腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:166

尿路上皮がんに対するアベルマブのメンテナンスがOS改善(JAVELIN Bladder 100)/ASCO2020

 局所進行または転移のある尿路上皮がん(mUC)に対する1次化学療法後のメンテナンス療法としてのアベルマブの投与が、ベストサポーティブケア(BSC)に比べ全生存期間(OS)を有意に延長することが報告された。これは、JAVELIN Bladder 100試験の第1回中間解析結果で、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)において、英国Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏より発表された。本試験は、日本も参加した国際共同のオープンラベル第III相比較試験である。

進行前立腺がんへのレルゴリクス、持続的アンドロゲン除去療法で好成績/NEJM

 進行前立腺がん患者の治療において、レルゴリクス(進行前立腺がん治療薬としての適応は未承認)はリュープロレリンに比べ、テストステロンをより迅速かつ持続的に抑制し、主要有害心血管イベント(MACE)のリスクをほぼ半減させることが、米国・Carolina Urologic Research CenterのNeal D. Shore氏らの検討「HERO研究」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年6月4日号に掲載された。リュープロレリンなどの黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬の注射剤は、投与初期においてテストステロン値が上昇し治療効果発現の遅延が認められるが、前立腺がんにおけるアンドロゲン除去療法の標準薬とされる。一方、レルゴリクスは、経口ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬で、下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を迅速に阻害し、テストステロン値を低下させることが、複数の第I相および第II相試験で確認されている。

切除不能StageIII NSCLC、デュルバルマブ地固め療法のPD-L1発現別転帰(PACIFIC)/Ann Oncol

 PACIFIC試験では、化学放射線療法(CRT)後に進行しない切除不能なステージIII非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、デュルバルマブはプラセボと比較して生存(PFSおよびOS)を大幅に改善した。探索的分析である腫瘍細胞(TC)PD-L1発現別の結果を含む、調査期間中央値3.3ヵ月の追跡結果が発表された。  デュルバルマブによるPFSはPD-L1にかかわらず改善がみられ、OSはTC1%を除くすべてのサブグループでOSの改善がみられた。

HER2+転移乳がんへのpyrotinib+カペシタビン、ラパチニブ併用よりPFS延長(PHOEBE)/ASCO2020

 トラスツズマブと化学療法の治療歴のある転移を有するHER2陽性乳がんに対して、pan-ErbB阻害薬pyrotinibとカペシタビンの併用が、ラパチニブとカペシタビンの併用より無増悪生存期間(PFS)を延長したことが、第III相PHOEBE 試験で示された。中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。  pyrotinibは、EGFR、HER2、HER4を標的とする不可逆的pan-ErbB受容体チロシンキナーゼ阻害薬である。第I/II相試験で、カペシタビンとの併用で転移を有するHER2陽性乳がん患者における臨床的ベネフィットと許容可能な忍容性が確認されている。今回、ラパチニブとカペシタビンとの併用と比較した多施設無作為化非盲検第III相試験であるPHOEBE試験の結果が報告された。

COVID-19、抗がん剤治療は死亡率に影響せず/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したがん患者の死亡率は、主に年齢、性別、基礎疾患により上昇することが示された。また、細胞障害性抗がん剤または他の抗がん剤治療中のがん患者が、こうした積極的治療を受けていない患者と比べて、COVID-19による死亡リスクが高いというエビデンスを確認できなかったという。英国・Institute of Cancer and Genomic SciencesのLennard Y. W. Lee氏らが、UK Coronavirus Cancer Monitoring Project(UKCCMP)による前向きコホート研究の結果を報告した。がん患者、とくに全身薬物療法を受けている患者は、COVID-19による死亡リスクが高いと考えられていたが、この推測を支持する大規模な多施設共同研究のデータは乏しかった。Lancet誌オンライン版2020年5月28日号掲載の報告。

大腸がん、1次治療からFOLFOXIRI+ベバシズマブで予後良好/Lancet Oncol

 未治療の転移を有する切除不能大腸がん(mCRC)に対する有効な治療法が明らかにされた。1次治療でFOLFOXIRI+ベバシズマブ(BEV)療法を行い2次治療も同療法を再導入する治療法は、1次治療でmFOLFOX+BEV療法→2次治療でFOLFIRI+BEV療法を逐次投与する治療法と比較して、良好な治療成績が得られることが認められたという。イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏らが、イタリア国内58施設で実施した、無作為化非盲検第III相試験「TRIBE2試験」の最新解析結果を報告した。Lancet Oncology誌2020年4月号掲載の報告。  研究グループは、2015年2月26日~2017年5月15日に未治療mCRC患者679例を、対照群(340例)と試験群(339例)に1対1の割合で無作為に割り付けた。

EGFR陽性NSCLC脳転移例に対するオシメルチニブの有用性(OCEAN)/ASCO2020

 脳転移を有するEGFR変異陽性(T790M変異を含む)の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの治療が、有用性を示したという報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で静岡県立静岡がんセンターの和久田 一茂氏より発表された。  本試験はWJOG臨床試験グループが実施した、2コホートの第II相シングルアームの試験(OCEAN試験/LOGIK1603-WJOG9116L)である。今回の発表はそのうち、T790M変異を有するコホートの解析結果である。

高リスクHER2+乳がんの術後補助療法、T-DM1+ペルツズマブの効果(KAITLIN)/ASCO2020

 高リスクのHER2陽性早期乳がんの術後補助療法で、アントラサイクリン投与後、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)+ペルツズマブは、標準治療であるトラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンに比べて、無浸潤疾患生存期間(IDFS)を延長しなかったことが、第III相無作為化非盲検試験であるKAITLIN試験で示された。ドイツ・ミュンヘン大学のNadia Harbeck氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。

原発不明がんにおけるニボルマブの有効性(NivoCUP)/ASCO2020

 原発不明がん(CUP)の予後は不良であり、加えて、治療選択肢は限定されている。そのため、CUP患者の多くは、経験的な化学療法を受けている。近年、CUPの免疫プロファイルが免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が奏効するがん種と類似していることが示され、CUP患者に対するICI治療の可能性が期待されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、CUPに対するニボルマブの有用性を評価する多施設共同第II相(医師主導治験)であるNivoCUP試験の結果が近畿大学医学部 腫瘍内科・岸和田市民病院 腫瘍内科の谷崎 潤子氏により報告された。

FDA、EGFR変異陽性肺がんに対するラムシルマブとエルロチニブの併用の1次治療を承認/イーライリリー

 イーライリリーは、2020年5月29日、米国食品医薬品局(FDA)がEGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者への1次治療に対して、ラムシルマブとエルロチニブの併用療法を承認したと発表。ラムシルマブとエルロチニブ併用療法はEGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCにおいて、FDAが承認した初めてで唯一の抗VEGFR/EGFR-TKI併用療法。今回の承認は、無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第III相試験であるRELAY試験から得られた有効性および安全性に基づいている。