ESUSの再発予防、ダビガトランvs.アスピリン/NEJM

塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)を発症した患者に対し、ダビガトラン投与群はアスピリン投与群との比較において、再発予防効果について優越性は示されなかった。一方で、大出血ではないものの臨床的に重要な出血の発生リスクは、ダビガトラン群が高かった。ドイツ・Duisburg-Essen大学のH.-C. Diener氏らによる、42ヵ国5,390例の患者を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌2019年5月16日号で発表した。脳梗塞の20~30%は原因不明で、その大半がESUSに分類されるという。これらESUS後の再発予防において、先行無作為化試験で、リバーロキサバンの有効性はアスピリンと同程度であることが示されていた。ダビガトランがESUS再発予防に有効であるかは不明であった。
42ヵ国564ヵ所を通じて5,390例を対象に無作為化試験
研究グループは2014年12月~2018年1月にかけて、42ヵ国564ヵ所の医療機関を通じて、ESUSを発症した5,390例を対象に試験を開始した。被験者を無作為に2群に分け、一方にはダビガトラン(150mgまたは110mg、1日2回、2,695例)を、もう一方にはアスピリン(100mg、1日1回、2,695例)を投与した。
主要アウトカムは、脳梗塞の再発。安全性に関する主要アウトカムは、大出血だった。
脳梗塞再発は両群とも7~8%
追跡期間中央値は19ヵ月だった。その間に脳梗塞の再発が認められたのは、ダビガトラン群177例(6.6%、年率4.1%)、アスピリン群207例(7.7%、年率4.8%)で、両群間に有意差はなかった(ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.69~1.03、p=0.10)。脳梗塞の発症は、ダビガトラン群172例(6.4%、年率4.0%)、アスピリン群203例(7.5%、年率4.7%)だった(HR:0.84、95%CI:0.68~1.03)。大出血の発生は、ダビガトラン群77例(2.9%、年率1.7%)、アスピリン群64例(2.4%、年率1.4%)だった(HR:1.19、95%CI:0.85~1.66)。
一方で、大出血ではないものの臨床的に重要な出血の発生は、アスピリン群41例(年率0.9%)に対し、ダビガトラン群は70例(年率1.6%)と発生頻度が高かった(HR:1.73、95%CI:1.17~2.54)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
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適応拡大に向けた朗報!〜論文を読み解く上で重要な“国民性”〜(解説:西垣和彦氏)-1062
コメンテーター : 西垣 和彦( にしがき かずひこ ) 氏
岐阜市民病院第一内科部長
岐阜大学医学部客員臨床系医学教授
J-CLEAR評議員