大腸がんの危険因子として慢性便秘や下痢などの排便習慣の異常が提唱されているが、大規模な前向き研究やメタアナリシスでは便秘・下痢と大腸がんの明確な因果関係は確認されていない。今回、ドイツ・University Hospital of the Ruhr University BochumのErnst W. Kolbe氏らがリアルワールドのプライマリケアデータを用いた大規模傾向スコアマッチング症例対照研究を実施した結果、大腸がんの診断直前の数ヵ月間においてのみ、便秘と下痢がその後の大腸がん診断と関連しており、因果関係というより逆因果関係が示唆された。BMJ Open Gastroenterology誌2026年7月6日号に掲載。
本研究はドイツ疾病分析データベースのリアルワールドデータを用いた後向き症例対照研究で、年齢、性別、診断年、併存疾患について1:5の傾向スコアマッチングを行い、大腸がん患者1万941例とがんではないマッチング対照群5万4,705例を対象とした。便秘と下痢の記録は、大腸がん診断前最大5年間の6つの期間で評価した。多変量条件付きロジスティック回帰を用いて、大腸がんリスクのオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・大腸がん診断前6ヵ月以内の便秘は、大腸がん患者において有意に多かった(OR:3.23、95%CI:2.85~3.66)。
・大腸がん診断前6ヵ月以内の下痢についても同様の傾向がみられた。さらに下痢の記録頻度が高いほど関連は強く、1回以上の診断ではORが3.37(95%CI:3.03~3.75)、2回以上の診断では4.18(同:3.31~5.28)、3回以上の診断では6.82(同:4.43~10.49)と高くなった。
・診断前1年を超える期間では関連は認められなかった。
著者らは、「便秘と下痢は危険因子というよりはむしろ危険信号として捉えるべきであり、とくに排便習慣に持続的な変化が見られる場合には、タイムリーな診断評価の必要性が強調される」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)