超早産児の1次呼吸補助、非侵襲的高頻度振動換気法が有望/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/21

 

 呼吸窮迫症候群を呈する超早産児(extremely preterm infant)の1次呼吸補助では、経鼻的持続陽圧呼吸療法(NCPAP)と比較して非侵襲的高頻度振動換気法(NHFOV)で、出生後72時間以内に侵襲的機械換気を必要とした新生児の割合が有意に低く、安全性に有意差は認められなかったことが、中国・重慶医科大学附属児童医院のYang Li氏らNHFOV study groupによる検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2025年10月6日号に掲載された。

中国のNICUの無作為化対照比較試験

 研究チームは、2022年8月~2024年8月に、中国の20の新生児集中治療室(NICU)の参加の下で無作為化対照比較優越性試験を実施した(中国国家重点研究開発計画などの助成を受けた)。

 呼吸窮迫症候群と診断され、NCPAPを受けている出生から2時間以内の超早産児(在胎期間24週0日から28週6日まで)342例を、1次呼吸補助としてNCPAPを継続する群(172例、在胎週数中央値27.0週、出生時体重中央値970g、女児39.5%)またはNHFOVに切り換える群(170例、27.0週、990g、43.5%)に無作為に割り付けた。

 主要アウトカムは、出生後72時間以内の治療失敗(侵襲的機械換気が必要な病態と定義)とした。

7日以内の治療失敗も少ない

 出生後72時間以内の治療失敗は、NCPAP群で172例中48例(27.9%)に発生したのに対し、NHFOV群では170例中27例(15.9%)と有意に低率であった(リスク群間差:-12.0%ポイント、95%信頼区間[CI]:-20.7~-3.4、p=0.007)。

 治療失敗の最も頻度の高い原因は、低酸素症(NHFOV群11.2%[19/170例]vs.NCPAP群18.6%[32/172例])で、有意差はないもののNHFOV群でリスクが低い傾向を認めた(リスク群間差:-7.4%ポイント、95%CI:-14.9~0.1、p=0.05)。次いで頻度の高い原因として、重症無呼吸(2.3%vs.5.2%、p=0.16)、重症呼吸性アシドーシス(1.2%vs.2.3%、p=0.42)、緊急挿管(1.2%vs.1.7%、p=0.66)がみられ、いずれも両群間に有意な差はなかった。

 また、生後7日以内の治療失敗の発生は、NHFOV群で有意に良好であった(21.2%[36/170例]vs.33.7%[58/172例]、リスク群間差:-12.5%ポイント、95%CI:-21.9~-3.2、p=0.008)。これら以外の副次アウトカム(サーファクタント治療、気管支肺異形成症、気管支肺異形成症と死亡の複合、介入期間など)には、両群間に有意差はなかった。

重篤な有害事象の頻度は同程度

 重篤な有害事象については、気道閉塞の原因となる粘稠な分泌物(NHFOV群7.1%vs. NCPAP群5.8%、p=0.64)、介入後の空気漏出症候群(0.6%vs.2.3%、p=0.18)、院内死亡(5.3%vs.7.0%、p=0.52)のいずれにおいても、両群間に有意差はみられなかった。

 著者は、「これらの結果は、NHFOVが超早産児の1次呼吸治療として実行可能で、有益性をもたらす可能性を示しており、われわれのこれまでの理解を前進させるものである」「重要な点として、本研究のデザインはNHFOVとNCPAPを比較する際の主要な歴史的限界とされる気道圧の変動性に対処しており、両モダリティ間で同等の圧力範囲を維持することで、より直接的かつ臨床的に意義のある比較を可能にした」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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