Pfizer社の新型コロナワクチンの第III相試験結果/NEJM

PfizerとBioNTechによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」について、16歳以上における30μgの2回投与の有効率は95%で、同有効率は年齢や性別、基礎疾患の有無といったサブグループでも同程度であった。また、中央値2ヵ月間の安全性は、その他のウイルスワクチンと類似していた。アルゼンチン・Fundacion INFANTのFernando P. Polack氏らによる、進行中の第II/III相国際共同プラセボ対照観察者盲検化pivotal有効性試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年12月10日号で発表した。BNT162b2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のfull-lengthスパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子製剤・修飾ヌクレオシドmRNAワクチンである。
BNT162b2を3週間隔で2回投与
試験は、16歳以上の健康な男女を無作為に2群に分け、一方にはBNT162b2(30μg)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ21日間隔で2回投与した。主要エンドポイントは、検査によって確認されたCOVID-19に対するワクチンの有効性および安全性だった。
COVID-19発症、プラセボ群162例に対しBNT162b2群8例
合計4万3,548例が無作為化を受け、4万3,448例が注射投与を受けた。BNT162b2群が2万1,720例、プラセボ群は2万1,728例だった。2回目投与後7日以降にCOVID-19の発症が確認されたのは、プラセボ群が162例だったのに対し、BNT162b2群は8例で、BNT162b2の有効率は95%だった(95%信用区間[Crl]:90.3~97.6)。
ワクチン有効率は、65~75歳未満で94.7%であり、年齢や性別、人種、民族、ベースラインのBMI、基礎疾患の有無で分類したサブグループにおいて類似していた(概して90~100%)。
安全性プロファイルは、注射部位の短期的な軽度~中等度の疼痛、倦怠感、頭痛で特徴付けられた。重度有害イベントの発現頻度は低く、両群で類似していた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
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