降圧薬に関する短期の二重盲検無作為化試験における有害事象や治療中止の発現は、薬剤クラスやレジメンによってばらつきがあり、一部の併用療法では単剤療法と比べて忍容性が優れることが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のNelson Wang氏らによるネットワークメタ解析の結果で示された。レジメンの中には、プラセボよりも有害事象による治療中止率が低く、症状の改善が示されたものもあった。得られた知見について著者は、「試験レベルに基づく結果であり、またネットワークメタ解析の前提条件に依存しているため、すべての患者に適用されるものではない」と述べている。JAMA誌オンライン版2026年5月28日号掲載の報告。
4~26週のRCTデータをネットワークメタ解析で評価
研究グループは、短期臨床試験における主要5クラスの降圧薬(ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、Ca拮抗薬、サイアザイド系利尿薬)とそれらの併用療法について、有害事象と治療中止について評価した。
創刊日~2024年12月31日のCochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Epistemonikosを検索し、主要5クラスの降圧薬またはそれらの併用療法に関する二重盲検無作為化試験(追跡期間は4~26週)を特定した。
2人のレビュワーがそれぞれデータを抽出し、固定効果ネットワークメタ解析にて薬剤クラスごとにデータを統合し、オッズ比(OR)と95%信用区間(CrI)および累積順位曲線下面積(SUCRA)を用いて要約を行った。
最終統計学的解析は、2026年4月に実施された。主要アウトカムは、有害事象による治療中止(無作為化された治療の中止と定義)。副次アウトカムは、頭痛、めまい、浮腫、咳の発現などであった。
5つの併用療法、2つの単剤療法がプラセボよりも忍容性が優れ、症状を改善
計716試験が解析対象に含まれた。平均追跡期間は8.6(SD 5)週間、被験者は計15万9,362例であり、平均年齢は54.6(SD 7)歳、女性44%、ベースラインの平均血圧値は158/100mmHgであった。12試験に日本人が含まれた。
プラセボとの比較において、有害事象による治療中止率が有意に増加したのはCa拮抗薬(OR:1.43[95%CrI:1.23~1.67]、リスク群間差[RD]:1.2%[95%CrI:0.6~2.0])、ACE阻害薬+Ca拮抗薬(OR:1.46[1.13~1.87]、RD:1.1%[0.2~2.4])、β遮断薬+サイアザイド系利尿薬(OR:1.58[1.04~2.47]、RD:1.7%[0.1~4.3])であった。
ARBを含むすべてのレジメンは、プラセボとの比較において、有害事象による治療中止例が少なかった。統計学的に有意差が認められたのは、ARB単剤(OR:0.73[95%CrI:0.61~0.86]、RD:-0.8%[95%CrI:-1.3~-0.4])、ARB+Ca拮抗薬(OR:0.61[0.47~0.79]、RD:-1.2%[-1.8~-0.6])であった。
ネットワークメタ解析により、5つの併用療法と2つの単剤療法が、有害事象による治療中止に関してプラセボよりもSUCRA値が高く(上位からARB+Ca拮抗薬、ARB+β遮断薬、ARB単剤、Ca拮抗薬+サイアザイド系利尿薬、ARB+サイアザイド系利尿薬、サイアザイド系利尿薬、ARB+Ca拮抗薬+サイアザイド系利尿薬)、プラセボと比較して全般的な症状改善が示唆された。
プラセボと比較して、すべてのレジメンでめまいが有意に増加したが、頭痛はCa拮抗薬を含む3レジメン(Ca拮抗薬、ACE阻害薬+Ca拮抗薬、β遮断薬+Ca拮抗薬)を除いて、すべてのレジメンで有意に減少した。
(ケアネット)