CLEAR!ジャーナル四天王|page:2

欧州人では血管内治療前の血栓溶解療法は必要か?(解説:内山真一郎氏)

前方循環系の脳内主幹動脈閉塞による急性虚血性脳卒中において血管内治療(EVT)前のアルテプラーゼ静注療法の有無を比較した無作為化比較試験はいずれもアジア(中国と日本)で行われており、欧州で行われた本試験(MR CLEAN-NO IV)はアジア以外では初めての試験であった。EVTが可能で、かつアルテプラーゼ静注療法の適応がある539例を対象に行われた本試験では、主要評価項目であった90日後の転帰に両群間で有意差はなく、EVT単独療法の非劣性は証明されず、安全性の評価項目であった症候性頭蓋内出血もEVT単独群とアルテプラーゼ併用群の間に有意差がなかった。これまでに行われた同様の試験としては、中国で行われたDIRECT-MT試験とDEPT試験、および日本で行われたSKIP試験の3試験があり、それらのメタ解析によれば、血管内治療単独群と血栓溶解橋渡し療法群の間に3ヵ月後の転帰は有意差がなく、症候性頭蓋内出血も有意差がないという結果が示されている。本試験の結果もこのメタ解析と同様であり、この論争に決着をつけるには、さらなるエビデンスの集積が必要になる。

併用療法の有効性が示唆される結果となった(解説:高梨成彦氏)

 経皮的脳血栓回収術では、血栓吸引カテーテルとステントリトリーバーの2種類のデバイスが使用される。基本的にはそれぞれ単独で使用するが、効率的な回収を期待して両者を組み合わせた併用療法も行われている。  本研究は併用療法がステントリトリーバー単独療法よりも有効性が高いという作業仮説を証明するために組まれた、オープンラベルのランダム化比較試験である。  主要評価項目は手術終了時のTICI 2c/3の有効再開通率と設定され、最終的に408例の患者が参加した。年間100例以上の脳血栓回収術を行っている施設のみが参加しており、術者は血栓吸引法とステントリトリーバー法をそれぞれ10例以上経験していることが条件である。

降圧薬の心血管イベント抑制効果 年齢やベースラインの血圧で異なるか (解説:江口和男氏)

わが国の高血圧ガイドラインでは、高齢者における降圧目標を65~74歳については非高齢者と同様の130/80mmHg未満、75歳以上では原則として140/90mmHg未満としている(JSH2019ガイドライン)。同様に、ESHガイドラインでは60~79歳では140/90mmHg以上、80歳以上では160/90mmHg以上と年齢により降圧薬開始の基準を分けている。英国のNICEガイドラインでは80歳以上の高齢者で血圧が150/90mmHg以下であれば降圧治療を推奨しないとし、ISH2020ガイドラインでは冠動脈疾患、脳卒中などの併存疾患がある際の各降圧目標について、通常の130/80mmHgでなく高齢者は140/80mmHg未満と記載している。一方、米国ACC/AHA2017ガイドラインでは65歳以上のすべての外来通院可能な高齢者かつ収縮期血圧(SBP)≧130mmHgではSBPゴール130mmHg未満を目標とした降圧治療を推奨している。このようにわが国および国際的高血圧ガイドラインにおいて高齢者高血圧に対する降圧治療の考え方が異なっている。では、高齢者において積極的降圧療法を行う場合、降圧療法の開始基準や降圧目標を年齢で分けなければならないのだろうか? 高齢者における降圧療法では過降圧が危惧されるが、血圧レベルがさほど高くない場合(たとえば130/80mmHg)では、低血圧などの有害事象が出るだけでイベント抑制効果はないのであろうか?

国・地域により評価が分かれる研究(解説:野間重孝氏)

チカグレロルはcyclo pentyl triazolo pyrimidine (CPTP)系の薬剤に分類される抗血小板薬である。クロピドグレルやプラスグレルなどのチエノピリジン系の薬剤がプロドラッグであり肝臓で代謝されることにより活性体となるのに対し、チカグレロルは自身が活性体であるためその作用の出現が速やかであるとともに肝代謝による影響を受けることがない。いずれの系統の薬剤も血小板のP2P12受容体に結合することによりその作用を発揮するが、チエノピリジン系の結合が非可逆的なものであるのに対し、チカグレロルの結合は可逆的である。そのため中止後の効果消失も速やかであるが、その反面作用時間が短いため1日2回の服用が必要である。

ステロイド投与に関連する臨床試験の難しさ:心肺蘇生の現場から(解説:香坂俊氏)

敗血症性ショック症例に対するステロイド投与  今回のテーマはVAM-IHCA試験という院内の心停止症例に対してバソプレシン+メチルプレドニゾロンを投与するかどうかというRCTなのであるが(JAMA誌掲載)、このテーマに関しては少し昔の話から始めさせていただきたい。  ステロイドが集中治療の現場に登場したのは、2002年くらいからではないだろうか。Annane氏らによってフランスで敗血症性ショック症例を対象としたRCTが行われ(300例)、ACTH負荷不応だった患者に対して

ワクチンの3回目Booster接種は感染/重症化予防効果を著明に改善する(解説:山口佳寿博氏、田中希宇人氏)

前論評(山口, 田中. ワクチン接種後の液性免疫の経時的低下―3回目Booster接種必要性の基礎的エビデンス)で論じたように、ワクチン接種後の液性免疫は、野生株、従来株、Delta株を中心とする変異株の別なく、月単位で有意に低下する。この液性免疫の経時的低下によって、Delta株を中心とする新型コロナウイルスの感染拡大(第6波)が今年の12月以降の冬場に発生する可能性を論評者らは危惧している。第6波の発生を避けるためには、ワクチン接種後の時間経過と共に低下した液性免疫を再上昇させるためのワクチン3回目接種(Booster接種)、あるいは、Delta株を中心とするコロナ変異株抑制能力が高く効果持続期間がワクチンと同等、あるいは、それ以上に長いIgG monoclonal抗体をワクチン代替薬として考慮する必要がある。

ワクチン接種後の液性免疫の経時的低下 - 3回目booster接種必要性の基礎的エビデンス (解説:山口佳寿博氏、田中希宇人氏)

Levin氏らはイスラエルにおいてBNT162b2を2回接種した一般成人におけるS蛋白IgG抗体価、野生株に対する中和抗体価の時間推移を6ヵ月にわたり観察した(Levin EG, et al. N Engl J Med. 2021 Oct 6. [Epub ahead of print] )。その結果、S蛋白IgG抗体価はワクチン2回接種後30日以内に最大値に達し、それ以降、IgG値はほぼ一定速度で低下し、6ヵ月後には最大値の1/18.3まで減少することが示された。野生株に対する中和抗体価の低下はS蛋白IgGと質的に異なり、中和抗体価は、2回接種後3ヵ月間は一定速度で低下、それ以降は、低下速度が緩徐となりほぼ横ばいで推移、6ヵ月後には最大値の1/3.9まで低下した。高齢、男性、併存症(高血圧、糖尿病、脂質異常症、心/腎臓/肝疾患)が2つ以上存在する場合にはS蛋白IgG抗体価ならびに中和抗体価の時間経過に伴う低下はさらに増強された。Levin氏らが示したのと同様の知見はShrotri氏らによっても報告された(Shrotri M, et al. Lancet. 2021;398:385-387. )。Shrotri氏らによると、BNT162b2の2回接種後70日(2.3ヵ月)以上経過した時点でのS蛋白IgG抗体価は最大値の1/2まで低下していた。Shrotri氏らは、AstraZenecaのChAdOx1接種後のS蛋白IgG抗体価の時間推移についても検証し、ChAdOx1の2回接種後のS蛋白IgG抗体価の最大値はBNT162b2接種後に比べ1/10と低く、かつ、ワクチン接種後70日以上経過した時点でのS蛋白IgG抗体価は自らの最大値の1/5まで低下することを示した。

ファイザー製コロナワクチンBNT162b2 長期の有効性と安全性(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による第5波で多くの医療機関で災害級の対応を強いられたものと考えているが、2021年10月中旬現在において波は完全に引き潮となっている。コロナが落ち着いてきた要因はいろいろ囁かれているが、日本全土でコロナワクチン接種が普及したこと(2021年10月19日現在、日本でのコロナワクチン2回目接種終了率68.0%)は大きく影響していると考える。現場でも実際にコロナが収束傾向な状況は大変喜ばしいことと思っている。ファイザー製コロナワクチンBNT162b2の効果としては最初に95%の発症予防効果(Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615.)が示され、その後もリアルワールドセッティングで感染予防効果率:92%、重症化予防効果率:92%、入院予防効果率:87%(Dagan N, et al. N Engl J Med. 2021;384:1412-1423.)とさまざまな臨床的有用性がすでに報告されている。さらに12~15歳の若年者ではBNT162b2コロナワクチンを2回接種後に新型コロナウイルス感染症を発症した症例は1例も認めずに高い有効性や安全性も示されている(Frenck RW Jr, et al. N Engl J Med. 2021;385:239-250.PMID:34043894)。本邦では医療従事者が先駆けてコロナワクチンを接種したことから、現場でも長期の有効性や安全性プロファイルは関心の高いところである。

潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法における低分子医薬品ozanimodの有用性(解説:上村直実氏)

選択的スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬ozanimodの潰瘍性大腸炎(UC)に対する有用性を検証した第III相臨床試験の結果、中等度から重度UCの寛解導入および寛解維持に有効性を認めたことがNEJM誌に掲載された。選択的S1P受容体調整薬ozanimodはUC患者の大腸粘膜へのリンパ球の浸潤を抑えることで炎症を抑制する効果が期待されている新規の低分子医薬品である。UCは特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、現在の患者数は約18万人である。

COVID-19の血栓症は本当の問題なのか?(解説:後藤信哉氏)

新型コロナウイルス感染は血管内皮細胞にも起こる。血管内皮細胞障害を介して深部静脈血栓症、脳血栓症などが増える。とくに、最初の武漢からのレポートでは入院例にヘパリンの抗凝固療法を施行していないこともあり、約半数の症例に静脈血栓イベントを認めたと注目された。米国、欧州などでは静脈血栓イベント予防のための低分子ヘパリンがルーチンになっていたが、それでも10~20%の症例に静脈血栓イベントを認めた。また、最近のランダム化比較試験にて静脈血栓の治療量を用いても、予防量投与時と重症化後には重篤な予後イベント発症率に差がないとされた。本研究では症候性ではあるが外来症例が対象とされた。新型コロナウイルス感染の予後が血栓症により規定されているのであれば、従来確立された抗血栓療法である抗血小板薬アスピリン、抗凝固薬アピキサバンは有効なように思われる。考えられた仮説に対してランダム化比較試験による検証をするのが欧米人の偉いところである。登録された症例はPCR陽性、有症候性の40~80歳の男女であった。

新型コロナウイルスワクチン接種によりギラン・バレー症候群の発症リスクは4倍に高まる(解説:内山真一郎氏)

米国食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルスワクチンAd26.COV2.S(ヤンセン/ジョンソン・エンド・ジョンソン)接種後のギラン・バレー症候群(GBS)に懸念を表明しているが、2021年7月までに全米で報告された130例を分析している。平均年齢は56歳、65歳未満が86%、男性が60%であった。ワクチン接種後GBS発症までの平均日数は13日、93%は重症、死亡は1例であった。これはワクチン接種10万回に1件発症する計算になる。期待値に対する観察値の比率は4.18であり、ワクチン接種によりGBSの発症リスクは4倍以上に高まることになり、年間10万人当たり6.36例発症すると推計される。このように、ワクチン接種後の発症率は低いものの、発症リスクは有意に高まることから、本ワクチン接種には安全性に懸念を持たざるを得ないと結論している。ただし、本研究は受動登録システムによる診療記録の分析であり、GBSの確定診断も確立する必要があることを課題として挙げている。

ファイザー社製COVID-19ワクチンの変異株に対する有効性の経時的変化(解説:小金丸博氏)

ファイザー社製のCOVID-19ワクチンのリアルワールドにおける有効性を評価した後ろ向きコホート研究がLancet誌に報告された。ワクチンの有効性は6ヵ月間持続するのか、デルタ変異株に対しても予防効果はあるのか、といった疑問に対する1つの答えを提示している。ワクチンのSARS-CoV-2感染に対する有効性は73%(95%信頼区間[CI]:72~74)だったが、ワクチン接種1ヵ月後と5ヵ月後を比べると、88%(同:86~89)から47%(同:43~51)に低下した。この現象はデルタ株、非デルタ株ともに認めており、ワクチンの感染予防効果は変異株の種類にかかわらず、経時的に低下することが示された。

迅速承認制度を適用しすぎるのも弊害がありそうだ(解説:折笠秀樹氏)

FDAが第II相の結果で迅速承認した抗がん剤を対象に、承認後の第III相試験で有効性が立証できなかった18件を調べたものです。第II相試験で代替エンドポイントの腫瘍縮小効果は有効であったのに、第III相試験の延命効果は有効でなかった事例が2016年から2020年の間に18件もあったのです。18件のそうした事例のうち、製薬企業が自主的に取り下げたのは11件、FDAが取り下げを命令したのが1件、残る6件は取り下げなかったというのです。日本での承認が初の抗がん剤、オプジーボは皆さんご存じでしょう。肝がんへの適応拡大を目指していましたが、第II相までの試験結果で2017年にFDAは迅速承認しました。承認後に行われた第III相試験で延命効果は有意に優れなかったことを受け、2021年4月にFDAの諮問委員会が開かれました。そこの投票で5:4と不支持が勝ったため、開発企業のBMSは自主的に承認を取り下げたようです。

事実探求にはある程度の強引さも必要?(解説:野間重孝氏)

現在全国あちこちで心肺蘇生法の講習が行われている。可及的速やかに、最低限の動脈血流を維持することが生命予後に重大な影響を与えると考えられ、実際各方面から支持されているからである。ここで注意しなければならないのは、なぜ最低限の血流を保つことが重要であるかである。それは心肺系の機能維持のためではない。脳神経系の機能の維持が最大の目的なのである。脳は10~15秒間虚血が続くだけで重大な損傷を受ける。これに対して心筋は10~15分の虚血に晒されても、損傷は受けるものの回復が可能である。であるならば、心肺蘇生から回復した人の最大の予後規定因子は中枢神経系の損傷の程度であるはずである。本studyはこの事実を対象を広く取って最終的に証明してみせたものである。

抗うつ薬はいつまで続ければよいのか?(解説:岡村毅氏)

抗うつ薬をいつまで内服すればよいのかという質問をよく受ける。世間的には「ずっと内服させるなんて論外だ、精神科医よ、さっさと減量・中止させよ」という声が大きいと思う。ところが現実はそう単純ではない。それを説明しよう。うつ病エピソードで、恐る恐る、あるいは半信半疑で精神科の外来を初診した患者さんがいるとする。『うつ病ですよ、薬物治療をしたほうがいいですよ』と言うと、最初は「薬は嫌だなあ」とか「どうしても飲んだほうがいいですか?」という姿勢の方も多い。治療が順調に進むと、会社に復帰し、さまざまな症状が良くなって、本人も自信を取り戻す。また医師ともなじみの関係になってきて、外来で冗談の1つも言うようになる。月日がたち、医師の側が『ではそろそろ減量して中止しましょう』と言うと、「それはよかった」と喜ぶ人と、「でも再発は嫌だなあ、あんな体験は絶対に嫌だ、ずっと薬飲んじゃだめですか」という人がいる。

MASTER DAPT試験とその解釈、出血イベント定義の難しさ(解説:中川義久氏)

MASTER DAPT試験は、テルモ製のUltimasterステントを留置後に、高出血リスク患者における最適な抗血小板療法を検証した試験である。2021年欧州心臓病学会での発表と同時にNew England Journal of Medicine誌に論文が公表されるという快挙を達成した。日本発のステントを用いた研究であり、日本人医師としては悪い気はしないというか、爽快感もあるのが率直な感想である。このMASTER DAPT試験は、ステント留置から1ヵ月が経過した時点でDAPTから単剤治療に変更する群(短縮群)と、さらに最低2ヵ月以上DAPTを継続する群(継続群)にランダマイズし、割り付けから335日経過時点で両群の安全性と有効性を以下の3つの項目で評価している。

主幹脳動脈閉塞にステントリトリーバーと吸引カテーテルの併用は有効か?(解説:内山真一郎氏)

 前方循環系の主幹脳動脈閉塞による急性脳梗塞に対して、ステントリトリーバーと吸引カテーテルの併用をステントリトリーバーのみと比較した無作為化比較試験(ASTER2試験)がフランスで行われた。1次評価項目であった血管内治療終了後の完全またはほぼ完全な再開通率は両群間で有意差がなかったが、2次評価項目のうち、すべての程度の再開通率と、初回割り付け終了後のみの完全またはほぼ完全な再開通率は併用群で有意に高かった。1次評価項目に有意差がなかったのは試験の検出力不足に起因したと考察している。大型のフィブリン血栓はどちらかの治療のみで除去することは困難であり、両者の併用がより有効であろうと考えられている。今後は検出力を高めるため、さらに大規模な臨床試験が必要であろう。また、対象となる血栓の選択も重要と思われる。さらに、血栓除去デバイスの進歩とともに再開通率は飛躍的に向上したことから、今後の吸引カテーテルの機器の進歩にも期待したい。

移動式脳卒中ユニットは脳梗塞の転帰を改善する(解説:内山真一郎氏)

Mobile stroke unit(移動式脳卒中ユニット、MSU)は、医療スタッフとCTを搭載した救急車であり、救急隊による標準的な管理(EMS)よりも血栓溶解薬(t-PA)を早く投与できる可能性がある。米国で行われたBEST-MSU試験は、発症後4.5時間以内の脳梗塞患者に週ごとのMSUとEMSの管理を交互に行い、転帰を比較している。登録された1,515例中1,047例がt-PA治療が適格と判断され、617例がMSU、430例がEMSによる治療を受けた。重み付けした修正ランキンスケールスコアで判定された90日後の転帰は、MSU群で有意に良好であった。試験の性格上、無作為化二重盲検比較試験ではないという限界はあるが、MSUの導入拡大を後押しする結果である。

無症候性高度頸動脈狭窄症に対するCAS vs.CEAの無作為化比較試験(ACST-2)(解説:中川原譲二氏)

無症候性の高度頸動脈狭窄を有する患者に対する頸動脈ステント留置術(CAS)あるいは頸動脈内膜剥離術(CEA)はいずれも有効で、長期の脳卒中リスクを低減させる。しかしながら最近の全国規模のレジストリデータによると、いずれも後遺障害を伴う脳卒中や死亡について、1%程度の手技に関連するリスクを引き起こす。両者の長期的な予防効果を比較するためには、大規模な無作為化試験によるエビデンスが求められていた。ACST-2試験は、インターベンションを要する無症候性の高度頸動脈狭窄を有する患者を対象とした、CASとCEAに関する国際的な多施設無作為化比較試験であり、他の関連するすべての試験に通用する。被験者は、片側性または両側性に高度頸動脈狭窄があり、医師・患者共に頸動脈治療の施行に同意していた場合に適格とされたが、治療法は選択できなかった。被験者は無作為にCAS群またはCEA群に割り付けられ、1ヵ月後、その後は毎年の追跡を平均5年間受けた。術後30日以内に発生したイベントを、手技関連イベントとし、ITT集団を対象にテーブル解析による手技関連ハザードなどの解析を行った。手技非関連脳卒中については、Kaplan-Meier法やlog-rank検定法を用いて解析した。

デュアルGIP/GLP-1受容体作動薬tirzepatideの血糖降下作用および体重減少作用は基礎インスリン デグルデクより優れている(解説:住谷哲氏)

SURPASS-3はデュアルGIP/GLP-1受容体作動薬tirzepatideの臨床開発プログラムSURPASS seriesの一つであり、基礎インスリンであるデグルデクとのhead-to-head試験である。2018年にADA/EASDの血糖管理アルゴリズムがGLP-1受容体作動薬を最初に投与すべき注射薬として推奨するまでは、経口血糖降下薬のみで目標とする血糖コントロールが達成できない場合には基礎インスリンの投与がgold standardであった。特に持効型インスリンであるグラルギンの登場後は、BOT(basal-supported oral therapy)として広く一般臨床でも用いられるようになっている。