tapinarofクリームが尋常性乾癬に有効~第III相試験/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/17

 

 軽度~重度の尋常性乾癬患者において、tapinarof 1%クリーム1日1回12週間塗布は、対照(基剤)と比較して重症度を有意に改善したが、局所および頭痛などの有害事象も伴った。米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のMark G. Lebwohl氏らが、tapinarofの2件の無作為化第III相試験「PSOARING 1」および「PSOARING 2」の結果を報告した。tapinarofは、インターロイキン(IL)-17と皮膚バリア機能に関与するフィラグリンおよびロリクリンの発現を調節するアリル炭化水素受容体調節薬で、クリーム剤が乾癬の治療薬として検討されており、第II相試験で有効性が示されていた。今回の結果を受けて著者は、「乾癬に対するtapinarofクリームの有効性と安全性を既存の治療薬と比較検討するためには、より大規模で長期的な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年12月9日号掲載の報告。

tapinarofの有効性をPGAスコアで評価

 研究グループは、ベースライン時の医師による全般的評価(PGA)スコア(範囲:0~4、スコアが高いほど乾癬の重症度が高いことを示す)が2~4(軽度~重度)で、病変面積が体表面積(BSA)の3~20%の成人乾癬患者を、tapinarof 1%クリーム(tapinarof群)または基剤クリーム(対照群)の2群に、2対1の割合で無作為に割り付け、1日1回12週間塗布した。

 主要評価項目はPGA奏効(12週時のPGAスコアが0~1、かつベースラインから2ポイント以上低下)、副次評価項目は、それぞれ12週時における、PASI 75(乾癬面積重症度指数[PASI]スコアのベースラインから75%以上改善)を達成した患者の割合、PGA0/1(PGAスコア0または1)を達成した患者の割合、病変面積のBSAに占める割合のベースラインからの平均変化量、PASI 90を達成した患者の割合とした。また、患者報告アウトカムとして、そう痒重症度スコア(Peak Pruritus Numerical Rating Scale[PP-NRS]:かゆみなし[0]~想像できる限り最悪のかゆみ[10])のベースラインからの平均変化量および4ポイント以上改善した患者の割合、PP-NRS総合スコア、皮膚疾患特異的QOL(DLQI)合計スコア、乾癬症状日誌(Psoriasis Symptom Diary)スコアのベースラインからの平均変化量を評価した。

PGA奏効率、tapinarof群35%、対照群6%

 「PSOARING 1」および「PSOARING 2」において、それぞれ692例および674例がスクリーニングされ、510例および515例が登録された。

 PGA奏効率は、「PSOARING 1」でtapinarof群35.4%、対照群6.0%、「PSOARING 2」ではそれぞれ40.2%および6.3%であった(いずれの試験もvs.対照群のp<0.001)。副次評価項目および患者報告アウトカムについても、主要評価項目と同様の結果が得られた。

 有害事象については、tapinarof群で毛包炎、鼻咽頭炎、接触性皮膚炎、頭痛、上気道感染症、そう痒などが認められた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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