医療一般|page:1

超高齢の乳がん患者における術後の局所再発率と生存率

 超高齢乳がん患者に対する外科的治療の有効性とアウトカムを検討するために、米国・スタンフォード大学のDavid Foulad氏らが、新規発症の原発乳がんまたは温存乳房内再発(IBTR)で手術を受けた85歳以上の患者のデータを解析したところ、手術が満足のいく局所制御をもたらすことが示唆された。Breast Cancer Research and Treatment誌2026年8月6日号に掲載。

精神科における多剤併用療法、それぞれの職種でどう考えているのか?

 多剤併用療法は、複雑かつ治療抵抗性の精神疾患をマネジメントするうえで、重要な治療選択肢の1つである。一方、有害な薬物相互作用、服薬アドヒアランスの低下、健康アウトカムの悪化といったリスクも伴う。多剤併用療法に対する専門職間の見解は、臨床的な意思決定や処方行動に大きな影響を及ぼす。サウジアラビア・King Abdullah International Medical Research CenterのAmal I. Khalil氏らは、精神科医療における多剤併用療法に関する医療従事者の知識と態度を評価し、精神科看護師、精神科医、薬剤師の見解を比較するため、本研究を実施した。また、これらの要因が処方行動や専門職間の連携にどのような影響を与えるかについても検討した。PLOS One誌2026年7月14日号の報告。

健康的な脳の老化にはDHAが重要~EPAとの比較

 高齢者では脳萎縮が認知機能低下に先行することが多いため、脳構造の評価は神経保護の中間バイオマーカーとなる。近年、n-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)、とくにドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度は、脳の構造的完全性との関連が示唆されている。しかし、魚の摂取量が多く、n-3系PUFA濃度がかなり高い日本人のデータは少なく、また、脳構造との関連でDHAとエイコサペンタエン酸(EPA)を比較した研究はほとんどない。今回、滋賀医科大学NCD疫学研究センターの近藤 慶子氏らが、高齢日本人女性においてEPA、DHA、EPA+DHAの血清濃度と脳容積の関連を検討したところ、DHAはEPAよりも灰白質容積との関連が強く、EPAとの関連は限定的なことがわかった。Journal of Nutrition誌オンライン版2026年7月25日号に掲載。

マダニによる肉アレルギー関連抗体保有者は想定以上か

 マダニに咬まれることで発症する肉アレルギーとして知られるα-Gal(アルファガル)症候群に関連する抗体を持つ米国人は、これまで考えられていたよりもはるかに多い可能性が、新たな研究で示された。米ノースカロライナ大学チャペルヒル校感染症分野のEleanor Saunders氏らが7月2日付で「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」に報告した研究によると、α-gal IgE抗体陽性率が高い5州では、成人の約4人に1人がこの抗体を保有していることが判明したという。研究グループは、「これらの結果は、α-galに対する抗体を保有していても、必ずしもα-Gal症候群を発症するわけではないことを示している」との見解を示している。

妊娠期の暑さへの曝露が子どもの脳の発達に影響か

 気候変動が子どもの脳発達に影響を及ぼす可能性があるようだ。妊娠期および乳児期に高温環境にさらされることが、その後の視床の成長速度の低下と関連することが、新たな研究で示された。視床は、嗅覚を除く全ての感覚情報を大脳皮質へ送る中継点の役割を果たすほか、運動調節や意識、記憶、情動のコントロールにも関与している重要な脳領域である。バルセロナ国際保健研究所(スペイン)のEsmée Essers氏らによるこの研究成果は、「Environment International」8月号に掲載された。Essers氏は、「今後の研究では、人生早期の暑さへの曝露が神経発達障害の発症に関与するかどうか、また視床の発達の変化が両者の関連を説明する手がかりとなるかどうかを検討する必要がある」と述べている。

肥満症治療薬単独では血管の健康改善効果は限定的

 GLP-1受容体作動薬などの肥満症治療薬は、肥満治療を大きく変えつつある。しかし、血管の健康の維持には、運動が依然として決定的な役割を果たす可能性を示した研究が、6月24日付で「Nature Metabolism」に掲載された。論文の上席著者であるコペンハーゲン大学(デンマーク)生物医学分野教授のSigne Torekov氏は、「本研究は、薬物療法は体重維持を支える一方で、血管の健康を改善するのは、薬物療法の有無にかかわらず運動であることを示している」と述べている。  肥満と身体活動不足は、血管内皮機能の低下や動脈硬化と関連付けられている。

婦人科腫瘍の循環器合併症~血栓症と高血圧~/日本婦人科腫瘍学会

 婦人科がんと循環器疾患の関連は深い。第68回日本婦人科腫瘍学会学術集会にて、大阪がん循環器病予防センターの向井 幹夫氏は「婦人科腫瘍学と腫瘍循環器学の連携」と題し、両者の密接な関係について紹介した。  婦人科腫瘍患者は、閉経後の動脈硬化リスク上昇に加え、卵巣摘出後の外科的閉経や薬物治療により心血管イベントリスクが増大する。中でも、CATへの対応は婦人科腫瘍の診療においてきわめて重要である。  がんはTissue Factor(TF)やサイトカイン、さらにマイクロパーティクルを分泌して凝固系を活性化し血栓を形成する。がんはこの血栓を利用して転移するのである。がん自体による血栓形成以外に、薬剤による血栓形成も問題となる。婦人科がんで汎用される内分泌薬やパクリタキセル、タキサンなどの化学療法薬は血栓症合併リスクが高い。

日本における初発統合失調症患者に対するLAI抗精神病薬の投与パターンが判明

 長時間作用型注射(LAI)抗精神病薬は、統合失調症治療の継続性を支える可能性がある。しかし、日本における初発統合失調症におけるリアルワールドでのLAI抗精神病薬の開始パターンについては、十分に明らかにされていない。京都大学の宮川 亮祐氏らは、JMDCレセプトデータベースを用いて、日本における初発統合失調症患者に対するLAI抗精神病薬の投与パターンを明らかにするため、本研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2026年7月7日号の報告。  2005年1月~2024年3月のJMDCレセプトデータベースを用い、初発統合失調症に近似するレセプトベースの代理コホートを対象に、縦断的記述疫学研究を実施した。

日本人Lp(a)の実態解明、2つのカットオフ値を提案(LEAP研究)

 日本人のLp(a)濃度分布やLp(a)の心血管疾患(CVD)との関連を明らかにするために国内で実施されている多施設共同後ろ向き観察研究(LEAP研究)。2025年の第57回日本動脈硬化学会総会・学術集会での発表時には、日本人におけるLp(a)濃度分布と冠動脈疾患(CAD)をはじめとする併存疾患の関連性について、具体的に示されていなかった。今回、本研究の筆頭著者である山田 知明氏(東京科学大学病院 医療情報部)らはそれらを明らかにし、Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌2026年8月1日号で報告した。

PPI長期使用、即時中止vs.漸減中止

 長期投与中のプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、症状改善後も漫然と継続されることが少なくない。一方、中止後の症状再燃への懸念から、減量しながら中止すべきか、あるいは即時中止でも問題ないかについては十分なエビデンスがなかった。今回、多施設ランダム化比較試験により、臨床的に安定した胃食道逆流症(GERD)患者において、PPI(P-CABを含む)の即時中止と漸減中止の有効性を比較した結果、両群の中止成功率に有意差は認められなかった。順天堂大学消化器内科の北條 麻理子氏らによる本研究はJournal of Gastroenterology誌2026年8月号に掲載された。

AIを用いたMRI解析で従来検出困難だった多発性硬化症の皮質病変を検出

 多発性硬化症(MS)では脳の皮質に生じる病変(皮質病変)が身体機能障害や認知機能低下と深く関連しているが、従来のMRI検査では皮質病変の可視化に限界があった。しかし、新しく開発されたAI(人工知能)を活用したMRI画像解析手法により複数のMRI画像の情報を組み合わせて解析することで、従来のMRI検査では見えなかった病変を検出できる可能性が示された。  論文の筆頭著者である米バッファロー大学神経学および生物医学情報学分野のMichael Dwyer氏は、「従来のMRI画像を見ても、通常は皮質病変を確認することはできない。しかし、AIは画像間のごくわずかな違いを検出できるため、非常に強力なツールとなる。

男性は女性より進行がんで診断されやすい

 がんによる死亡率は女性よりも男性の方が高いが、その理由の一端を説明し得る新たな研究結果が報告された。同研究によると、男性は女性と比べてがんが最初に発生した部位(原発巣)から近傍のリンパ節や他臓器へ広がった段階でがんと診断される可能性が高いことが明らかになったという。この研究は、米国立がん研究所(NCI)のBeth Maclin氏らによるもので、詳細は「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」7月号に掲載された。  この結果は、男性ではがんの発見が遅れ、治療がより困難で死亡につながりやすい段階で診断されることを意味していると研究グループは指摘している。

日本人の乳がん検診の障壁は「痛み・恐怖・予約」~Xの投稿を解析

 乳がん検診の受診率が米国(70%超)と比較して日本(50%未満)で停滞している現状を背景に、SNS投稿の言葉から異文化間における検診の障壁を比較評価したインフォデミオロジー(情報疫学)研究のデータを、名古屋市立大学の寺田 満雄氏らが報告した。解析の結果、英語圏では主に制度的・経済的負担を反映している一方、日本では「痛み」「恐怖」「予約」が密接に関連する心理的・身体的障壁が支配的であることが示唆された。Journal of Medical Internet Research誌2026年7月31日号に掲載。

認知症リスク低下と関連する野菜の種類は?

 野菜や果物の総摂取量および摂取する野菜や果物の種類と認知症との関連を示すエビデンスは、依然として限られている。中国・浙江大学のLiyan Huang氏らは、3つのプロスペクティブコホート研究およびメタ解析を用い、野菜や果物の総摂取量およびサブグループ別の摂取量と認知症リスクとの関連を検討した。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2026年6月27日号の報告。  本研究は、Health and Retirement Study (HRS)、Framingham Heart Study Offspring Cohort (FOS)、Whitehall II Study (WHII)のデータを用いて実施した。

心・脳血管疾患の既往やNSAIDs使用はパーキンソン病リスクを高めるか?

 心・脳血管疾患の既往はパーキンソン病(PD)のリスク増加と関連することが示されているが、逆の因果関係による可能性が疑われていた。一方、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はPDリスクを低減させると考えられてきたが、過去のエビデンスは一貫しておらず、背景にある血管疾患による交絡の可能性も懸念されていた。英国・University of OxfordのClare Wotton氏らは、女性約82万例を対象とした大規模前向きコホート研究「Million Women Study」のデータを用いて解析を行った。その結果、虚血性心疾患および脳血管疾患の既往はPD発症リスクの有意な上昇と関連しており、逆の因果関係だけでは説明できないことが示された。

尿検査により前立腺がんの監視療法を正確にモニタリング

 低悪性度前立腺がんの非侵襲的モニタリングに尿中バイオマーカー検査を用いることで、生検および画像検査の必要性を減らせる可能性があるという研究結果が、「The Journal of Urology」に5月20日掲載された。  米ヴァンダービルト大学医療センターのJeffrey J. Tosoian氏らは、監視療法(AS)中の患者における生検の必要性を判定するため、直腸指診を行わない尿検査を開発し、検証した。ASの一環として生検が予定されているグレードグループ(GG)1の前立腺がん患者330人を対象に、生検の必要性を判定する尿検査の診断性能および臨床的影響を、マルチパラメトリックMRI(mpMRI)と比較した。

膵臓がんワクチン、高リスク者の9割で免疫応答

 膵臓がんは、特に発症リスクを大幅に高める遺伝子変異を受け継いだ人では、「サイレントキラー」となり得る。しかし、こうした高リスク者における膵管腺がん(PDAC)の予防に新たな希望が見えてきた。米ジョンズ・ホプキンス大学シドニー・キンメル総合がんセンターのElizabeth Jaffee氏らは、PDACやその前がん病変で高頻度に認められるKRAS変異を持つ細胞を免疫系が認識して排除するよう誘導するワクチンを開発し、その小規模試験の結果を、「Cancer Discovery」に7月16日付で報告した。試験では、PDACの遺伝的リスクが高い20人のうち18人でワクチンによる免疫応答が確認され、その免疫応答が長期間持続することも示されたという。

緑内障手術後、約3人に1人で眼瞼下垂――濾過手術でリスク高く

 緑内障手術後には眼瞼下垂(まぶたが下がる症状)が生じることがあるが、その経過は十分に分かっていなかった。今回、患者を1年間追跡した研究で、約3人に1人に眼瞼下垂がみられ、特に濾過手術では術後1年まで進行する可能性が示された。研究は、神戸大学医学部眼科学教室の奥住奈南美氏、盛崇太朗氏らによるもので、詳細は6月25日付の「Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology」に掲載された。

ベンゾジアゼピンの投与量と死亡リスクとの関連

 フィンランド・トゥルク大学のHanna Sarkila氏らは、フィンランド人の集団において、ベンゾジアゼピン系薬剤およびZ-drug(以下、BZD)の使用を新たに開始した患者を対象に、5年間のフォローアップ期間中における用量依存的なBZD使用とすべての原因による死亡および原因別死亡リスクとの関連を調査した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2026年6月21日号の報告。  対象は、2004~05年にBZDの使用歴がなく、2006年にBZDの使用を開始した患者。薬剤調剤に関する情報はPRE2DUP法を用いてモデル化し、調剤のたびに更新される時間依存性変数として扱った。

超多剤併用高齢患者の処方を減量・中止させるには

 高齢になると多数の併存疾患が存在し、このため処方される薬剤も多く、いかに減量・中止するか、いわゆる「ポリファーマシー」が課題となっている。ポリファーマシーを成功させるには何が必要であろう。このテーマについて、オランダ・SIR薬局業務・政策研究所のGert Baas氏らの研究グループは、高齢患者の処方薬の減量・中止について、臨床的服薬レビュー(CMR)が薬剤数に影響を及ぼすかどうかを調査した。その結果、研修を受けた薬剤師によるCMRは薬剤数に影響を及ぼすことがわかった。この内容はAge and Ageing誌2026年7月2日号に掲載された。