閉経後乳がん術後内分泌療法の延長、5年vs.2年/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/08/06

 

 術後内分泌療法を5年間受けた閉経後ホルモン受容体陽性乳がん女性において、アロマターゼ阻害薬を5年間延長しても2年間延長と比較して有益性はなく、骨折リスクが増加することが示された。オーストリア・Medical University of ViennaのMichael Gnant氏らが、5年間の術後内分泌療法終了後のアナストロゾールの2年または5年追加の有効性および安全性を比較した第III相臨床試験「Secondary Adjuvant Long-Term Study with Arimidex[anastrozole]:SALSA試験」の結果を報告した。閉経後ホルモン受容体陽性乳がん女性において、アロマターゼ阻害薬による術後内分泌療法の最も有効な治療期間については明らかではなかった。NEJM誌2021年7月29日号掲載の報告。

5年間術後内分泌療法終了後のアナストロゾール2年追加と5年追加を比較

 研究グループは、オーストリアの75施設において、早期のホルモン受容体陽性閉経後浸潤性乳がん(StageI~III)に対して、5年間±12ヵ月の術後内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬またはその両方)を終了し再発が認められない80歳以下の患者を、アナストロゾール2年間追加投与群(2年群)および5年間追加投与群(5年群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、無作為化後2年時点(2年群の投与終了時)で本試験に参加しており再発を認めないすべての患者における無病生存期間(DFS)、副次評価項目は全生存(OS)、対側乳がん、2次がん、および臨床的骨折である。

 2004年2月~2010年6月に3,484例が無作為化され、同意が得られなかった14例を除く3,470例が解析対象となった。このうち、有効性解析対象集団は無作為化後2年時点で再発がなく試験を継続していた3,208例(2年群1,603例、5年群1,605例)である。

DFS、OSに有意差はないが、臨床的骨折リスクは5年群が高い

 無作為化後の追跡期間中央値118.0ヵ月(四分位範囲:97.8~121.1)において、無作為化後10年時(2年群の投与終了後8年)のDFSは、2年群73.6%、5年群73.9%、ハザード比(HR)は0.99(95%信頼区間[CI]:0.85~1.15、p=0.90)で差はなかった。

 副次評価項目については、OS、乳がんおよび2次がんの発生に群間差は認められず、サブグループ解析においても特定のサブグループで差はなかった。一方、無作為化後5年時の臨床的骨折リスクは、5年群が2年群より高かった(HR:1.35、95%CI:1.00~1.84)。

 なお、著者は、アロマターゼ阻害薬がアナストロゾールのみであったこと、高リスク患者を対象としていないことなどを研究の限界として挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 下村 昭彦( しもむら あきひこ ) 氏

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院

乳腺・腫瘍内科/がん総合内科