CLEAR!ジャーナル四天王|page:82

急性心筋梗塞後にも心房細動患者にはCKDのステージに関わらずワルファリンを投与すべき!でも、日本でも同じ?(コメンテーター:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(190)より-

 ワルファリンは、心房細動患者で心原性脳梗塞や全身性塞栓症を予防するには有効な薬剤で、出血のリスクはあっても、Net Clinical Benefitの点からCHADS2 Scoreを考慮して使用すべきとされている。しかし、CKDのステージが進行するにつれ出血のリスクが増加することから、ワルファリン投与についてはControversialであった。

術後患者の生存率は看護師の人数と学歴で改善できる(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(189)より-

 コストカット目的での看護師減員は患者アウトカムに悪影響をもたらす一方で、学士号取得の看護師配置を手厚くすると院内死亡は減少するという研究報告が発表された。本検討は、病院運営上最も大きなコスト要素の1つである、看護師に関する意思決定を目的としたRN4CAST研究である。RN4CASTには12ヵ国が参加しているが、今回の検討では、同様の患者退院データを有する9ヵ国(ベルギー、英国、フィンランド、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス)300病院における、2009~2010年のデータより解析が行われた。

ACTH非依存性クッシング症候群の病因解明に大きく前進(コメンテーター:成瀬 光栄 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(188)より-

 ACTH非依存性クッシング症候群は、副腎からのコルチゾールの自律性分泌により高血圧や糖尿病などをきたす疾患で、副腎腺腫と両側が結節性過形成になるACTH非依存性大結節性副腎過形成(AIMAH)が主な病型である。通常、前者では腺腫側の副腎摘出で治癒するのに対して、後者では両側副腎摘出が必要なことが多く、副腎不全による永続的なホルモン補充が必要となる。いずれも成因は不明であったが、本論文により、顕性クッシング症候群の約1/3の例で、プロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットをコードするPRKACAのsomatic mutationを認めることが明らかにされた。

非小細胞肺がんの予後は術前化学療法により改善するか(コメンテーター:小林 英夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(187)より-

 全世界で毎年150万人の新規肺癌が診断され、その8割は非小細胞肺癌(NSCLCs)で、切除だけで完治が期待できる症例は20~25%程度である。術前化学療法は腫瘍径や転移巣の縮小効果を期待できる一方で、手術を遅らせ、がんの進行により切除不能になってしまうことも時にありうる。

血圧長期変動性よりも若年時の血圧が、冠状動脈石灰化スコアに影響を及ぼすことが明らかになる(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(186)より-

 高血圧のもつリスクは、大きく二種類に分けることができる。固有の血圧値に由来するリスクと、変動する血圧値に由来するリスクの2つである。近年、ABPMや家庭血圧計の普及により、高血圧治療の質を高めるために、日内変動や、日間変動といった血圧変動を評価することが勧められている。

中国で初めて報告された鳥インフルエンザA(H10N8)のヒト感染例―既報のトリ由来H10N8とは異なるタイプと判明―(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(185)より-

 鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染し、重症となるケースがあとを絶たない。A型のH5N1やH7N9がその代表であり、H7N9は2014年1月27日までに既に中国で250例が報告され、うち70例が死亡している。一方H10N8は、これまで北米、欧州、アジア、オーストラリアなど広い範囲で主にカモから分離されていたものの、ヒトへの感染例はなかった。しかしながら2013年11月、中国江西省南昌市で最初の感染例が報告された。さらに患者から分離されたH10N8は既報の鳥由来ウイルスとは異なる、新たな再集合体であることが判明した。

中国で見つかった鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の疫学調査(続報)(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(184)より-

 2013年3月、中国から鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスがヒトに感染した事例が初めて報告された。家禽市場の閉鎖措置後、一旦患者は減少傾向を示していたが、2013年10月以降再び患者が増加している。中国以外では、台湾、香港、マレーシアから感染例が報告されているが、全例中国本土で感染したと考えられている。本稿執筆時点では日本国内での感染例は報告されていないが、国内発生時に冷静に対応できるように準備しておく必要がある。

「案ずるより産むが易し」とはいうけれど・・・(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(183)より-

 女性にとって出産は人生の一大イベントである。母子ともに無事であることは社会全体の一致した願いである。しかし、「願い」と「事実」の間には解離がある。科学は感情とは無関係に事実を明らかにする。心筋梗塞、脳梗塞、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症)は前触れなしに突然発症する。心筋梗塞、肺塞栓症であれば発症後1時間後に死亡しても不思議はない。脳梗塞になれば発症後速やかに生涯に渡る麻痺という運命が決まってしまう。突然発症し、不可逆的な血栓イベントを避けたい気持ちは医師、患者、社会が共有している。

アナストロゾールの乳がん予防試験(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(182)より-

 ハイリスク乳がんの予防研究は世界的にはかなり進んでいて、SERMによるメタアナリシスについては、2013年に発表されている。今回の結果は、乳がんのハイリスクである閉経女性に対するアナストロゾール乳がん予防研究である。アナストロゾールは閉経後乳がん治療に使うホルモン療法であるアロマターゼ阻害薬に属する。

The long and winding road(コメンテーター:岡村 毅 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(180)より-

 すでにご承知とは思うが、アルツハイマー型認知症とは認知症の原因疾患の中で最も多くを占める代表的認知症疾患である。脳内にアミロイドβ蛋白が蓄積し、そののちにリン酸化タウ蛋白が蓄積することが病態生理の中心とされている。これはアミロイドカスケード仮説などと呼ばれる。私達がすでに使っているドネペジルなどの認知症治療薬は、この病態仮説とはあまり関係がない「対症療法薬」にすぎない。

大気汚染微粒子状物質の長期暴露による冠動脈疾患発生リスク増大への警鐘(コメンテーター:島田 俊夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(179)より-

 これまで大気汚染微粒子状物質(PM)の暴露による冠動脈疾患への影響に関しては、米国、英国などからすでに報告があり、大気中のPM2.5, coarse PM(2.5-10.0), PM10の一定増量分/m3が冠動脈疾患イベントを増大させる、させないと一見矛盾したものも散見される。世界中で大気汚染の問題は年々深刻さの度合いを増し、とくにアジアにおいては、経済発展に伴いPMの健康被害の問題は避けて通れない大きな社会問題となっている。本論文はBMJ2014年1月21日号に掲載された時流を反映した論文であり、私見を加えコメントする。

C型慢性肝炎は3ヵ月の経口内服薬で90%以上治癒する時代へ―副作用のないIFNフリー療法が目前に―(コメンテーター:溝上 雅史 氏、是永 匡紹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(178)より-

 C型慢性肝炎に対する最新治療は、週1回のペグインターフェロン(PegIFN)注射とPegIFNの有効性を高めるリバビリン(RBV)に、直接ウイルスに作用する抗ウイルス剤(シメプレビル:SMV)を内服する3剤併用療法である。治療期間は24週間、前治療でウイルスが感度未満にならない(Non-Viral Response:NVR)一部の難治例を除けば、ウイルス排除(Sustained Viral Response:SVR)率は90%を超える。しかし、わが国のC型慢性肝炎患者の多くは65歳以上の高齢者のため、副作用が多いIFN治療そのものが導入できない現状があり、「IFNフリー=副作用が少ない治療」が必要不可欠である。

グルコキナーゼ遺伝子異常症(MODY2)を参考にした血糖コントロールレベルの検討(コメンテーター:景山 茂 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(177)より-

 グルコキナーゼはヘキソキナーゼのアイソフォームの1つで、膵β細胞および肝細胞に存在する。ヘキソキナーゼのKmは0.1mmol/Lで、生理的条件下では最大速度で反応するのに対して、グルコキナーゼのKmは5.5mmol/L(99mg/dL)で、生理的な血糖の範囲でブドウ糖のリン酸化が調節されうる。また、グルコキナーゼにより産生されるG-6-Pの抑制を受けないことから、グルコキナーゼは膵β細胞においてグルコースセンサーの役割を果たしていると考えられる。

新薬が不承認となる最大の原因は有効性の欠如だった(コメンテーター:折笠 秀樹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(176)より-

 米国FDAによる過去12年間の承認審査に関するレトロスペクティブ調査である。302件の新薬申請のうち151件(50%)はすんなり承認されたが、残る151件は書類の再提出を求められ、71件は最終的には承認、80件は不承認であった。本調査は再提出を求められた151件について、最終的に承認されたか否かの原因を探った。一発承認の要因について言及がなかったのは残念である。

C型慢性肝炎に対する治療法の開発は最終段階へ!―IFN freeの経口薬併用療法の報告―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(175)より-

 C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現時点での標準治療はPEG-InterferonとRibavirin・Protease阻害薬(Telaprevir またはSimeprevir)の併用療法(24週)である。この治療法により、Sustained Virological Response(SVR:治療終了後6ヵ月の時点での血中HCV陰性化)を得られる頻度は、初回治療例、前治療無効例で約80~90%とされている。

植え込み型デバイス治療がCPAPを続けられない閉塞性睡眠時無呼吸患者を救う?(コメンテーター:高田 佳史 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(174)より-

 中等から重症の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は心血管リスクであり、治療の第一選択は持続的陽圧呼吸療法(CPAP)である。しかし、CPAP治療の効果にはアドヒアランスの良し悪しが大きく影響する。高血圧発症の予防、治療抵抗性高血圧の降圧、心不全患者の予後改善などにおいて、アドヒアランスが良好でなければ効果が期待できないことが報告されている。

心房細動アブレーションにおける新しいMRI指標:そのメリットとデメリット(コメンテーター:山下 武志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(173)より-

 心房線維化は心房細動の原因と考えられているばかりでなく、治療抵抗性の指標としても注目されている。あたかも「がんの浸潤」のように、心房線維化が広範に及ぶ例ではカテーテルアブレーションによる治癒率が低下すると予想することは容易である。これまで臨床的にその定量化が容易でないことが一つの課題であったが、本論文は遅延造影MRIにより心房線維化を定量化することにより、この予想が正しいことをあらためて明らかにした。

破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術 vs. 血管内修復術(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(172)より-

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJanet T Powell氏らのIMPROVE(Immediate Management of Patients with Rupture: Open Versus Endovascular repair)試験研究グループが、30施設・613例の無作為化試験の結果から、破裂性腹部大動脈瘤に対する治療戦略について、開腹手術と血管内修復術とでは30日死亡率低下およびコスト削減に有意差はないことを示した。

よいメタ解析、悪いメタ解析?(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(171)より-

 心房細動の脳卒中予防の適応取得を目指した、いわゆる新規経口抗凝固薬の開発試験の結果が出揃った。最後に残っていたのはTIMI groupの主導するENGAGE-TIMI 48試験であった。試験対象となったエドキサバンは、日本の第一三共の薬剤であったが、試験は実績のあるTIMI groupに持って行かれてしまった。ENGAGE TIMI 48試験は2013年11月のAHAにおいて発表された。それまでTIMI group以外のものは試験結果にアクセスすることはできない。最後に残った心房細動の脳卒中予防試験の結果を抱えているTIMI groupは、新規経口抗凝固薬の臨床試験の情報について昨年の11月まで圧倒的に有利な状況にあった。