切除不能肝細胞がん1次治療でのニボルマブ+イピリムマブ、OSを有意に改善/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/22

 

 前治療歴のない切除不能肝細胞がん(HCC)患者において、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法はレンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法と比較して、有意な生存ベネフィットを示し、安全性プロファイルは管理可能なものであったことを、香港大学のThomas Yau氏らCheckMate 9DW investigatorsが非盲検無作為化第III相試験「CheckMate 9DW試験」の結果で報告した。切除不能HCC患者の予後は不良であり、長期的ベネフィットをもたらす治療が待望されている。本報告は、CheckMate 9DW試験の事前規定の中間解析の結果であり、著者は、「結果は、前治療歴のない切除不能HCC患者に対する1次治療として、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法を支持するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年5月8日号掲載の報告。

25ヵ国163施設で試験、主要評価項目はOS

 切除不能HCC患者に対する全身性1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性および安全性を、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法と比較検討したCheckMate 9DW試験は、アジア、オーストラリア、欧州、北米および南米の25ヵ国163施設で行われた。

 被験者は、全身療法歴のない切除不能HCCで、RECIST v1.1に基づく測定可能な未治療病変が1つ以上あり、Child-Pugh分類A(5または6点)、ECOG performance status 0または1の18歳以上の患者を適格とした。

 被験者は、ニボルマブ(1mg/kg)+イピリムマブ(3mg/kg)を3週ごと最大4回静脈内投与後、ニボルマブ480mgを4週ごと最長2年投与する群(ニボルマブ+イピリムマブ併用群)、治験担当医の選択でレンバチニブ(8mg/日[体重<60kgの場合]または12mg/日[≧60kgの場合])を経口投与またはソラフェニブ(400mgを1日2回)を経口投与する群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 無作為化は、双方向応答テクノロジーシステムを用いて行われ、病因(HBV vs.HCV vs.非感染)、大血管浸潤または肝外転移もしくは両者の有無、ベースラインのアルファフェトプロテイン(AFP)値により層別化された。

 主要評価項目は全生存期間(OS)とし、無作為化された全患者で評価した。安全性は、無作為化された全患者のうち治療を1回以上受けた患者で探索的に評価した。

追跡期間中央値35.2ヵ月、ニボルマブ+イピリムマブ併用群のOS有意に改善

 2020年1月6日~2021年11月8日に、668例が無作為化された(ニボルマブ+イピリムマブ併用群335例、対照群333例)。

 Kaplan-Meier法を用いてプロットした両群の生存曲線(Kaplan-Meier曲線)において、無作為化後6ヵ月間の死亡例はニボルマブ+イピリムマブ併用群で多かった(死亡リスクのハザード比[HR]:1.65[95%信頼区間[CI]:1.12~2.43])が、早期に交差しその後は両群のKaplan-Meier曲線は乖離した状態が維持され、ニボルマブ+イピリムマブ併用群での生存が良好であることが観察された(死亡リスクのHR:0.61[0.48~0.77])。

 追跡期間中央値35.2ヵ月(四分位範囲:31.1~39.9)時点において、OSはニボルマブ+イピリムマブ併用群(中央値23.7ヵ月[95%CI:18.8~29.4])が対照群(20.6ヵ月[17.5~22.5])と比較して有意に改善したことが認められた(HR:0.79[95%CI:0.65~0.96]、両側層別化log-rank検定のp=0.018)。24ヵ月OS率は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群49%(95%CI:44~55)、対照群39%(34~45)であり、36ヵ月OS率は、それぞれ38%(32~43)、24%(19~30)であった。

 全体でGrade3~4の治療関連有害事象は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群137/332例(41%)、対照群138/325例(42%)で認められた。治療関連死はニボルマブ+イピリムマブ併用群で12例、対照群で3例が報告された。

(ケアネット)