の手術可能な乳がん患者における手術省略は、生存率に影響はないのだろうか。今回、オランダ・ライデン大学のA. Z. de Boer氏らは、Stage I~IIの80歳以上のホルモン受容体(HR)陽性乳がん患者において調査したところ、手術省略が相対生存率および全生存率低下に関連することが示された。British Journal of Surgery誌オンライン版2020年4月7日号に掲載。  本研究の対象は、Netherlands Cancer Registryにおいて2003~09年にStage I~IIのHR陽性乳がんと診断された高齢患者(80歳以上)6,464例。手術率の異なる病院の患者間で相対生存率と全生存率を比較した。

根治療法前の高リスク前立腺がん患者を対象としたPSMA PET-CTの有用性:多施設前向きランダム化試験(解説:宮嶋哲氏)-1213

本研究は、2017年から2018年にオーストラリアの10施設において、高リスク前立腺がんに対して手術または放射線治療の根治療法を予定していた302症例を対象とし、従来の画像検査(CTと骨シンチグラフィ)とPSMA PET-CTの有用性を比較したprospective randomized studyである。cT3以上高リスク前立腺がんと診断された302症例をランダム化して、半数が従来の画像検査(CTと骨シンチグラフィ)を、残りの半数がPET-CTを施行された。その2週間後に、同じ両患者群を対象に画像検査をクロスオーバーさせてセカンドラインとして画像検査を行い比較検討している。

乳房全摘後の即時再建術、術後合併症が再発率に影響か

 乳房切除術後の即時乳房再建において、術後合併症の発症率が比較的高い。今回、韓国・成均館大学のK-T Lee氏らの研究から、術後合併症発症が即時再建後の生存と再発に悪影響を与える可能性が示唆された。British Journal of Surgery誌オンライン版2020年4月4日号に掲載。  本研究では、2008~13年に乳房全摘術と即時再建を実施した乳がん患者438例を5年以上追跡し、術後合併症の腫瘍学的転帰に及ぼす影響について多変量Cox回帰分析を用いて評価した。

「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」公開/日本乳癌学会

 4月から遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の既発症者に対する、リスク低減乳房切除術(RRM)、乳房再建術ならびにリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が保険収載となった。これを受けて日本乳癌学会では、4月1日にホームページ上で「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」を公開している。なお、手引きの冒頭では、本手引きがガイドラインあるいはガイダンスではなく、エビデンスが蓄積していない内容も含まれると説明。そのため、HBOC診療に当たっては施設内で医療者のコンセンサスと患者・家族への十分な説明を求めるとともに、手引きについては今後もバージョンアップを図っていくと記されている。