医療一般|page:1

ファイザー・ビオンテック、LP.8.1対応コロナワクチンの承認取得

 ファイザーおよびビオンテックは8月8日付のプレスリリースにて、オミクロン株JN.1系統の変異株であるLP.8.1に対応した新型コロナウイルスワクチンについて、8月7日に厚生労働省より製造販売承認を取得したことを発表した。承認されたのは「コミナティ筋注シリンジ12歳以上用」「コミナティRTU筋注5~11歳用1人用」「コミナティ筋注6ヵ月~4歳用3人用」の3製品。これらのワクチンは2025~26年秋冬シーズンで使用される予定。  今回の承認は、両社が開発した新型コロナワクチンの安全性と有効性を示した臨床、非臨床およびリアルワールドデータを含むさまざまなエビデンスに基づいている。申請データには、品質に係るデータに加え、LP.8.1対応ワクチンが、XFG、NB.1.8.1、LF.7、および現在流行している他の変異株に対し、昨年度のJN.1対応ワクチンより優れた免疫反応を示した非臨床試験データなどが含まれている。

乳児期の保湿剤使用でアトピー性皮膚炎の発症率低下、非高リスク集団ほど

 リスクに基づく選別を行っていない乳児集団における、アトピー性皮膚炎の1次予防を目的とした保湿剤(emollient)による介入を評価した研究はほとんどない。今回、リスクに基づく選別のない米国の代表的な乳児集団において、生後9週未満から毎日保湿剤を全身に塗布することで、生後24ヵ月時点におけるアトピー性皮膚炎の累積発症率が低下することが示された。米国・Oregon Health & Science UniversityのEric L Simpson氏らによるJAMA Dermatology誌オンライン版2025年7月23日号掲載の報告。  研究者らは、米国の4州におけるプライマリケア診療ネットワーク(practice-based research networks)に属する25の小児科・家庭医診療所から、1,247組の乳児と保護者を対象に、プラグマティック無作為化分散型臨床試験を実施した。参加者の募集は2018年7月~2021年2月に行い、追跡調査は2023年2月までに完了した。

錐体外路症状の早期発生は予後不良の予測因子か

 抗精神病薬未治療または短期間の治療(準未治療)しかされていない初回エピソード統合失調症患者では、錐体外路症状(EPS)が主な病態として発現する可能性がある。スペイン・Universidad ComplutenseのJoaquin Galvan氏らは、未治療および準未治療の初回エピソード統合失調スペクトラム症におけるEPSの有病率、ベースラインにおける人口統計学的および臨床的相関、フォローアップ期間中の臨床アウトカムとの関連を解析した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2025年7月12日号の報告。

オランザピンの制吐薬としての普及率は?ガイドライン発刊後の状況を聞く

 『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂第3版』が発刊され、約2年が経過しようとしている。改訂による大きな変更点の一つは、“高度催吐性リスク抗がん薬に対するオランザピン5mgの使用を強く推奨する“ことであったが、今現在での医師や医療者への改訂点の普及率はどの程度だろうか。前回の取材に応じた青儀 健二郎氏(四国がんセンター乳腺外科 臨床研究推進部長)が、日本癌治療学会のWebアンケート調査「初回調査結果報告書」とケアネットがCareNet.com医師会員を対象に行ったアンケート「ガイドライン発刊から6ヵ月が経過した現在の制吐薬の使用状況について」を踏まえ、実臨床での実態や適正使用の普及に対する課題を語った。

降圧薬の種類と心血管リスク、ARB vs.CCB vs.利尿薬vs.β遮断薬

 血圧が良好にコントロールされている高齢高血圧患者において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)およびカルシウム拮抗薬(CCB)の長期使用は、サイアザイド系利尿薬やβ遮断薬と比較して、心血管イベントの複合アウトカムに対してより大きなベネフィットをもたらす可能性が示唆された。中国・北京協和医学院のXinyi Peng氏らは、STEP試験の事後解析として、ARB、CCB、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬という4つの降圧薬クラスに焦点を当て、それらの長期投与と心血管リスクの関連について評価した。BMC Medicine誌2025年7月1日号掲載の報告より。  本研究は、脳卒中の既往のない60~80歳の中国人高血圧患者を対象としたSTEP試験のデータを用いて実施された。追跡不能となった234例および無作為化後に血圧記録が得られなかった20例を除外し、最終的に8,257例が解析対象となった。各降圧薬クラスについて、相対的曝露期間(薬剤投与期間/イベント発生までの期間)を算出した。

インフルワクチン接種回数と認知症リスクが逆相関~メタ解析

 インフルエンザワクチン接種と認知症リスク低下との関連性については、一貫性のない結果が報告されており、この関連性は明確になっていない。台湾・Keelung Chang Gung Memorial HospitalのWen-Kang Yang氏らは、全人口および慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管性疾患などの認知症高リスク患者におけるインフルエンザワクチン接種と認知症リスクとの関連を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Age and Ageing誌2025年7月1日号の報告。  2025年4月6日までに公表された研究をPubMed、Embase、CENTRALよりシステマティックに検索し、ランダム効果メタ解析を実施した。バイアスリスクの評価には、ニューカッスル・オタワ尺度を用いた。

髄外病変を有する多発性骨髄腫、CAR-T細胞vs.二重特異性抗体

 多発性骨髄腫で骨髄外に悪性形質細胞腫瘍がある場合は髄外病変(EMD)と定義され、通常は予後不良である。今回、ドイツ・University Hospital of WurzburgのMaximilian J. Steinhardtらは、再発多発性骨髄腫に有効なCAR-T細胞療法(イデカブタゲン ビクルユーセル[ide-cel]、シルタカブタゲン オートルユーセル[cilta-cel])と二重特異性抗体療法(テクリスタマブ、トアルクエタマブ)のEMDへの効果について後ろ向きに評価した結果、CAR-T細胞療法が意味のあるベネフィットをもたらす可能性が示唆された。Blood Cancer Journal誌2025年7月30日号に掲載。

HER2+炎症性乳がん、術前アントラサイクリン上乗せは有用か?

 HER2陽性乳がんの術前療法にアントラサイクリンを追加することによるベネフィットは、無作為化臨床試験において示されなかったが、炎症性乳がんにおける有効性は明らかになっていない。HER2陽性の炎症性乳がんを対象とした後ろ向き研究の結果、術前療法でのアントラサイクリン追加は病理学的完全奏効(pCR)との関連は示されなかったものの、疾患コントロール期間の延長に寄与する可能性が示唆された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの岩瀬 俊明氏らによるBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2025年8月2日号への報告。  2014~21年に、MDアンダーソンがんセンター、IBCネットワーク関連施設、ダナ・ファーバーがん研究所にて術前療法と胸筋温存乳房切除術を受けたHER2陽性原発性炎症性乳がん患者を対象に後方視的な検討が行われた。主要評価項目はpCR率、副次評価項目には、局所・領域再発までの期間(TLRR)、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)が含まれた。単変量解析および多変量解析が、臨床的に関連する交絡因子を調整したうえで実施された。

免疫介在性炎症性疾患患者のCVDによる死亡率は、男性よりも女性の方が高い

 免疫介在性炎症性疾患(IMID)患者の心血管疾患(CVD)による死亡率は1999年から2020年にかけて低下したが、死亡率の男女差が依然として認められることを示したリサーチレターが、「Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes」に5月5日掲載された。  米クリーブランド・クリニックのIssam Motairek氏らは、米疾病対策センター(CDC)が提供している1999~2020年の複合死因(Multiple Cause of Death)データを用い、基礎疾患としてIMIDを有する患者のCVD関連死を特定し、死亡率の男女差を検討した。IMID関連死28万1,355件から、CVD関連死12万7,149件を抽出して分析した。

早過ぎる子どものスマホデビューは心の発達に有害

 子どもの心身の健康を大切に思うなら、子どもがティーンエイジャーに成長するまではスマートフォン(以下、スマホ)は与えないほうが良いかもしれない。新たな研究で、18~24歳の若者のうち13歳未満でスマホを与えられた人では、自殺念慮、攻撃性、現実からの乖離感、感情調節困難、自己肯定感の低下などのリスクが高いことが示された。米Sapien LabsのTara Thiagarajan氏らによる詳細は、「Journal of Human Development and Capabilities」に7月20日掲載された。  Thiagarajan氏は、「われわれのデータは、早期からのスマホの所持と、それに伴うソーシャルメディアの利用が、成人期早期の心の健康とウェルビーイングに大きく影響することを示している」とジャーナルの発行元であるTaylor & Francis社のニュースリリースの中で話している。その上で、「当初は研究結果が強力であることに驚いた。しかし、よく考えてみれば、発達段階にある若い心は、その脆弱性や人生経験の少なさからオンライン環境からの影響を受けやすいというのは当然のことかもしれない」と述べている。

不眠症に対する各運動介入の比較〜ネットワークメタ解析

 中国・北京中医薬大学のZhi-Jun Bu氏らは、不眠症における重症度の軽減および睡眠の質の改善に対するさまざまな運動介入の有効性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Evidence-Based Medicine誌オンライン版2025年7月15日号の報告。  2025年4月1日までに公表された研究をPubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Science、SPORTDiscus、PsycINFOデータベースより検索した。成人不眠症患者を対象に、介入を評価したランダム化比較試験(RCT)をメタ解析に含めた。バイアスリスクの評価には、Cochrane Risk of Bias 2 Toolを用いた。エビデンスの確実性は、ネットワークメタ解析信頼性(CINeMA)プラットフォームを用いて評価した。各介入の有効性を評価するため、頻度主義ネットワークメタ解析を実施し、平均差(MD)および95%信頼区間(CI)をアウトカムとして算出した。睡眠アウトカムの評価には、ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)、不眠症重症度指数(ISI)、睡眠日誌などの検証済みのツールおよび睡眠ポリグラフ、アクチグラフィーなどの客観的睡眠指標を複合的に測定した。

周術期心停止で緊急手術と待機的手術では差異があるか/浜松医科大

 周術期の心停止は緊急手術でより頻度が多く、死亡リスクを伴うが、その発生率、原因、および転帰を調査した大規模な研究は不足している。そこで、このテーマについて浜松医科大学医学部附属病院集中治療部の姉崎 大樹氏らの研究チームは、全国のICUデータを基にわが国の緊急手術と待機的手術における周術期心停止の疫学を調査した。その結果、緊急手術では待機的手術と比較し、周術期心停止の発生率が高いことが判明した。この結果は、British Journal of Anaesthesia誌オンライン版2025年7月24日号に公開された。  研究グループは、日本集中治療患者データベース(JIPAD)という全国的なICU登録データベースを用い、2015年4月~2023年3月までの間に手術室からICU入院前に心停止を経験した患者を対象に調査を行った。患者は、緊急手術と待機的手術に分類され、発生率、手術手技、原因、臨床転帰に関する群間比較を行う多施設共同後ろ向きコホート研究を実施した。

扇風機、CDC推奨より高温環境でも効果

 米国疾病管理予防センター(CDC)は、体温を上昇させる可能性があるとして、摂氏32度を超える温度での扇風機の使用を推奨していない。一方、モデル化によると、扇風機は湿度に応じて体温を低下させる可能性があるという。カナダ・モントリオール心臓研究所およびオーストラリア・シドニー大学の研究チームは、高齢者58例を対象に、扇風機の使用が高温多湿の環境下で心臓への負担を軽減する一方で、非常に高温で乾燥した環境下では心臓への負担を3倍に増加させることを報告している。今回、同チームが、扇風機使用が体温、発汗、暑さの感じ方、快適度にどう影響するかを検証した結果が、JAMA Network Open誌2025年7月29日号Research Letterに掲載された。

GLP-1RAで痩せるには生活習慣改善が大切

 オゼンピックやゼップバウンドなどのGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の減量効果が高いため、注射さえしていればあとは何もしなくても体重を減らせると思っている人がいるかもしれない。しかし専門家によると、それは誤りだ。適切に体重を減らしてそれを維持するには、注射に加えて生活習慣の改善も必要だという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJoAnn Manson氏らによる、GLP-1RA治療中の生活習慣改善に関するアドバイス集が「JAMA Internal Medicine」に、患者対象情報として7月14日掲載された。  Manson氏は、「GLP-1RAによる減量治療を開始後に、多くの患者が脂肪量だけでなく筋肉量も減少してしまう。また、胃腸症状が現れて治療を中止せざるを得なくなることも多い」と述べ、GLP-1RA使用時の生活習慣改善の重要性を指摘している。例えば、GLP-1RAのみで体重を減らした場合、減った体重の25~40%は除脂肪体重(多くは筋肉)が占めるとのことだ。

犬がにおいでパーキンソン病患者を検知

 犬の鋭い嗅覚は、逃亡犯の追跡や遺体の発見、違法薬物の捜索などに役立っている。過去の研究では、前立腺がん、マラリア、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの疾患を嗅ぎ分けることができたことも示されている。では、犬の嗅覚は、脳や神経系の疾患を検知できるほど鋭敏なのだろうか。  新たな研究で、嗅覚を使ってパーキンソン病を検知できるように訓練された2匹の犬が、皮脂スワブ検体からパーキンソン病患者を最高80%の精度で検出できたことが示された。英ブリストル大学獣医学部のNicola Rooney氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Parkinson’s Disease」に7月14日掲載された。Rooney氏は、「私は、パーキンソン病患者を特定するための迅速で非侵襲的かつ費用対効果の高い方法の開発に犬が役立つと確信している」と同大学のニュースリリースの中で述べている。

一部のグルテン不耐症は思い込みによる可能性も

 自分はグルテン不耐症だと信じている過敏性腸症候群(IBS)患者の一部で見られる症状は、実際にはグルテンのせいではなく思い込みにより生じている可能性のあることが、小規模な臨床試験で示された。IBS患者を対象としたこの臨床試験では、グルテンや小麦が含まれていないシリアルバーでも、摂取後に消化器症状の悪化を訴える人がいたという。マクマスター大学(カナダ)医学部教授のPremysl Bercik氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Gastroenterology and Hepatology」に7月21日掲載された。  グルテンは小麦、大麦、ライ麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種である。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院によると、グルテンに対してアレルギーがある人や、グルテンによって免疫反応が引き起こされ腸が損傷される可能性がある人では、グルテンの摂取が消化器系の問題をもたらすことがあるという。

慢性蕁麻疹に最も効果的な治療薬は何?

 皮膚に強いかゆみを伴う隆起した膨疹(みみず腫れ)が生じる蕁麻疹のうち、発症後6週間以上が経過したものを慢性蕁麻疹という。このほど新たな研究で、慢性蕁麻疹のかゆみや腫れの軽減に最も効果的な治療法は、注射用抗体薬のオマリズマブと未承認の錠剤remibrutinib(レミブルチニブ)であることが示された。マクマスター大学(カナダ)医学部のDerek Chu氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology(JACI)」に7月15日掲載された。  蕁麻疹は、アレルギー反応の一環として皮膚の肥満(マスト)細胞がヒスタミンを放出することで生じる。ヒスタミンは血管の透過性を高め、毛細血管から血漿成分が皮膚に漏れ出すことで膨疹が現れる。

成人期の継続的な身体活動は死亡リスクを低下させる

 成人期を通じて継続的に身体活動を行っている人は、成人期を通じて非活動的だった人に比べて、あらゆる原因による死亡(全死因死亡)リスクが29〜39%低いことが、新たな研究で明らかになった。このようなリスク低下は、成人期の途中で身体活動習慣を身に付けた人でも認められたという。クイーンズランド大学(オーストラリア)のGregore I Mielke氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に7月10日掲載された。研究グループは、「成人期に身体活動を始めることは、開始時期がいつであれ、健康にベネフィットをもたらす可能性がある」と述べている。

8月10日「ハートの日」には循環器病の予防に支援を/日本心臓財団ほか

 日本心臓財団、日本循環器協会、日本循環器学会、日本AED財団の諸団体は共催で、8月10日の「健康ハートの日」を前に、都内で循環器病に関するシンポジウムを開催した。日本心臓財団が、循環器病予防と健康を呼びかける「健康ハートの日」の活動を開始し40周年の節目を迎え、「循環器病予防の40年:過去・現在・未来」をテーマに、循環器病活動を振り返り、将来の20年に向けた新たな展望を議論した。

妄想性障害や急性精神病などの精神疾患と統合失調症や双極症との遺伝的関連性

 妄想性障害、急性精神病、特定不能精神病、統合失調感情障害の4つのまれな精神疾患における病因的な相互関係は、いまだに解明されていない。米国・バージニア・コモンウェルス大学のKenneth S. Kendler氏らは、妄想性障害、急性精神病、特定不能精神病、統合失調感情障害患者における統合失調症、双極症、うつ病の家族遺伝子リスクスコア(FGRS)レベルを評価し、これらの遺伝的関係を明らかにするためコホート研究を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2025年7月9日号の報告。  1950〜2000年にスウェーデン生まれの両親のもとスウェーデンで生まれた人を対象に、2018年までフォローアップを行った。国家レジストリーの診断コードに基づき診断した。統合失調症、双極症、うつ病患者の統合失調感情障害は、同居を考慮したうえ、第1〜5近親者より算出した。主要アウトカムは、妄想性障害、急性精神病、特定不能精神病、統合失調感情障害の診断とした。