気管支拡張症の患者に対する高張食塩水およびカルボシステインはいずれも、52週間にわたる肺増悪の平均発生率を有意に低下させなかった。英国・Queen's University BelfastのJudy M. Bradley氏らCLEAR Investigator Teamが、同国20病院で行った非盲検無作為化2×2要因試験の結果で示された。粘液活性薬は作用機序によってさまざまであり、去痰薬(例:高張食塩水)、粘液調整薬(例:カルボシステイン)、粘液溶解薬(例:N-アセチルシステイン)、粘膜潤滑薬(例:サーファクタント)などがある。気管支拡張症ガイドラインでは、粘液活性薬の有効性に関して一貫性がなく、その使用は地域によって異なり、安全性と有効性を評価するための大規模な試験が必要とされていた。NEJM誌オンライン版2025年9月28日号掲載の報告。
高張食塩水群vs.非高張食塩水群、カルボシステイン群vs.非カルボシステイン群で比較
試験には、非嚢胞性線維症気管支拡張症で頻回の肺疾患増悪(過去1年間に2回以上[COVID-19パンデミック以降は1回以上])と日常的な喀痰産生を有する18歳以上の成人患者を登録した。無作為化時点で喫煙者および無作為化前30日間に粘液活性薬による治療を受けた患者は除外した。
すべての被験者は標準治療を受け、さらに(1)高張食塩水群、(2)併用群(高張食塩水とカルボシステイン)、(3)カルボシステイン群の3つの粘液活性薬群のいずれか、もしくは標準治療のみを受ける群へ均等に無作為化された。
比較は、高張食塩水群vs.非高張食塩水群、およびカルボシステイン群vs.非カルボシステイン群で行った。
主要アウトカムは、52週間における肺増悪回数。重要な副次アウトカムは、疾患特異的な健康関連QOL評価スコア(QoL-Bなど)、次の増悪までの期間および安全性であった。
肺増悪の平均回数、使用群に有意な効果は認められず
2018年6月27日~2023年9月28日に、合計288例が無作為化された。ベースラインの各群の被験者特性は類似していた。高張食塩水とカルボシステインの交互作用のエビデンスは認められなかった(p=0.60)。
52週間における確定肺増悪の平均回数は、高張食塩水群0.76回(95%信頼区間[CI]:0.58~0.95)vs.非高張食塩水群0.98回(0.78~1.19)であり(補正後平均群間差:-0.25、95%CI:-0.57~0.07、p=0.12)、カルボシステイン群0.86回(95%CI:0.66~1.06)vs.非カルボシステイン群0.90回(0.70~1.09)であった(補正後平均群間差:-0.04、95%CI:-0.36~0.28、p=0.81)。
副次アウトカムおよび有害事象(重篤な有害事象を含む)は、比較グループ間で類似していた。
(ケアネット)