早期妊娠高血圧腎症、分娩時期の延伸にメトホルミンが有用/BMJ

早期妊娠高血圧腎症を発症した妊婦(妊娠26~32週)への徐放性メトホルミン投与は、妊娠期間を延長できることが、南アフリカ共和国・ステレンボッシュ大学のCatherine A. Cluver氏らが行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。投与群はプラセボ群と比較して妊娠期間が1週間延長し、出生児の新生児室入室期間を短縮できることが示された。著者は、「今回の試験で早期妊娠高血圧腎症の治療は可能であることが実証されたが、さらなる試験を行う必要はある」とまとめている。BMJ誌2021年9月22日号掲載の報告。
南アで180例を対象に二重盲検プラセボ対照無作為化試験
無作為化試験は南アフリカ共和国・ケープタウンの紹介制病院で行われた。妊娠26+0週~31+6週の待機的管理を受けている妊婦180例を無作為に2群に割り付け、徐放性メトホルミン(3g/日を分割投与、90例)またはプラセボ(90例)を分娩時まで投与した。主要アウトカムは、妊娠期間の延長であった。
無作為化から分娩までの期間中央値、メトホルミン群17.7日、プラセボ群10.1日
180例のうち1例は、試験薬を服用する前に分娩した。無作為化から分娩までの期間中央値は、メトホルミン群17.7日(四分位範囲[IQR]:5.4~29.4日、89例)、プラセボ群10.1日(3.7~24.1、90例)であり、群間差中央値は7.6日(幾何平均比[GMR]:1.39、95%信頼区間[CI]:0.99~1.95、p=0.057)であった。
すべての投与時点で試験薬を服用し続けた被験者において、妊娠期間延長の中央値はメトホルミン群17.5日(IQR:5.4~28.7、76例)、プラセボ群7.9日(3.0~22.2、74例)であり、群間差中央値は9.6日(GMR:1.67、95%CI:1.16~2.42)であった。
全投与量を服用した被験者において、妊娠期間延長の中央値はメトホルミン群16.3日(IQR:4.8~28.8、40例)、プラセボ群4.8日(2.5~15.4、61例)であり、群間差中央値は11.5日(GMR:1.85、95%CI:1.14~2.88)であった。
母体、胎児、新生児複合アウトカム、および血中の可溶性fms様チロシンキナーゼ-1(sFlt-1)値、PlGF(placental growth factor)値、可溶性エンドグリン(soluble endoglin)値に差はみられなかった。
メトホルミン群で、出生児体重は有意ではないが増加し、新生児室の入室期間は短縮した。試験薬関連の重篤な有害事象は観察されなかったが、メトホルミン群では下痢の発現頻度が高かった。
(ケアネット)
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妊娠高血圧腎症pre-eclampsiaとメトホルミン(解説:住谷哲氏)
コメンテーター : 住谷 哲( すみたに さとる ) 氏
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