心原性ショックへのlevosimendan、ECMO離脱を促進せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/12/24

 

 静脈-動脈体外式膜型人工肺(VA-ECMO)による管理を受けている重篤だが可逆性の心原性ショック患者の治療において、強心血管拡張薬levosimendanの早期投与はプラセボと比較して、ECMO離脱までの時間を短縮せず、集中治療室(ICU)入室期間や60日死亡率に差はないが、心室性不整脈の頻度が高いことが、フランス・ソルボンヌ大学のAlain Combes氏らLEVOECMO Trial Group and the International ECMO Network(ECMONet)が実施した「LEVOECMO試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年12月1日号で報告された。

フランスの無作為化プラセボ対照比較試験

 LEVOECMO試験は、フランスの11ヵ所のICUで実施した研究者主導型の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2021年8月~2024年9月に参加者を募集した(フランス保健省などの助成を受けた)。

 年齢18歳以上、急性心原性ショックを発症し、従来治療が不応で、VA-ECMO開始から48時間以内の患者を対象とした。

 被験者を、levosimendan 0.15μg/kg/分(2時間後に0.20μg/kg/分に増量)またはプラセボの24時間持続注入を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要アウトカムは、無作為化から30日以内におけるECMO離脱成功までの時間とした。

ECMO離脱成功率:68.3%vs.68.3%

 205例(年齢中央値58歳[四分位範囲[IQR]:50~67]、女性56例[27.3%])を登録し、101例をlevosimendan群、104例をプラセボ群に割り付けた。心原性ショックの主な病因は、開心術後(79例[38.5%])、急性心筋梗塞(56例[27.3%])、心筋炎(28例[13.7%])であった。無作為化の時点でのSOFAスコア中央値は12点(IQR:9~15)だった。投与量は、levosimendan群の93%、プラセボ群の96%で0.20±0.01μg/kg/分に増量した。

 30日以内のECMO離脱成功は、levosimendan群の101例中69例(68.3%)、プラセボ群の104例中71例(68.3%)で達成し(リスク群間差:0.0%[95%信頼区間[CI]:-12.8~12.7]、部分分布ハザード比:1.02[95%CI:0.74~1.39])、両群間に有意な差を認めなかった(p=0.92)。

 ECMO離脱成功の競合イベントであるECMO離脱失敗(離脱後30日以内における2回目のECMOの必要性、他の機械的循環補助デバイスの使用、心臓移植または死亡:15例[14.9%]vs.21例[20.2%]、p=0.32)およびECMO離脱前の死亡(15例[14.9%]vs.12例[11.5%]、p=0.47)にも、両群間に有意差はみられなかった。

 また、ECMO使用期間中央値(levosimendan群5日[IQR:4~7]vs.プラセボ群6日[4~11]、p=0.53)、平均ICU入室期間(18日[SD 15]vs.19日[SD 15]、p=0.42)、60日死亡率(27.7%vs.25.0%、リスク群間差:2.7%、95%CI:-9.0~15.3、p=0.78)についても、両群間に有意な差はなかった。一方、60日以内の平均入院期間(28日[SD 18]vs.35日[SD 19]、リスク群間差:-7日、95%CI:-12~-2)は、プラセボ群で長かった。

全般的な有害事象の頻度は同程度

 薬剤関連の有害事象の発生率は両群で同程度であったが、心室性不整脈の頻度がlevosimendan群で高かった(18例[17.8%]vs.9例[8.7%]、絶対リスク群間差:9.2%、95%CI:0.4~18.1)。電気的除細動を要する心室性不整脈は、それぞれ4例(4.0%)および1例(1.0%)であった。

 事前に規定されたサブグループ(開心術後、急性心筋梗塞、心筋炎、その他)のいずれにおいても、治療効果について両群間に差を認めなかった。

 著者は、「これらの知見は、この患者集団におけるアウトカムの改善を目的とするlevosimendanの日常診療での使用を支持しない」「バイアスを最小化し、95%以上の患者で重大な血行動態の不安定化を伴わずに最大投与量に達したにもかかわらず、levosimendanは主要・副次エンドポイントに関して、またすべてのサブグループにおいて有益性の徴候を示さなかった」「ICU入室期間に差がないにもかかわらずプラセボ群で入院期間が長かったのは、levosimendan群で有意差はないものの死亡率(とくに試験開始後2週間以内)が高かったこと、プラセボ群で移植患者が多かったことなどによる可能性が考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 加藤 貴雄( かとう たかお ) 氏

京都大学医学部附属病院 先端医療研究開発機構 臨床研究推進部 准教授