腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:169

接種勧奨再開のHPVワクチン、男性にも高い有効性

 副反応の報道により、2013年から個別接種の積極的勧奨が中止されていたHPVワクチンについて、国内外から有効性と安全性を認める報告が集積し、ついに2022年4月から積極的勧奨が再開される見通しだ。定期接種として無料で接種できるのは13~16歳の女子だが、同ワクチンが若年男性の感染症およびウイルス起因のがん予防に有効であるという報告が、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版11月12日号に掲載された。  米国マウントサイナイ医科大のStephen E Goldstone氏らによる本研究は、4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを用いた、16~26歳の男性1,803例を対象とした無作為化プラセボ対照試験。10年間の追跡調査で、HPV6または11に関連した外性器疣贅、HPV6、11、16、18に関連した性器病変および肛門異形成の発生率を評価した。

クイズ形式で慢性骨髄性白血病を知るプロジェクト/ノバルティスファーマ

 ノバルティス ファーマは、一般向けに慢性骨髄性白血病(CML)に対する正しい理解を促進するプロジェクト「C.M.L.PROJECT~ちゃんと・学んで・リンクする~」を展開しており、その一環として11月25日に啓発イベントを開催した。  プロジェクトの目玉は、テレビ番組やYouTubeで人気のQuizKnockのこうちゃん氏が考案した「CMLを知るためのクイズ」で、この日のイベントもクイズ王として有名な伊沢 拓司氏と俳優の鈴木 福氏がクイズに挑戦する、という形式だった。  出題されたクイズは7問で徐々に難易度が上がっていき、「10代がかかるがんの中で、白血病が占める割合は何位か。1)1位 2)2位 3)3位」(正解は1位)、「CMLの発症年代として比較的多いのは次のうちどれか。1)10代 2)30代 3)50代」(正解は50代)等の問題に出演者が挑戦した。

HPVワクチンの接種個別勧奨を自治体へ指示/厚労省

 11月26日、厚生労働省は「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について」の通知を全国の自治体に向けて発出した。  同省は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る予防接種の積極勧奨について、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後に特異的にみられたことから、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとし、平成25年6月14日発出の通知により接種の積極的な勧奨とならないよう留意するなどの対応を勧告してきた。  今回の通知はその勧告を変更するもので、先の平成25年の通知は廃止され、令和4年4月よりHPVワクチン接種対象者に予防接種法第8条に基づき勧奨を行うこととなる。

TRK阻害薬ラロトレクチニブ、NTRK陽性肺がんに奏効/日本肺癌学会

 まれな遺伝子変異である神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)融合遺伝子を有するがんの治療薬として開発されたTRK阻害薬ラロトレクチニブは、NTRK融合遺伝子を有する肺がん患者にも奏効することが、第62回日本肺癌学会学術集会において名古屋大学の安藤雄一氏により発表された。  NTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者159例を対象とした第I相および第II相のバスケット試験において、ラロトレクチニブは79%という高い奏効率(ORR)を示している。今回はこの中から肺がん症例を抽出し、ラロトレクチニブの有効性と安全性についての解析を行った。

ペムブロリズマブ+化学療法、食道がん1次治療に承認/MSD

 MSDは、2021年11月25日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)について、根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する適応拡大に関する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。  今回の承認は、化学療法歴のない根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんおよび食道腺がん並びに食道胃接合部(Siewert分類typeI)の腺がん患者749例(日本人141例を含む)を対象とする、国際共同第III相試験KEYNOTE-590試験の結果に基づいている。

ニボルマブ、消化器がんで2つの適応が追加承認を取得/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2021年11月25日、ニボルマブについて、化学療法との併用療法による「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、および「食道癌の術後補助療法」に対する二つの効能又は効果並びに用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得した。  今回の承認は、CheckMate -649試験とATTRACTION-4試験のデータに基づいたもの。  CheckMate-649試験は、日本を含む世界規模で、未治療のHER2陽性以外の治癒切除不能な進行・再発の胃がん、胃食道接合部がんまたは食道腺がんを対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法またはイピリムマブとの併用を、化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験。

ロルラチニブがALK陽性肺がんの1次治療に追加承認/ファイザー

 ファイザーは、2021年11月25日、第3世代ALK-TKIロルラチニブ(製品名:ローブレナ)が「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」(以下、ALK陽性肺がん)の治療薬として、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請の承認を取得したと発表。  今回の承認は、未治療のALK陽性肺がんを対象とした第III相試験CROWN試験の結果に基づくもの。  この承認取得により、ロルラチニブは、ALK陽性肺がんの2次治療以降だけでなく、1次治療薬としても使用することが可能となる。

トラスツズマブ、唾液腺がんに適応拡大/中外

 中外製薬は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体トラスツズマブ[一般名:ハーセプチン)について、「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌」の効能・効果、および用法・用量の追加について、2021年11月25日、厚生労働省より承認を取得したと発表。同適応症に対しては、2021年3月11日に厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けている。  唾液腺がんは、頭頸部がんの一部に含まれ、国内の罹患数は年間1,000例未満の希少がんである。従来、唾液腺がんに対する標準治療は手術を中心としており、薬物治療の治療方法は確立されていない。また、他の頭頸部がんと異なり病理組織型が多く、組織型により遺伝子変異や予後の状況が大きく異なることが知られている。唾液腺導管がんにHER2陽性が比較的多いことが知られており、国内における唾液腺がん全体でのHER2陽性率は、15%弱であると考えられている。

がん治療における遺伝子パネル検査、データ利活用の最前線/日本癌治療学会

 実臨床で得られた診療データをその後の研究に活かしていくという、「データ利活用」の動きが世界中で活発になっている。第59回日本癌治療学会学術集会(10月21~23日)では会長企画シンポジウムとして「大規模データベースを活用したがん治療の新展開――医療データの臨床開発への利活用」と題した発表が行われた。  冒頭に中島 直樹氏(九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター)が「データ駆動型の医療エビデンス構築の現在と未来」と題した講演を行い、日本の医療データの問題点として「収集後の名寄せが困難(マイナンバーの医療分野利用の遅れなど)」「医療情報の標準化の遅れ」「改正個人情報保護法によるハードル」を挙げた。

ニボルマブ単剤が悪性中皮腫の2次治療で良好な成績(CONFIRM)/Lancet Oncol

 プラチナベース化学療法後に進行した胸膜・腹膜悪性中皮腫患者の生存改善を示した第III相試験はなかった。そのような中、ニボルマブの第III相試験が有望な結果を示した。  この試験は、ニボルマブの有効性と安全性を評価するために、多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検で行われたCONFIRM試験。英国の24施設で実施された。