医療一般|page:1

脳の老化はアルツハイマー病でどのくらい加速する?

 脳の老化に伴う進行性の形態学的および神経生物学的変化は、アルツハイマー病などの神経変性疾患では著しく加速する。これらの変化を早期に検出し鑑別することは、診断、治療計画、治療法の開発においてきわめて重要である。米国・スティーブンス工科大学のShima Jalalian氏らは、加齢に伴う脳の萎縮に対する軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病の影響を明らかにするため、本研究を実施した。Annals of Biomedical Engineering誌オンライン版2026年3月24日号の報告。  本研究では、タンパク質バイオマーカーの伝播と組織レベルの萎縮を連動させ、認知機能が正常な加齢、MCI、アルツハイマー病を鑑別するための計算マルチフィジックスフレームワークを開発した。

キネシオテーピングの効果に疑問符

 トップアスリートが脚や腕、肩に鮮やかな色のテープを貼った状態でスタートラインに立つ姿をよく見かける。このキネシオテープは、筋肉や関節の痛みを和らげ、可動域を広げることを目的として利用される。しかし、南方医科大学リハビリテーション医学院(中国)のXiaoyan Zheng氏らによる新たなレビューによると、キネシオテーピングの効果は限定的であり、得られる作用は主に、テープの効果を信じることに起因するプラセボ効果である可能性があるという。Zheng氏らは、「筋骨格系疾患に対するキネシオテーピングの臨床的な効果については、追跡期間の長さにかかわりなく、現時点のエビデンスは極めて不確実である」と結論付けている。詳細は、「BMJ Evidence Based Medicine」に3月31日掲載された。

尿路感染症治療の新しい迅速抗菌薬検査が登場

 新しい迅速尿検査により、尿路感染症(UTI)の治療がより的確で効果的になる可能性が新たな研究で示された。現状の検査では、個々のUTIに効果的な抗菌薬を特定するまでに2~3日かかるが、新しい検査では約6時間で結果が得られるため、検査当日に適切な抗菌薬を処方できる可能性がある。英レディング大学発のスピンアウト企業であるAstratus Limited社のCEOで、同大学薬学部のOliver Hancox氏らによるこの研究は、「JAC-Antimicrobial Resistance」4月号に掲載された。  Hancox氏は、「現行の検査方法では、結果が届く頃には患者がすでに抗菌薬の服用を終えていたり、効果のない薬を処方されていたりすることがあった。

夜勤は2型糖尿病の管理を難しくする

 2型糖尿病患者にとって、夜勤が疾患管理の支障になっていることを示唆する実態が報告された。英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のRachel Gibson氏らが、糖尿病を有する医療従事者を対象に行った研究の結果であり、詳細は「Diabetic Medicine」に2月24日掲載された。  この研究により、糖尿病を有する医療従事者(主に看護師と助産師)では、夜勤中には血糖変動の幅が大きくなることが明らかになった。研究者らは、この原因として、夜勤中には健康的な食事を取ることが難しい点を指摘している。

在宅化学療法は安全に実施できる

 がん患者に対する化学療法は、病院や治療施設で長時間をかけて、点滴で薬剤を静脈に投与するのが通常である。しかし、米メイヨー・クリニック総合がんセンターのRoxana Dronca氏らによる新たな研究で、一部の患者では、自宅でも化学療法を安全に実施でき、患者の負担や煩わしさを大幅に軽減できる可能性が示された。この研究結果は、「NEJM Catalyst」4月号に掲載された。  Dronca氏は、「がん治療は従来、患者が長時間にわたり点滴センターで過ごすことを必要としてきた。しかも多くの場合、その場所は自宅から遠く離れている。

肝硬変患者の肝性脳症リスク、フレイル評価で予測可能か

 肝硬変では、肝臓の機能低下に伴い意識障害や認知機能低下を来す「肝性脳症」が生じ、患者の生活の質や予後に大きく影響することが知られている。今回、肝硬変患者を対象とした研究で、簡便なフレイル評価指標であるClinical Frailty Scale(CFS)が、不顕性および顕性肝性脳症の発症リスクの層別化に有用である可能性が示された。研究は、岐阜大学医学部附属病院消化器内科の宇野女慎二氏、三輪貴生氏らによるもので、詳細は2月26日付で「JGH Open」に掲載された。  不顕性肝性脳症(CHE)は肝硬変患者の約40%に認められ、転倒や事故、死亡リスクの増加などと関連することが知られている。

縦隔腫瘍・重症筋無力症の手術、主流は「低侵襲」へ――全国データ解析

 胸の中央の空間である縦隔に生じる腫瘍(縦隔腫瘍)の手術は、従来は胸を大きく開く開胸手術が主流だった。近年は胸腔鏡やロボットを用いた低侵襲手術の導入が進んでいるが、日本全体での実態は十分に明らかでなかった。今回、全国の医療保険データを解析した研究で、縦隔手術の多くが胸腔鏡で行われ、ロボット手術も増加していることが示された。研究は、稲毛病院整形外科の城戸優充氏、京都府立医科大学呼吸器外科学の岡田悟氏らによるもので、詳細は2月20日付で「International Journal of Clinical Oncology」に掲載された。

「遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」8年ぶりの全面改訂、非専門医が押さえておきたいポイントは?/日本循環器学会

 日本循環器学会と日本不整脈心電学会の合同研究班による「2026年改訂版 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」1)が、2026年3月20日にオンライン上で公開された。2018年の前回改訂以来、8年ぶりの全面改訂となる。今回の改訂では、「遺伝学的知見と臨床エビデンスの統合」が基本コンセプトに掲げられ、新たに8つの章が追加されるなど、ページ数が前回の約1.6倍(127ページ)に拡充された。3月20~22日に開催された第90回日本循環器学会学術集会では、班長を務めた牧山 武氏(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)が本ガイドラインの要点を解説した。

タルラタマブが小細胞肺がん2次治療に加わる意義/アムジェン

 2026年3月、タルラタマブ(商品名:イムデトラ)が小細胞肺がん(SCLC)の2次治療に承認された。アムジェンが主催したメディアセミナーでは、関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座の倉田 宝保氏と肺がん患者会のワンステップの長谷川 一男氏が登壇。医師と患者の立場から、新たな展開の意義を語った。   SCLCは肺がんの10〜15%を占める。喫煙との関連が高く、病勢進行も速い。進行の速さに加え、喫煙歴のある患者が多いため、咳や痰などの症状がSCLCによるものなのか、その鑑別は容易ではない。発見時には片肺にとどまっている限局性であっても、もう一方の肺に浸潤した進展型となっていることがほとんどだ。

低用量アスピリン併用は統合失調症や双極症治療の切り札となるか

 精神疾患の病態生理学的メカニズムに、炎症が関与している可能性を示唆する膨大なデータが存在する。低用量アスピリンが向精神薬の治療効果を高める可能性が示唆されている。イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのLior Stern氏らは、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、向精神薬と低用量アスピリンの併用レジメンの安定性およびその他の治療効果と関連しているかどうかを検討した。Pharmaceuticals誌2026年3月8日号の報告。  本レトロスペクティブ研究では、イスラエルのClalit Health Services' Southern Districtのデータベースより、2017〜19年に治療を行った1,924例の患者データを分析した。

HR+/HER2-乳がん、早期および晩期再発の関連因子は

 ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)乳がんのリアルワールドコホートにおいて、早期(5年未満)および晩期(5~10年)再発の関連因子を特定することを目的とした後ろ向き研究の結果、臨床的に低リスクに分類される患者であっても晩期再発が生じる可能性がある一方、早期再発は高い腫瘍量および増殖活性を反映することが示唆された。チリ・Pontificia Universidad Catolica de ChileのBenjamin Walbaum氏らによるBMC Cancer誌オンライン版2026年4月10日号掲載の報告より。 . 本研究では、1981~2022年に診断されたStageI~IIIのHR+/HER2-乳がん症例について、後ろ向き解析を実施した。無浸潤疾患生存(iDFS)率がSTEEP 2.0基準に従い評価され、評価変数には転移部位や早期および晩期の浸潤性再発が含まれた。

電子カルテ業務がレジデントのバーンアウトに関連

 若手医師の間で、電子カルテ業務の過剰負担がバーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクを高めていることが、新たな研究で明らかになった。家庭医療レジデントの約3分の1が、「パジャマタイム」と呼ばれている勤務時間外に3時間以上かけて外来電子健康記録(EHR)の作業を行っており、こうした時間外の作業に費やす時間が長いほど、試験の成績が低く、バーンアウトのリスクが高まり、仕事への満足度は低下する傾向が認められたという。米イェール大学医学部のWendy Barr氏らによるこの研究は、「Academic Medicine」3月号に掲載された。

ADHD治療薬は将来の精神病リスクを上昇させない

 注意欠如・多動症(ADHD)の子どもに対しては、メチルフェニデートが処方されることが多い。ADHD患者は統合失調症などの精神病(精神病性障害)のリスクが高いことが知られているが、精神病の発症とメチルフェニデートとの長期的な関連は、これまで明確ではなかった。こうした中、新たな大規模研究で、メチルフェニデートは精神病リスクを上昇させず、むしろ小児期の同薬による治療は将来の非感情性精神病性障害に対して予防効果を有する可能性が示唆された。英エディンバラ大学児童・思春期精神医学分野のIan Kelleher氏らによるこの研究は、「JAMA Psychiatry」に3月25日掲載された。

早期発症統合失調症に対するブレクスピプラゾールの有効性~第III相試験事後解析

 米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、早期発症統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性を評価するため、第III相試験の事後解析の結果を報告した。Psychiatry Research誌2026年6月号の報告。  統合失調症患者を対象とした4件の6週間ランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータを統合した。18~65歳の成人を対象とした試験が3件(NCT01396421、NCT01393613、NCT01810380)、13~17歳の青年を対象とした試験が1件(NCT03198078)であった。早期発症の基準は、年齢が13~35歳、罹病期間が5年以内とした。

造血細胞移植におけるEmergency/日本造血・免疫細胞療法学会

 造血細胞移植は、急性白血病や悪性リンパ腫などに対して根治を目指しうる治療法である。一方で、移植前処置や強力な免疫抑制療法、長期にわたる好中球減少状態などを背景に、早急な対応を講じなければ不可逆的な臓器障害を来し、致命的となりうる重篤な病態(Emergency)が急速に進行することもある。そのため移植医療の現場では、数日単位で生命予後が左右されるEmergencyに備える姿勢が不可欠であり、事態への即応力が強く求められることになる。

医師でリスクの低いがんは?~日本人の職業とがんリスクの大規模研究

 日本の労働者における職業とがん種別発症リスクの関連を全国規模で調査した、東海大学の深井 航太氏らによる大規模症例対照研究の結果、肉体労働や運輸関連の職業でがんリスクが高いなど、職業による違いがみられ、とくに男性で顕著であることがわかった。一方、医師などの専門職では肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんのリスクが低いことが示された。Journal of Occupational and Environmental Medicine誌オンライン版2026年4月14日号に掲載。

超加工食品の摂取量が心臓発作や脳卒中、死亡リスクなどと関連

 工業的に多くの加工が加えられている「超加工食品」と呼ばれる食品の摂取量が、心筋梗塞や脳卒中、およびそれらによる死亡のリスクと関連していることが報告された。超加工食品を1日に平均9回分摂取する人は1回分摂取する人に比べて、7割近くハイリスクだという。米テキサス大学ヒューストン健康科学センターのAmier Haidar氏らの研究によるもので、詳細は「JACC Advances」に3月17日掲載された。  超加工食品は、未加工の食品から工業的に抽出された物質を用いて製造される。飽和脂肪酸やでんぷん、添加糖などを多用して味が整えられ、さらに見た目をよくするための加工が施され、保存性を高めるといった目的で多くの添加物も使用されている。

スマートフォンの問題的使用、若年者の摂食障害関連症状と関連か

 多くの若者にとって、スマートフォンはもはや体の一部ともいえる存在だ。今回、スマートフォンの問題的使用(problematic smartphone use:PSU)や長時間のスクリーンタイムが、体型不満や感情的過食などの摂食障害関連症状と関連している可能性があることが、主に若年者を対象とした研究のシステマティックレビューで示唆された。英キングス・カレッジ・ロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所のBen Carter氏らによるもので、詳細は「JMIR Mental Health」に3月9日掲載された。

統合失調症に対する漢方薬と抗精神病薬の併用がMetSに及ぼす影響

 統合失調症患者における抗精神病薬と併用した中長期の漢方薬の使用が、メタボリックシンドローム(MetS)に及ぼす影響を評価し、これらの患者におけるMetSの有病率および関連する影響因子を明らかにするため、中国・Fujian Psychiatric CenterのJing-Shuang Zhang氏らは、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2026年3月17日号の報告。  2022~24年に統合失調症と診断され精神科病院に入院中の患者897例(平均年齢:47.68±14.67歳)を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。

日本の初期研修医における重大インシデント、男女で差

 過去の研究で、女性医師のほうがガイドラインやエビデンスに基づいた診療を行うことで患者の予後が良好なことが示唆されている。今回、東京科学大学の片桐 碧海氏らが、初期研修環境の改善を目的に国内の初期研修医約6,000人の横断的データを解析し、初期研修医の性別と患者安全インシデントの関連における業務量と心理的負担の関与について検討した。その結果、女性研修医は男性研修医に比べ、重大なインシデントを起こすリスクが低いことが示された。Journal of Patient Safety誌2026年5月号に掲載。