新型コロナ感染後の抗体、4ヵ月は持続/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2020/09/11

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染から回復した人は、感染が診断されてから4ヵ月後までは血清中の抗ウイルス抗体が低下しないことが、アイスランド・deCODE GeneticsのDaniel F. Gudbjartsson氏らが行ったアイスランドの住民約3万人を対象とした調査の結果、明らかとなった。また、アイスランドでは、SARS-CoV-2感染による推定死亡リスクは0.3%で、SARS-CoV-2感染患者の44%は定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)による診断を受けていなかったことも示された。NEJM誌オンライン版2020年9月1日号掲載の報告。

アイスランドの約3万例について抗体検査を実施

 研究グループは、SARS-CoV-2感染に対する液性免疫応答の特性および持続性を明らかにする目的で、アイスランドにおける3万576例の血清中のSARS-CoV-2特異的抗体を、次の6種類の方法で検査した。

 (1)ウイルス内部核蛋白(N)に対するpan-Ig(IgM、IgG、IgA)抗体(Roche)、(2)ウイルス表面スパイク蛋白S1サブユニット受容体結合領域(RBD)に対するpan-Ig抗体(Wantai)、(3)抗N IgM抗体および(4)抗N IgG抗体(Eagle BiosciencesのEDI)、(5)抗S1 IgG抗体および(6)抗S1 IgA抗体(Euroimmun)。

 2つのpan-Ig抗体検査が両方とも陽性の場合に、血清陽性と定義。qPCR法で感染が確認された1,237例の診断後4ヵ月までに採取された2,102検体について検査した。

 なお、SARS-CoV-2に曝露し隔離された人は4,222例、曝露不明は2万3,452例であった。

アイスランドのSARS-CoV-2感染率は0.9%、致死率は0.3%

 qPCR陽性でSARS-CoV-2感染から回復したのは1,797例であった。そのうち血清陽性が確認されたのは、1,107/1,215例(91.1%)であった。

 2種類のpan-Ig抗体検査による抗ウイルス抗体力価は、qPCRによる感染診断後2ヵ月の間に増加し、調査期間終了時まで維持されていた。血清陽性率は、隔離された患者では2.3%、曝露不明者では0.3%であった。

 アイスランド人の0.9%がSARS-CoV-2に感染し、致死率は0.3%と推定された。アイスランドの全SARS-CoV-2感染者のうち、56%はqPCRで診断されていたが、14%はqPCR検査を受けていない(あるいは検査結果が陰性)隔離者で、30%は隔離もqPCR検査も行われていなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)