腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

再発・難治性多発性骨髄腫、週2回イキサゾミブ+ポマリドミド+デキサメタゾンの第I/II相試験

 再発・難治性多発性骨髄腫に対する、週2回の経口プロテアソーム阻害薬イキサゾミブ、ポマリドミド、デキサメタゾンを併用した全経口(all-oral)レジメンの第I/II相用量漸増・拡大試験の結果を、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのOmar Nadeem氏らが報告した。本レジメンは良好な忍容性と高い有効性を示し、実臨床における高い利便性と有用性を持つ可能性が示唆された。Haematologica誌オンライン版2026年5月28日号に掲載。  プロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調節薬(IMiD)、デキサメタゾンを組み合わせた3剤併用療法は、再発・難治性多発性骨髄腫患者に有効な治療選択肢である。

転移膵がんへの新規汎RAS阻害薬daraxonrasib、OS・PFSを2倍に(RASolute 302)/ASCO2026

 転移のある膵がんは有効な治療が限られ、きわめて予後が悪いことで知られるが、ここに有望な薬剤が登場した。新規経口RAS(ON)阻害薬daraxonrasibは、KRAS G12D/V/Rを含む汎RASを阻害することが特徴で、膵管腺がんの90%以上でRAS経路異常が認められる。daraxonrasibの有用性を検討したRASolute 302試験の結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションで発表され、米国・ダナファーバーがん研究所のBrian M. Wolpin氏による発表後にはスタンディングオベーションが起こり、結果はNEJM誌オンライン版2026年5月31日号に同時掲載された。

HER2+転移乳がん1次治療、T-DXd+PによるCR/deep PRが長期PFS改善と関連(DESTINY-Breast09)/ASCO2026

 HER2+の進行または転移を有する乳がん患者の1次治療として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)+ペルツズマブ併用療法の有用性を評価した第III相DESTINY-Breast09試験の探索的解析の結果、半数以上の患者が完全奏効(CR)または腫瘍縮小率の高い部分奏効(deep PR)を達成し、CRおよびdeep PRの達成は長期的なアウトカムの改善と関連していたことを、韓国・成均館大学校のYeon H. Park氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。  DESTINY-Breast09試験のこれまでの解析において、T-DXd+ペルツズマブ併用療法はタキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(THP群)と比較してCR率がほぼ倍増し、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが報告されている。

PD-L1陽性NSCLC、sac-TMT+ペムブロリズマブがPFS改善(OptiTROP-Lung05)/ASCO2026

 PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、TROP2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)とペムブロリズマブの併用療法は、ペムブロリズマブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善した。海外第III相試験「OptiTROP-Lung05試験」の結果を、Caicun Zhou氏(中国・Shanghai East Hospital)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。本研究結果は、Lancet誌オンライン版2026年5月29日号に同時掲載された1)。

高リスク前立腺がんへの周術期アパルタミド+ADT、主要評価項目達成(PROTEUS)/ASCO2026

 高リスクの限局性または局所進行前立腺がん患者では、根治的前立腺全摘除術(RP)後に約50%の患者で再発が認められる。RPの術前および術後に実施するアパルタミド+ADT併用療法は、プラセボ+ADTとの比較において、RPの治癒成功率を高め、無転移生存期間(MFS)を有意に改善した。日本も参加して行われた第III相PROTEUS試験の最終解析結果を、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMary-Ellen Taplin氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。なお、本解析結果はNEJM誌オンライン版2026年5月31日号に同時掲載されている1)。

RET融合遺伝子陽性NSCLC、セルペルカチニブによるアジュバント療法でEFS改善(LIBRETTO-432)/ASCO2026

 RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、選択的RET阻害薬セルペルカチニブは進行・転移例で有効性が示されている。一方で、早期・局所進行NSCLCに対するアジュバント療法としての有効性と安全性は明らかになっていない。そこで、StageIB~IIIAのRET融合遺伝子陽性NSCLC患者を対象に、アジュバント療法としてのセルペルカチニブの有用性を検証する国際共同第III相試験「LIBRETTO-432試験」が実施された。その結果、セルペルカチニブはプラセボと比較して無イベント生存期間(EFS)を有意に改善することが示された。Jonathan W. Goldman氏(米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。なお、本研究結果はNEJM誌オンライン版2026年5月31日号に同時掲載された1)。

高リスクER+/HER2-早期乳がん、Prosignaで化学療法省略を判断できるか/ASCO2026

 エストロゲン受容体陽性/HER2陰性(ER+/HER2-)でリンパ節転移陽性例を中心とした早期乳がんに対し、Prosigna(PAM50)による再発リスク(Risk of Recurrence:ROR)スコアを用いることで化学療法の必要性を判断できるかどうかを検討した第III相OPTIMA試験の結果を、英国・NIHR University College London Hospitals Biomedical Research CentreのRobert C. Stein氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。本試験により、RORスコアが低い患者では化学療法を安全に省略できる可能性が示された。

日本のがん死亡率低下も、大腸がん・膵がん・子宮頸がんは依然高水準

 日本では全がんの年齢調整死亡率(ASR)が着実に低下している一方で、大腸がん、膵がん、子宮頸がんなど一部のがん種では依然として国際的に高い死亡率が続いていることが明らかになった。胃がんと肝がんでは大幅な改善が認められたものの、予防や検診による死亡率低下が期待されるがん種において十分な成果が得られていない実態が浮き彫りとなった。国立がん研究センターの片野田 耕太氏らによる本研究の結果はJapanese Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年3月5日号に掲載された。

高齢者における大腸ポリープ切除後サーベイランスの検査間隔は?(解説:上村直実氏)

大腸内視鏡検査(CS)は全大腸を観察して、大腸がん(CRC)の早期発見とポリープの発見・切除によるCRC予防を主たる目的としているが、検査や鎮静に伴うリスクが増加する高齢者に対する有用性に関しては不明な部分もあり、臨床現場で検査の実施に迷うこともある。今回、米国の65~74歳でCSを受けたことのある75歳以上の高齢退役軍人を対象として10年間の後ろ向きコホート研究を行ったところ『過去のCSで腺腫が認められた75歳以上の成人は、腺腫のなかった成人と比較して、その後のCRC発症率、CRCによる死亡率が有意に高いものの両群の差はわずか0.1%(累積死亡率0.4%vs.0.5%)であり、CRC以外の原因による死亡リスク50%弱のほうがはるかに高率であったことから、患者個々の健康状態を重視した対応が必要』との結果が2026年4月のJAMAに報告された。