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スタチンで大腸がん死亡率が低下、では再発率は?

 大腸がんの予後に対するスタチンの影響について、がん特異的死亡率の低下が報告されているが、再発についての研究はほとんどない。今回、米国・エモリー大学のTimothy L. Lash氏らがデンマークの約2万人のコホートで検討したところ、スタチン使用は大腸がんの再発率の低下とは関連していなかったが、がん特異的死亡率の低下と関連していた。このことから、がんそのものに対するベネフィットはないことが示唆され、著者らは「心血管症状のない大腸がん患者にスタチンを処方する根拠はない」としている。American journal of epidemiology誌オンライン版2017年3月1日号に掲載。

急性心不全に対するトルバプタンの効果:大阪府立総合医療センター

 急性非代償性心不全(ADHF)の治療の主流は、利尿薬治療によるうっ血改善であるが、しばしば腎機能の悪化(WRF)と関連する。大阪府立急性期・総合医療センターの玉置 俊介氏らは、左室駆出率(LVEF)が保持されたADHF患者のWRFに対する選択的V2受容体アンタゴニストであるトルバプタンの効果について検討を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月16日号の報告。

抗精神病薬の性機能障害、プロラクチンへの影響を比較

 抗精神病薬に共通してみられる性機能障害は、ドパミンアンタゴニスト作用やプロラクチン上昇によって引き起こされる可能性がある。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のSteven G Potkin氏らは、18~60歳の統合失調症患者を対象とし、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールの月1回400mg製剤(AOM400)が、ドパミンD2受容体アンタゴニストであるパリペリドンパルミチン酸エステル(PP)と比較し、Heinrichs-Carpenter QOLスコア(QLS)において非劣性と優位性を示したとするランダム化研究、QUALIFYの結果を解析した。International clinical psychopharmacology誌2017年5月号の報告。

成人急性虫垂炎の抗菌薬治療、8年後の再発率は?

 虫垂炎の抗菌薬治療における長期の有用性をみるために、スウェーデン・ヨーテボリ大学のK. Lundholm氏らは、急性虫垂炎疑い患者に対する抗菌薬単独治療後の長期再発率を調べた。その結果、抗菌薬での初回治療から8年後の再発リスクは約15%であり、著者らは「成人急性虫垂炎の1次治療として抗菌薬治療は安全かつ有効である」としている。World journal of surgery誌オンライン版2017年3月24日号に掲載。

近見視力障害の非矯正者は35歳以上で約半数:中国

 中国・中山大学のXiaotong Han氏らは35歳以上の中国人成人について、近見視力低下・障害の進行および発生率を前向き試験で調査した。その結果、非矯正の両眼近見視力障害(UCNVI)の人は6年で約半数であったこと、その大半は眼鏡で矯正可能などの実態を報告した。検討結果を踏まえて著者は、「これらリスク集団に眼鏡を提供するという費用対効果が高いと考えられる戦略について、さらに検討する必要がある」と述べている。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月20日号掲載の報告。

SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大

 うつ病では、しばしば通常治療により耐性が生じることがある。また、うつ病患者は、言語流暢性テスト(verbal fluency test:VFT)に関連する近赤外線分光法(NIRS)において、前頭側頭皮質の機能低下を示している。大分大学の増田 幸司氏らは、未治療のうつ病患者に対する薬物治療反応が、初期調査のNIRSアウトカムにより予測可能かを検討した。Journal of affective disorders誌2017年5月号の報告。

キノコ摂取頻度が高いほど認知症リスク低い~大崎コホート研究

 in vivoやin vitroの研究においてキノコの神経保護作用や認知症を予防する可能性が示されているが、キノコと認知機能低下の関連について調べたコホート研究は少なく、関連が明らかになっていなかった。今回、一般住民を対象とした大規模前向きコホートである大崎コホート研究2006において、キノコの摂取頻度が高い高齢者では認知症発症のリスクが低いことが、世界で初めて明らかになった。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年3月13日号に掲載。

臓器移植後の皮膚疾患、人種間の違いは?

 米国では、白人レシピエントの皮膚がんリスクについて特徴づけがされているが、臓器移植待機リストの大半を占める非白人については、皮膚疾患および皮膚がんリスクについてほとんど検討されていなかった。米国・ドレクセル大学のChristina Lee Chung氏らは、レシピエント412例の医療記録をレビューし、白人では悪性疾患が最も多いが非白人では感染症や炎症性疾患が多いこと、日光に曝されている部位での病変が最も多いのは白人とアジア人であること、一方で黒人レシピエントの病変の3分の2は日光に曝されていない部位での発症であることなどを明らかにした。JAMA dermatology誌オンライン版2017年3月8日号掲載の報告。

SGLT2阻害薬のCVイベント抑制効果、リアルワールドで示される:ACC.17

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ)は、糖尿病治療薬SGLT2阻害薬の治療を受けた2型糖尿病患者の、心不全による入院ならびに総死亡のリスクを評価した、最初の大規模リアルワールドエビデンス試験CVD-REALの結果を、2017年3月19日、第66回米国心臓病学会年次学術集会(ACC.17 )で発表した。  成人糖尿病患者は、世界中で4億1,500万人にのぼり、2040年までには6億4,200万人(成人の10人に1人)に増加すると推定されている。2型糖尿病患者の心不全のリスクは通常人より2~3倍高く、また、心臓発作および脳卒中の高いリスクにさらされており、死因の約50%が心血管疾患である。

2型糖尿病患者、食事が頸動脈内膜中膜厚に関連

 カナダ・トロント大学のLaura Chiavaroli氏らが、2型糖尿病患者の食事と頸動脈超音波検査(CUS)による頸動脈内膜中膜厚(CIMT)との関連を調査したところ、CIMTの低値が、豆類・炭水化物の高い摂取量、総脂肪・飽和脂肪の低い摂取量と有意に関連していた。この結果は、2型糖尿病の心血管疾患リスク管理における食事の潜在的役割を示唆している。BMJ open誌2017年3月22日号に掲載。

VEGF阻害剤アフリベルセプト ベータ、大腸がんに承認:サノフィ

 サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャック・ナトン)は、2017年3月30日、抗悪性腫瘍剤/VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤アフリベルセプト ベータ(商品名:ザルトラップ点滴静注 100mg/200mg、以下ザルトラップ )について、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効能・効果で厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。

喫煙者は末期腎不全リスクが約2倍

 喫煙は、糖尿病患者における慢性腎臓病(CKD)発症の主要な危険因子として確立されているが、CKDの独立した危険因子かどうかはエビデンスが一致していない。中国・上海中医薬大学のJia Xia氏らが、成人一般集団における前向きコホート研究をメタ解析したところ、喫煙がCKD発症の独立した危険因子であることが示唆された。Nephrology, dialysis, transplantation誌オンライン版2017年2月27日号に掲載。

NOAC3剤を初めて直接比較したリアルワールド研究~日本循環器学会

 心房細動(AF)における脳卒中予防の進歩をもたらしたNOACであるが、直接比較による有効性のエビデンスはない。 そのような中、米国メイヨークリニックが傾向スコアマッチングでNOAC3剤の有効性と安全性を初めて直接比較した観察研究を行った。第81回日本循環器学会学術集会のミート・ザ・エキスパートでは、当発表の筆頭著者であるPeter A. Noseworthy氏が、この試験結果について詳しく紹介した。

適切なMg摂取でうつ病リスクが低下

 いくつかの疫学研究では、食事によるマグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)摂取と、うつ病リスクとの関連が評価されている。しかし、これらの研究結果は、依然として議論の余地が残っている。中国・Qingdao UniversityのBingrong Li氏らは、これらの関連性および食事によるMg摂取とうつ病リスクとの用量反応関係を調査するため、メタ解析を行った。The Australian and New Zealand journal of psychiatry誌2017年3月号の報告。

もはや「秘め事」ではない!? 患者1,000万人超の慢性便秘の考え方

 排便頻度が著しく少なく、それが原因のQOL低下を自覚するものの、便秘が医師の治療や処方を必要な疾患であると認識している人はどれほどいるのだろうか。その証拠に、セルフメディケア商品の市場規模が300億円超といわれているのが慢性便秘である。3月23日、都内でこの慢性便秘をめぐる医療の現状をテーマにしたプレスセミナーが開かれた(主催:漢方医学フォーラム)。セミナーに登壇した中島 淳氏(横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室 主任教授・診療部長)は、「医師と患者の双方が、まずは便秘を『病気』として認識するとともに、適切な初療により慢性化させないことが重要だ」と述べた。