非透析腎性貧血、ダプロデュスタットはESA薬に非劣性/NEJM

透析治療を受けていない貧血を有する慢性腎臓病(CKD)患者において、ダプロデュスタットは、ダルベポエチン アルファと比較して、ベースラインからのヘモグロビン値の変化および心血管アウトカムに関して、非劣性であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAjay K. Singh氏らによる検討で示された。ダプロデュスタットは、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬(HIF-PH阻害薬)。これまで非透析CKD患者において、既存の赤血球造血刺激因子(ESA)薬ダルベポエチン アルファと比較した有効性および安全性は検討されていなかった。NEJM誌オンライン版2021年11月5日号掲載の報告。
ヘモグロビン変化と初回MACE発生を評価
研究グループは、透析治療を受けていない貧血を有するCKD患者の治療について、ダプロデュスタットとダルベポエチン アルファを比較する、第III相非盲検無作為化試験(心血管アウトカムの判定は盲検化)を行った。スクリーニング適格とした対象は、CKDのステージ3~5、透析治療を受けていないまたは90日以内の開始予定がなく、ヘモグロビンとESAの基準を達成しており、血清フェリチン値100ng/mL超、血清トランスフェリチン飽和度20%超の成人とした。主要アウトカムは、ベースラインから主要評価期間(28週~52週)までの、ヘモグロビン値の平均変化値と主要心血管イベント(MACE、全死因死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合)の初回発生であった。
ダルベポエチン アルファに対する非劣性、安全性同等を確認
2016年12月5日~2020年12月7日に39ヵ国506施設で、計3,872例が無作為化を受けた(ダプロデュスタット群1,937例、ダルベポエチン アルファ群1,935例)。ベースラインの平均(±SD)ヘモグロビン値は、両群で類似しており、両群間で9.9±0.9g/dLであった。ベースラインから28週~52週までの平均(±SD)ヘモグロビン変化値は、ダプロデュスタット群0.74±0.02g/dL、ダルベポエチン アルファ群0.66±0.02g/dLであり(群間差:0.08g/dL、95%信頼区間[CI]:0.03~0.13)、事前規定の非劣性マージン(-0.75g/dL)を満たした。
追跡期間中央値1.9年の間における初回MACEの発生は、ダプロデュスタット群378/1,937例(19.5%)、ダルベポエチン アルファ群371/1,935例(19.2%)で(ハザード比:1.03、95%CI:0.89~1.19)、事前規定の非劣性マージン(1.25)を満たした。
有害事象の発現頻度は、両群で同程度であった。
(ケアネット)
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