HRR欠損去勢抵抗性前立腺がん、タラゾパリブ+エンザルタミドがOS改善(TALAPRO-2)/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/28

 

 相同組換え修復(HRR)遺伝子の欠損を有する転移のある去勢抵抗性前立腺がん患者(mCRPC)において、タラゾパリブ+エンザルタミドの併用療法はエンザルタミド単独療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善し、HRR欠損mCRPCに対する標準治療としてこの併用療法が支持されることを、フランス・University of Paris-SaclayのKarim Fizazi氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TALAPRO-2試験」のHRR欠損コホートの最終解析結果で報告した。mCRPCは依然として治癒困難であり、とくにHRRに直接的または間接的に関与するDNA損傷修復遺伝子異常を有する患者では進行が速い。TALAPRO-2試験の主要解析では、HRR欠損を有する患者においてタラゾパリブ+エンザルタミド併用療法がエンザルタミド単独療法と比較して画像上の無増悪生存期間(rPFS)を有意に改善したことが示されたが、同解析時点ではOSのデータが未成熟であった。Lancet誌オンライン版2025年7月16日号掲載の報告。

HRR欠損コホートでタラゾパリブ+エンザルタミドvs.エンザルタミド+プラセボ

 TALAPRO-2試験のHRR欠損コホートには、26ヵ国142施設から患者が登録された。本試験の対象は、18歳以上(日本は20歳以上)の無症候性または軽度症候性のmCRPCで、アンドロゲン除去療法を継続中かつCRPCに対する延命目的の全身療法歴のない患者であった。HRR遺伝子変異を前向きに評価した後、HRR遺伝子変異の状態(欠損vs.非欠損または不明)ならびに去勢感受性に対する治療歴(ありvs.なし)で層別化し、タラゾパリブ0.5mg+エンザルタミド160mgまたはエンザルタミド+プラセボを1日1回経口投与する群に無作為に1対1で割り付けた(エンザルタミドのみ非盲検下で投与)。

 主要評価項目は、盲検下独立中央判定によるrPFSであり、重要な副次評価項目はOSであった。いずれもITT集団で評価した。

 OSの解析はrPFSが統計学的に有意な改善を示した場合にのみ階層的逐次手順に従って実施され、HRR欠損コホートにおけるOS最終解析時点の有意水準はO’Brien-Fleming型消費関数に基づきp≦0.024(層別化log-rank検定、両側)とされた。

OS中央値、タラゾパリブ群45.1ヵ月、対照群31.1ヵ月

 2018年12月18日~2022年1月20日に、HRR欠損mCRPC患者399例が無作為化された(タラゾパリブ+エンザルタミド群200例[タラゾパリブ群]、エンザルタミド+プラセボ群、199例[対照群])。

 追跡期間中央値44.2ヵ月(四分位範囲:36.0~50.8)において、タラゾパリブ群は対照群と比較しOSを有意に改善した(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.48~0.81、p=0.0005)。OS中央値は、タラゾパリブ群45.1ヵ月(95%CI:35.4~未到達)、対照群は31.1ヵ月(27.3~35.4)であった。

 サブグループ解析の結果、BRCA1/2変異を有する患者集団(155例[39%])では、OS中央値はタラゾパリブ群未到達、対照群28.5ヵ月(HR:0.50、95%CI:0.32~0.78、p=0.0017)、4年OS率はそれぞれ53%、23%であり、BRCA1/2変異のない患者集団(244例[61%])では、OS中央値はそれぞれ42.4ヵ月、32.6ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.52~1.02、p=0.066)であった。

 rPFSもタラゾパリブ群が対照群より優れていた(rPFS中央値:30.7ヵ月vs.12.3ヵ月、HR:0.47、95%CI:0.36~0.61、p<0.0001)。

 新たな安全性上の懸念は確認されなかった。タラゾパリブ群で多くみられたGrade3以上の有害事象は、貧血(86例[43%]vs.9例[5%])、好中球減少症(39例[20%]vs.2例[1%])であった。

(ケアネット)