腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:153

世界初、RET融合遺伝子TKIのセルペルカチニブ発売/日本イーライリリー

 2021年9月末にセルペルカチニブ(商品名:レットヴィモ)が「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」に対する治療薬として世界で初めて承認され、日本イーライリリーは発売に合わせ12月16日にプレスセミナーを開催した。  日本における肺がんの罹患全国推定数は約12万人(2017年)、がん種別の死亡数では男女とも1位(2019年)。従来の手術、化学療法、放射線療法に加え、近年の分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場により、治療が著しく進化している。セミナーでは国立がん研究センター東病院の後藤 功一氏が、肺がんにおける遺伝子治療の現状やセルペルカチニブ承認の基となったデータを解説した。

アグレッシブB細胞性リンパ腫の2次治療、チサゲンレクルユーセルvs.標準治療/NEJM

 1次治療に抵抗性を示すなど、アグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫に対し、2次治療としてのチサゲンレクルユーセルは、標準治療(救援療法)に対して優越性を示さなかった。米国・シカゴ大学のMichael R. Bishop氏らが行った国際的な第III相無作為化試験で示された。同患者では、1次治療に抵抗性または同治療後12ヵ月以内に病勢進行が認められた場合の転帰は不良とされる。今回の結果を受けて著者は、「どの患者がいずれのアプローチから最大の利益を得ることができるのか、さらなる研究が必要である」と述べている。NEJM誌オンライン版2021年12月14日号掲載の報告。

DLBCLへのpola-R-CHP療法vs. R-CHOP療法/NEJM

 未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者において、R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+prednisone)よりも、抗CD79b抗体薬物複合体・ポラツズマブ-ベドチン+R-CHP療法(pola-R-CHP療法)を受けた患者のほうが、2年時点の病勢進行・再発・死亡の複合リスクが約27%低かったことが示された。フランス・Centre Henri-BecquerelのH. Tilly氏らが、879例を対象に行った国際的な第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年12月14日号で発表した。DLBCLに対しては通常R-CHOP療法が行われるが、治癒が期待できるのは60%のみであった。  研究グループは、未治療で中等度~高度リスクの18~80歳のDLBCL患者を対象に、従来R-CHOP療法と、pola-R-CHP療法を比較する検討を行った。  被験者を無作為に1対1の割合で2群に分け、pola-R-CHP療法またはR-CHOP療法をそれぞれ6サイクル、その後リツキシマブを2サイクル投与した。  主要評価項目は、研究者の評価による無増悪生存(PFS)。副次アウトカムは、全生存(OS)および安全性とした。

新型コロナ感染のがん患者の15%に後遺症、生存率にも影響

 がん患者がCOVID-19に感染した場合の後遺症の有病率、生存率への影響、回復後の治療再開と変更のパターンを調べた研究結果が、2021年11月3日のThe Lancet Oncology誌に掲載された。  本研究は、固形がんまたは血液がんの既往歴があり、PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された18歳以上の患者を登録する欧州のレトロスペクティブ試験で、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国の35施設で患者が登録された。2020年2月27日~2021年2月14日にSARS-CoV-2感染と診断され、2021年3月1日時点でレジストリに登録された患者を解析対象とした。

早期乳がん術後化療中の遠隔ケア、予防的電話介入の効果は?/BMJ

 早期乳がんの外来化学療法中の毒性管理について、プロアクティブに電話で介入する方法は、救急部門の受診や入院の減少に結び付かなかったことが、カナダ・University Health NetworkのMonika K. Krzyzanowska氏らが行った検討で示された。がん化学療法中は、救急部門の受診や入院は一般的であり、外来で適切にサポートすれば予防できる可能性が示唆されているが、これまで遠隔管理の大規模な検討は限定的であった。結果を踏まえて著者は、「COVID-19パンデミックにより遠隔ケアが急速に増加しており、がん治療中の患者の遠隔管理について、実践可能な戦略を確立することはとくに重要な課題である」と述べている。BMJ誌2021年12月8日号掲載の報告。

liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療の転帰改善(TRANSFORM)/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2021年12月11日、成人の再発・難治大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療において、CD19を標的としたCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)と標準療法(サルベージ化学療法とその後の大量化学療法と自家造血幹細胞移植からなる)を比較した、国際無作為化多施設第III相試験TRANSFORM試験の中間分析の結果を初めて開示した。

ペムブロリズマブ+レンバチニブによるNSCLC1次治療の成績(LEAP-007)/ESMO-IO 2021

 転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブとレンバチニブの併用は、Study111 / KEYNOTE-146試験で、抗腫瘍活性を示している。欧州免疫腫瘍学会(ESMO-IO 2021)では、未治療のNSCLC患者に対するペムブロリズマブ+レンバチニブの有用性を評価する第III相LEAP-007試験の結果が報告された。 ・対象:未治療のNSCLC(PD-L1≥1%、ECOG PS 0/1) ・試験群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週ごと+レンバチニブ20mg/日 連日(ペムブロリズマブ+レンバチニブ群) ・対照群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週ごと+プラセボ(ペムブロリズマブ群)  毒性発現または最大35サイクルまで投与 ・評価項目:[主要エンドポイント]BICRによる無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)

早期乳がん、タキサンへのアントラサイクリン追加のベネフィットとリスク~メタ解析/SABCS2021

 早期乳がんに対するタキサンとアントラサイクリンをベースとした化学療法は、アントラサイクリンによる心毒性と白血病リスク増加の懸念から、アントラサイクリンを含まないレジメン、とくにドセタキセル+シクロホスファミド(DC)が広く使用されている。アントラサイクリン併用のベネフィットとリスクは複数の無作為化試験で検討されているが、結果が一致していない。今回、Early Breast Cancer Trialists Collaborative Group(EBCTCG)が、2012年以前に開始された16件の無作為化比較試験から約1万8,200例のデータのメタ解析を実施した。その結果、アントラサイクリン併用で、乳がん再発リスクが相対的に15%減少し、また同時投与レジメンで最大の減少がみられたことを、英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。

EGFR変異肺がん外科切除例の特徴と予後~肺癌登録合同委員会からの考察/日本肺癌学会

 外科手術の対象となるEGFR変異肺がんの特徴や予後について、肺がん治療例の全国集計を行う肺癌登録合同委員会による2010年手術例を対象とした第7次事業の報告(以下、合同員会報告)からの考察として、第62回日本肺癌学会学術集会において近畿大学の須田健一氏が発表した。  合同委員会報告のデータを用いて、EGFR変異陽性肺がん(2,410例)とEGFR変異陰性肺がん(3,370例)の臨床病理学的因子の比較や予後解析などを行った。  その結果、EGFR変異陽性肺がんは非喫煙者、女性、すりガラス陰影(GGO)、リンパ管や脈管への湿潤のない肺がんが多かった。また、多変量解析からEGFR変異陽性肺がんは変異陰性肺がんに比べて予後が良好であることが示されていた(無増悪生存期間[PFS]ハザード比[HR]:0.894、95%信頼区間:0.814~0.980、p=0.017)。

21遺伝子アッセイ、リンパ節転移陽性乳がんの術後化学療法の効果予測は?/NEJM

 21遺伝子乳がんアッセイ(Oncotype DX、Exact Sciences製)による再発スコアは、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、腋窩リンパ節転移陰性の乳がんにおける化学療法の効果の予測に有用であることが確認されている。米国・エモリー大学Winshipがん研究所のKevin Kalinsky氏らは、今回、リンパ節転移陽性乳がんにおける21遺伝子アッセイの有用性を検討し、再発スコアが25点以下の閉経前女性では、術後の化学療法+内分泌療法(化学内分泌療法)は内分泌療法単独と比較して、無浸潤病変生存と無遠隔再発生存の期間を延長する一方で、同様の病態の閉経後女性では化学療法の利益はないことを示した(RxPONDER試験)。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2021年12月1日号で報告された。